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ゲームの世界が現実に  作者: わけわかめ
Ver,1 Assimilation Game
4/15

沈降、そして、再生。 その2

アルベルトのバックヤードで俺は怒られていた。

言うまでもなく、手持ちの鉄を全て使ってしまったからだ。

「…わかめん、作るのはいいんだけど、作りすぎじゃない?」

倉庫に置かれた鉄装備。

出来るだけ外に並べたが、それでも倉庫が満たされるのは避けられなかった。

「途中から作るのが楽しくなってな…」

金物を打つのがあんなに楽しいとは思わなんだ…

「はぁ…確かに楽しいけど…殆ど使っちゃうのは…」

「また今度三人で探索しに行こう。だからこれを売っといてくれ。作ったからには使わないとな」

木刀から鉄()になったから少しは威力が上がるだろ。

「…はぁ…分かったわ……あと、現状だと比較的強力よ。これならいい儲けが出そう。」

「ならよかった」

完全に無駄って訳じゃなかったか

「今はまだ銅と青銅が主流よ。こんなに鉄があるなら…もうちょっと値段を吊り上げても…」

「そこは任せる。俺はスキル上げも兼ねて狩りに行ってくるから後は任せた」

「はいはい。無理はしないでよ」

「当たり前だ」

縮地は使いすぎたら駄目だな…少し控えめに…

「…いってらっしゃい♪」

「行ってくる」

外の人通りも多いな…そうだ、掲示板で…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

642:わかめ

Shop Albertで鉄装備が大量に売ってるぞ


643:ハーネルン

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

これでよし。

今日は洞窟にでも…っと、そうだ

ベンチに座って…

「ログアウト」


目の前を通っていった大量のプレイヤー、それに目を丸くする住民(NPC)達を横目にわしは東門へと向かう。

一旦ログアウト(リアルに行って)持ってきたのはマイ自転車。

…特に変なところはない。

やはり問題なく使用できるらしい。

「…ッハァ!」

茶で気合を入れ、この広大な草原を漕いでいく。

あちこちで人が飛んでいるのが愉快だ。

更に漕ぎ続けていると火山が見えてきた。

今日はこの付近で狩りをするとしよう。

自転車を片付け武器を出す。

見た限り、周りには誰もいない。

思う存分暴れても問題ないだろう。

「じゃ、早速…」

目に入った兎を縮地で斬る。

「…羅刹那」

ドロップは…兎の足。

今日の晩飯はこれだな。

「兎肉の料理は何が…いや、今はいいか」

そんなことより狩りだ狩り。

兎はそこら中でピョンピョンしている。

特に罪はないが…

「ぶった斬る!」


「…疲れた」

ついつい日が落ちかけるまで兎を狩ってしまった。

そのおかげか、兎肉だけでなくアクセもゲットした。

兎の御守…AGIが少し上がるだけだが、俺にとってはとても助かる。

そのおかげで縮地を控えめにして狩れたのは僥倖だった。

…そろそろ木から降りるか

「ぁぁぁぁなんだこのクソゲーっ!」

森の中から騒がしい叫び声が聞こえる。

…大勢の敵に囲まれているらしい。

だが俺も疲れている。

……頑張れ。

「おいそこのお前待てっ………けろ…っ!」

何も見ず、何も聞こえなかったかのようにクールに去る。

…この自転車、都市用だからオフロードはダメだな。

走りにくいったらありゃしない。

「…さっさと家に帰るか。」


「ただいま」

「おっかえり〜♪今日は繁盛したよ〜♪」

「それは良かった」

サロンに入るとカナカムが出迎えてくれた。

なんだかんだで落ち着いたな。

ギルマスが倒れられると俺達が困る。

「わかめん帰ってたのね…おかえりなさい」

サクヤもサロンにやってきた。

…丁度いい。

「ただいま。狩りで兎肉が大量にある。料理は俺が作っていいか?」

「…私もいいかしら?兎肉なんて久しぶりに見たし…」

「じゃあ頼む」

サクヤは料理上手そうだしな。

「私も手伝う!」

ギルマスは駄目だ(カナカムはダメよ)

「…ぐすっ」

カナカムは何かやらかしそうだからな…

「そうね…赤ワイン蒸しとかでいいかしら」

スマホを操作しながらサクヤが言う。

アイテム化したスマホは何処でもインターネットに接続できるらしい。

「…!じゃ、私家からワイン持ってくる!」

「あっ待ちなさ……はぁ…」

カナカムが素早い手つきでログアウトした。

「…アレで成人なのか」

「そうよ…私の物を使うつもりだったのに…」

「……とりあえず他の材料はそこらへんの店で買ってくる。ゲーム内とはいえ、そう言うのはあるはずだ。」

「わかったわ。えっと材料は…」


「500チェインだよ」

釣りを出さないように金を出す。

「あんた異世界人かい?」

「…異世界人?」

八百屋のおばちゃんが商品を詰めながら話しかけてきた。

「違うのかい?あんたらの事はそう呼ぶらしいけど…」

NPCはこっちの事を異世界のモノとして認識している…?

「…マナーがなってないやつが多くて…客が増えるのはいいけど、そろそろ我慢の限界なのさ」

「…確かにな」

この商店街は大勢の人が集い、喧騒がある。

ある程度の諍いなら日常茶飯事だが、プレイヤーの態度には怒りを通り越して呆れる。

「前なんて壺を割ろうとした奴もいてね…衛兵に連れていってもらったさ」

「そりゃ…」

お前は勇者でもあるまいに…倫理的に人の家を漁るのは駄目だろ

…D○だったらするが。

「あんたはそんなことしないだろうけど、知り合いには言っておいて頂戴ね。少しオマケしておいたから」

「わかった。ありがとな、綺麗なおばちゃん」

「もう、そんなにいっても何も出ないわよ…」

といいつつマンゴーを一つ入れてくれたおばちゃんの店を後にして家に帰った。

「ただいま。買ってきたぞ」

「おかえり〜……♪」

「あら、思ってたより早かったわね」

既に酔っているカナカムは放っておいて、サクヤに材料を渡す。

「…抜けはないわね。キッチンに行きましょうか」

「おう」

この屋敷のキッチンはかなり広い。

小さいレストランよりも大きいと思う。

「私は煮込みを担当するから、わかめんは私の包丁で野菜を切って頂戴」

「了解」

サクヤの包丁は名匠が作った物で、銘も入っている。

…実はサクヤもいいところの…

「どう?切りやすいでしょう?」

「そうだな」

刃に切ったものが引っ付かない。

「御爺様がよく言ってるわ…『必要なものには投資を惜しむな』って」

「いいこと言うな」

「でしょう」

あっという間に切り終わった。

「切り終わったぞ」

「分かったわ。あとは私がやるから…」

「暇だし、酒を飲まされそうだからここに居させてくれ」

ワインを投入して工程はあと少しだろう。

「…なら盛り付けも手伝ってもらうわね」

「問題ない」

「米はリアルの方で焚いてるわ。持ってくる間に茶碗に入れておいて頂戴」

「…あいよ」

簡単な椅子を出して座る。

ワインの芳醇な香りが漂ってきた。

「…わかめんは何歳なのかしら」

「あー…別に言ってもいいか。19だ」

「私とカナカムは20歳よ。わかめんも同い年だと思ってた」

サクヤはカナカムと同い年…?

嘘だろ…あれで…

「ま、歳なんてどうでもいいだろ」

「…そうね」

そんな事を気にしたってそのうちどうでもよくなるしな。

「…完成よ」

「…おお…旨そうだ」

兎肉なんていつぶりだったか…

「…プリセットに登録しておくわ。…知ってると思うけど、プリセットに登録すると材料さえあれば次から簡単に作れるようなるの」

「…えっ」

俺はそんなもの知らないぞ…

「勿論制作にもあるし、枠の制限はないから、登録しておいて損はないわよ」

「…分かった」

次作る時は登録するか。

「それじゃ私は焚いたご飯持ってくるわね」

「…うい」

まさかマイレシピのようなものがあったとは…次からは忘れないようにしないとな…

「持ってきたわよ」

「…鍋ごと?」

サクヤが出したのは圧力鍋。

米もふっくらしている気がする。

「そうよ。私のだから気にしないで。このお皿にご飯を入れて…って聞いてる?」

これ高いブランドものだった気がするな…

「………ああ聞いてる聞いてる」

「…それで、私が鍋からオカズを掛けるわ。カナカムの分は私が運ぶからわかめんは自分の分だけ持っていって頂戴」

「………ん」

二人共絶対お嬢様だよな…他にも色々持ってるんだろうな…羨ましい…

「…かなりいい出来ね。早く運んであげましょう」

「…………」

…でも俺は特に何かあるわけでもないよな…

「…そんな疲れた顔して…どこか悪いのかしら?」

「…………なんでもない」

顔にまで出てたか…

「同じギルドメンバーなんだから、何かあるなら聞いてあげるわよ?」

「いや、いい」

「…そう、なら行きましょう」

サクヤと共にサロンへ戻った。

「ごはんできた……?」

「できたから早く姿勢を正しなさい。正さないと今日の晩ご飯は抜きよ」

「…!?すぐ正します!」

軍隊かと言いたくなる速さで背筋を伸ばし手を膝に。

その素早さはどこから出てくるんだ…?

「…それじゃ、食べましょうか。」

『いただきます』






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

CAB運営より

アップデートのお知らせ

Ver,1.0

Assimilation Game

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