表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームの世界が現実に  作者: わけわかめ
Ver,0 Mysterious Game
2/15

序章、或いは唯の始まりのようなもの。 その2

降り立ったのは何処かの街の建物の中。

外は金属の音が鳴り響くここは…

「兄ちゃん!そこどいてくれ!」

道のど真ん中で突っ立っていたからか、荷物を運ぶ地人ドワーフの邪魔になってしまった。

「…ああ、すまんすまん」

「ありがとよ!」

空中浮遊する謎の半透明な板のウインドウからマップを出して確認する。

「やっぱり初期リスはステートの街の職人街って所か…俺がドワーフだからか…?」

…先に何処かの店で採取アイテムは買いたいな…一番近い総合ショップは…『Shop Albert』。

この街の北の区域にあるらしい。

中心の屋敷街を通り抜けて向かう事にした。

この辺りは人がいなくて静かだ。

こういう雰囲気の場所はいいな…落ち着く。

屋敷街を通り抜けた先は活気溢れる商店街。

そこから今度は路地裏に入る。

「看板らしい看板もないが…ここでいいのか?」

アンティークな雰囲気が漂う建物だが、中は磨りガラスで見えない。

確認のためにカフェのような硝子戸を開く。

内装も外観に違わない木製の棚に商品が所狭しと並んでいて…

「…ぐぅ…」

…そして、カウンターに突っ伏している桃髪の店長らしき人物。

「…おーい…?」

「…しゃぁきゅぅやぁ…ふふ……」

…前言撤回しよう。

突っぷすどころか夢の世界へと旅立っていた。

マナー的にどうなのかは謎だが…起こす(叩く)か。

「オラァ!」

「痛っ!?」

良し。

これで買い物ができる…

「…あれ?サクヤは?」

起きた彼女は誰かを探すように周りを見渡すと、初めて気づいたように俺に話しかけた。

「…あ、お客さん?」

「…………客じゃないなら何だ?」

彼女にジト目を向ける。

「確かに…それじゃ改めて…ゴホン。ショップアルベルトへようこそー♪」

「…さっきまでのやり取りのせいで更に残念感が増してるな」

これが噂に聞く残念美人ってやつか…

「これでもβ時代は人気だったんだけどね…もうみんな狩りにいっちゃってお客さんが来ないから…」

「…ぐっすりと寝てたと」

「そういう事」

確かβテスターは1時間先にログインできたんだったか。

ということは、たった1時間暇なだけで寝ていた……

「あぁ、駄目だなこいつ」

「初対面の人に言われたくない!」

自業自得だろうに…

「…それで、何を買いに来たの?見たところ…第一軍でしょ?」

「採取用の道具を買いに来た。銅の道具しかなかったからな…鉄製のツルハシあるか?」

「………鉄鉱石はまだ数が少ないから採取アイテムに手が回るほどは無いね…」

……嘘だろ…

「でも素材を一緒に取りに行ってくれるなら作ってあげる。私、アイアンゴーレムがスポーンする場所を知ってるの」

レベリングも兼ねてβテスターと素材集めに行けて、道具も貰えるって事か

「お願いしよう」

「やったーっ!私、暇だったのよね…」

「…だろうな」

…実際に寝てたからな

「そうだ、フレンド申請しておくね。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

カナカムからのフレンド申請が届きました

許可しますか?

YES/NO

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

勿論了承。

「私はカナカム。森人エルフ製作者クラフターで、武器は長槍ね。βテスター時代は少し名も知れてた。一応、かなり強いわよ。」

確かに装備は動きやすそうな装備で、シンプルな槍を携えている。

「…俺はわかめ。見ての通り地人ドワーフで、同じ製作者クラフター。武器は背中に背負ったこの木刀だ。」

「本当に?だったらうちのギルドに…」

「………それは後でな」

初対面で説明もなしに勧誘とは…せめて説明が欲しいところだな

「それじゃ、良い返事待ってる。先に出てて。」

「…あいよ」

外の壁にもたれて少し待つ。

話している間に第一軍はもう外へ行ったらしい。

俺達が行くところは混んでなければ良いが…

「お待たせー じゃ、行こっか。」

店のセキュリティをつけて来たらしい。

ドアを閉めると同時に鍵の閉まる音がした。

「…言いそびれていたが、AGIは低いからあまり早くは行けない。縮地を使っても良いなら少しはマシになるが…」

「縮地かぁ…それ、かなり疲れるよ」

「何事も慣れだ慣れ」

どんな事も何度もやれば楽しくなってくる。

…………ああいや、アレは例外だな

「わかめんがいいならいっか。でも戦闘までにバテないでよ?」

「分かってる分かってる………って待て。わかめんって何だ?」

「いいから行くよー」

「…既に疲れてきたかもしれん」


森を進む事10分程。

少し開けた場所へ出た。

どうやらここは何かの遺跡らしい。

「…はぁ…はぁ…」

全力で走った訳ではないが、それでもかなり疲労した。

「だから言ったのに…少し休む?」

瓦礫にもたれかかっていると、少し偵察してきたカナカムが帰ってきた。

「いや…いい。」

「………死んでも知らないからね?」

「…死んだらまたその時考えればいい。」

現実じゃ無いんだからいくら死んでも問題ない。

「…分かった。なら行こっか。」

パーティ登録すると、入っている人数で経験値が等分される。

今は俺とカナカムの二人パーティで、経験値は折半される。

実際に今、レベルが三つ上がった。

「ここのアイアンゴーレムは図体がデカイし、足も遅いけど、その分身体が硬いの。だけど背中の弱点を突けばッ…!」

カナカムが瓦礫を足場にし、華麗に決める。

またレベルが二つ上がった。

かなり経験値は美味しいらしい。

「ここのゴーレム達のレベルは20。だから…一先ず10レベまであげよっか。それまでスキルレベルを上げておいてね。」

「了解。」

カナカムを見送って修行へと入る。

縮地のレベルは現在7。

戦闘用に付与と刀術を上げるか。

技の名前は…

「パワーブースト」

mpが1減り、自分のSTRが強化された。

刀術の技は…

「横一文字!」

木に向かって技を放つと、名前の通りの太刀筋で木が倒れた。

勿論伐採した木は回収しておく。

「使いにくい気もするが…威力はありそうだな。」

再び伐採を続けること数分。

少し倦怠感を感じ腰を下ろす。

ステータスを確認すると、MPがかなり減っている。

付与はMPを継続消費するスキルらしい。

その甲斐もあり、付与のレベルは3に、刀術は4に上がっていた。

…今、レベルが10に上がった。

スキルポイントが溜まっているが…後でいいだろう。

「戻ったよー…スキルの方はどんな感じ?」

「…ボチボチだな」

「そっか。もう行ける?」

「当たり前だ」

これ程度で倒れるなら駄目だ。

まだまだ倒れはしない。


遺跡は外から見えていたようにかなりの量のゴーレムが湧いていた。

「ゴーレムは視力は低いんだけど、魔力と音に反応しやすい。ステルスからの背中に一撃必殺が最適解ね。」

「了解」

縮地で背中に移動、すれ違い様に…

「…羅刹那」

自身も認識できない速度で身体が動いた…気がする。

そのまま納刀して着地。

「今のは…?」

「抜刀術の1lv技だ」

ゴーレムが倒れ、素材になった。

確かに鉄インゴットがドロップした。

「私は初めて見た…」

「少し扱いが難しそうでな…自分でもどうやって動いているか理解できてない。せめて軌道だけでも把握できたら…」

「…それはまた後でいいんじゃない?まだ初めて一日も経ってないんだしさ」

「…ま、それもそうだな」

これも少しずつ慣れていけばいいか。

「それじゃどっちが多くお昼までに鉄インゴットを集められるか競争ね!私が勝ったらギルドに入ってもらうから!」

「……俺が勝ったら…っておい!」

「おっさきー!」

カナカムは話も聞かず既に戦闘に入っている。

「出遅れたな…」

負けじと柱などを足場にして縮地を繰り返す。

見かけたゴーレムは切り捨て、ドロップを回収。

十分も繰り返せば、刀術のスキルが5に上がった。

「新しい技か…」

次は…縦一文字?

…今は使わなくていいな。

「そんなことより…もっと来い、木偶の坊共!」

俺の声が響くが、帰ってきたのは騒がしい物音。

狙い通り、ゴーレムの入れ食いだ。

「羅刹那…羅刹那…羅刹…刹…刹………!」

疲労よりも頭が…ッ!

「ちょっとわかめんやり過ぎだって!あとは私がやるから休んでて!」

「…ぉぅ…!」

カナカムの後ろの壁へ。

近くのゴーレムからインゴットに精製される。

「ああもう!ここまでさせたからにはギルドに絶対入ってもらうから!」

「……あいよ…」

少し動き過ぎたな…脳の血圧が高くなったか…

…何かがおかしい気がする?

荒ぶる槍は疾風の如し(サイクロンスピアー)!」

一突き毎に風が舞う。

「更に…降り注げ、ウィンドカッター!」

舞った風が刃となって降り注ぐ。

ゴーレム共が目に見えてインゴットになっていく。

「っ…MP足りるかな…」

息を整え…軽く動かし…

「カナカム!素材だけ回収して逃げるぞ!」

「…わかめんっ!?」

風の刃を見切りながらインゴットを回収。

「あと10秒でMPが尽きる!」

「了解!そろそろ撤退だ!」

「…勿体無いけど、帰還アイテムがある!こうなったら限界まで持ってくから!」

既にそんなアイテムが…

「それなら仕方ねぇな!最後までMP使い切れ!」

殺り漏らしたゴーレムを中心に斬り捨てる。

「あと3秒!」

後続のゴーレムが雪崩れ混む前に回収する。

「いっくよー!『何処に降り立つ赤き影(*****)』!」

カナカムがそう叫ぶと風で身体が浮き上がり、空へと飛び立つ。

「…このスキル、MPは消費しないのか?」

高速飛行中にもかかわらず、向かい風が一切しない。

こんなスキルがあるなら最初から使えばいいのにな…

「これはヒストリースキルって言って、通称偉人装備に付いているスキルだよ。例えば、この拠点帰還スキルを使っても私のMPは全く減らないけど、一日一回しか使えない。こんな一長一短なスキルが多いかな」

「…そんなものがあるのか」

それなら出し惜しみするのも仕方ないか…

「そろそろ見えてきた…このままギルドの拠点へ飛ぶからね」

「…えっ」

この着陸コースだと屋敷街に…!?

「待て待て!アレが拠点か!?」

「そうだよー」

なんでもないようにカナカムはそう返す。

周りと比べても遜色ない立派さの屋敷を構えるギルドか…初めてすぐなのにこんなギルドに入っていいんだろうか…?

「安心して。ギルドメンバーは優しいから……多分。」

「…多分?」

心配をよそに、玄関の前に二人で降り立った。

庭園も管理が行き届いている。

…後で聞いた話だが、何もしなくてもこの状態は維持されているらしい。

「ただいまー」

「…お邪魔します」

エントランスから既に広い。

壁と天井には大理石が使われ、更には絨毯の引かれた廊下が左右に伸びている。

「ここの屋敷はねー…没落した貴族から、βテストの最後の方にあった運営主催のPvP大会の優勝賞金で買い取ったの。…後でサクヤに怒られたけどね…最後は満足してくれてよかった」

やっぱりここはトップギルドか…

「…ってそんな無駄話しに来た訳じゃないか。わかめんの部屋は…103号室ね。」

投げられたのはアンティークな鍵。

持ち手の部分の端の方に103と彫られている。

「この廊下を左に行って、3番目にある左手の扉が103号室。私はここのリビング…というよりはサロンにいるから」

サロンもある…凄いなこの屋敷

「私はまだちょっとログインしてるけど…」

「…あぁ、正午だから俺は一旦飯落ちする」

今日は手早くコンビニで済ませるかな。

「オッケー。サクヤが戻ってきたらわかめんの事伝えておくよー」

「お願いしよう」

カナカムと別れ、103号室へ入る。

ホテルのツインルーム程の広さで、収納機能付きのクローゼットと大きなベット、それと高級な木製のテーブルセットに加え、何かを飾れるような棚が置かれている。

「……ベットでログアウトするか。」

武器をベット脇に立てかけ、寝転がる。

あとは魔法の言葉を…

「ログアウト」


世界を離れる直前、何かが聞こえた。

しかし、何を言っていたかは…分からなかった。


『Start,Cha…』


第2回 うちの作品の独自表現を紹介しようのコーナー(名前募集中)

今回は『…』の用法について

大体は言葉の余韻を表す事に使っています。

他の用法としては、

・言い淀んでいる時

・少し考えている時

・呆れて物も言えない時

・会話の台詞は続いているが、間の入る時

があります。

…もしかしたら把握してない用法もあるかも…?


次回の予定は今のところ無いです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ