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ゲームの世界が現実に  作者: わけわかめ
Ver,1 Assimilation Game
14/15

火山、そして、征伐

「チッ…本当に噴火しやがった……あいつらは無事だろうな……メールが届けばいいが…って何故使えたんだおかしいだろ」

今俺は車跡に沿って疾走…側から見れば飛んでいるだろうが、とにかくボルボ火山へ向かっている。

まずあの溶岩蛇1匹1匹自体の名前はボルチャネク。

…つまり群体モンスターのうちの一体だった訳だ。

そして、第二形態はあの火山に眠るボルチャネク達の本体、そいつの名はボルチャホス。

なんとレイドモンスターらしい。

俺たち四人でクリアできるかは知らんが、とにかく無茶にも程があるだろう。

死んだ時は第二形態戦開始まで残り10分だったが、今は後3分しかない。

以上が中間リザルトに書いていた情報だ。

首が折れて死んだ後リスポンした前にウインドウがあったから驚いたな…

いやそんな事よりも、だ。

噴火したボルボ火山の頂上から溶岩が天に昇る柱のように溢れている。

そのせいで空からしょっちゅう噴石が飛んできて鬱陶しい。

また一つ赤い塊が……

「わーかーめーん!よーけーてーっ!」

って車ァ(スカーレットォ)!?

横に全力で回避、ギリッギリ間に合った…

「早く乗って!レイドバトルってバレたわ!」

「嘘だろおい…」

「私達が全員逃げたって判定になったせいでレイド参加権がフリーになったみたい!すぐに押しかけてくる!」

サクヤに招かれるまま後部座席へ即座に乗り込む。

火山弾を物ともせずにスカーレットは噴火の雨を潜り抜けていく。

カナカムは運転自体は上手いが配慮が雑いのが難点か。

暫くすると溶岩が届く位置まで来た。

ここから降りて……あからさまに舞台の形をしている場所へ行く。

そこはに行くまでの道は人一人が通れるくらいにワザとらしく溶岩が無い。

サクヤを先頭に意を決して道に足を踏み入れたがここでの奇襲はなかった。

…ま、流石に急襲はなかったか。

登った舞台の上にいたのは…

「馬か」

「馬ね」

「馬よ」

「馬?」

一言で言うならば『馬』。

溶岩が蛇のように渦巻きながら馬のカタチを成し、本来脊椎がある場所は彫刻刀で削ったように楕円形で凹み金属を溶かし入れる坩堝に見える。

今も溶岩を吸い取りその質量を増大していく。

唯一、眼球だけがハッキリと形を視認できる。

こちらを品定めするよう見据え、流入が中断され……

「ファイアッ!」

馬が飛び込んできた瞬間にメイが速射で眉間のあたりを銃撃。

しかし効果は薄く一瞬怯んだ(・・・・・)のみ。

再生されて振り出しに。

それに加え背中の凹みから触手…のようにサクヤヘ蛇が射出された。

「なんで私なのよ!」

サクヤはポルターガイストで浮かせた短刀をフラッシュで裁きつつ後ろに下がる。

カナカムが蛇の間に割り込んでタンクらしく動きを止めたが、馬は狙いを定めたまま走り回る。

「動くなっての!」

「メイちゃんはまた眉間を狙い撃ち!わかめん…弱点を探して斬って!」

「分かりました!」

「…応」

相変わらずメイの弾丸が眉間を貫くとほんの少しだけ怯む。

あからさまな目が弱点なのか?

……いや、それにしては体力が減っていない。

ゲージは一本だけだが1ドットも減ってはないのに怯んでいる。

となると本体は別にあると考えるべきだが、ゲージが長い首の横にある以上ここら一帯の何処かに本体はあるんだろう。

…いや待て、首の横?

一つやってみる価値はあるか。

冷え固まった舞台を縮地で駆け抜刀の準備。

首を一撃でぶった斬る。

「カナカム!タゲ取っとけ!」

舞台の反対辺りまで逃げた馬にまで行く…おい待て、溶岩の流れが変わるのは聞いてないぞ

待て待て待て溶岩自体も操れるのかよ!?

飛流星、溶岩の壁を貫いて穴を開けて…ってすぐ閉まったな。

メイも射線が通らないから狙いのつけようがない、と。

こういう時に最善策なのは荒ぶる槍は疾風の如し(サイクロンスピアー)だが生憎カナカムとサクヤは疲労でダウン中。

…ま、あの乱撃を捌ききった所は褒めるべきだな。

となるとネックなのは俺とメイの面制圧力。

俺は一撃必殺の暗殺者のようなプレイスタイルだ。

対ボス戦なら急所を直接叩く。

メイも銃撃では弾丸一つ分しか攻撃はできない。

…チッ、カナカムが言ってたレイド便乗組が来たか

足音は少ない…来る途中で結構脱落したんだろう。

仕方ない、好きじゃないが漁夫の利で行こうか。

溶岩の海を飛び越え、また上から…

「邪魔ーッ!」

おいおい…そのやり取りはもうした。

「車ァーーッ!?」

俺がさっきまで立っていた場所に落ちた車は地に着くギリギリで収納され、代わりに二つの足音が聞こえた。

人間の男女二人のペアだ。

「はー…なんとかなった」

片方は作業着のような装備を着た女。

あまり直接戦闘は得意ではなさそうだ。

「車を踏んで二段ジャンプって…譜面に出てたからやったが常識的に考えてふざけてる」

もう一人はチグハグな装備をした男。

その手には見覚えのあるチャンピオンベルトが握られていて、光に変換したと思えば身体に吸い込んだ。

「…ニューミュージックアンロック、威風堂々《ロードオブロード》。……セバ、時間稼ぎ頼む」

「私じゃなくて先に来てる人達に頼んで」

男は急に装備を変え、巨大なハンマーが高く掲げられた。

「ええっと…ラナウェイファクトリーさん、手伝ってもらえますか」

「俺はいいが…あとはあそこで休んでるギルマスに聞いてくれ。さっき聞こえていたが役目は時間稼ぎだな?了解だ」

「そ。あとはお願いね」

一発目が振り下ろされたがあまり振動はない。

だがハンマーの光量が振り下ろすよりも高まった。

振れば振るほど強くなるんだろう。

ただ、今の衝撃で蛇がまた出てきた。

スキルは使わなくていいか。

軌道がめんどくさくなる。

男の前に立ち、飛んでくるものを斬り、刺して防ぐ。

「そろそろ二発目だ!」

合図に乗せて飛びのく…衝撃でぶっ飛んだほうが楽か。

「どらっしゃァ!」

溶岩が目に見えて吹っ飛んだ。

ゲージもギリギリ見えたような気がする。

再び前に降り立ち、次は元に戻った壁から出てくる蛇を徹甲刀で叩く。

モグラ叩きのようだ。

「三発目!」

次はゲージが見えた。

…あー…狙いは決まった。

コアらしい紫の宝石だ。

ゲージはそれを中心に浮いている。

「次で決める。さっさと振れ」

「譜面通りにしないと効果が切れる!」

コイツは何を言っているんだ

…って馬だけが飛んできた!?

俺は思わず避けたが…マズイ、このままだと突っ込む…

荒ぶる槍は疾風の如し(サイクロンスピアー)ッ!」

「ギリッギリね、わかめん」

巻き起こった風で溶岩は吹っ飛び、

「…来たッ…四発目!」

更に衝撃で舞台こと溶岩がぶっ飛ばされ、

「いってらっ…しゃい!」

メイのフルスイング、機械の馬力って怖いな。

「さーて、ここまで来たんだ。大人しく斬られろ」

周りが遅くなった世界で俺は宵闇を構える(・・・・・・)

すると日記もも同様に自ずと飛び出した。

チャンピオンベルトと同じく光になったと思えば…俺に入ってきた。

…ああ、これならいける。

刀に込めるは意志。

俺の感情を抑え、俺が考えるよりも早く、俺の身体を動かす。

踏む、跳ぶ、斬る、叩く、潰す、砕く、殺す。

一発で、一撃で、一瞬で。

「抜刀…」

このゲームの装備にあるのはあくまで推奨ステータス。

装備できないわけじゃない。

だから…振れる、この一太刀は。

「…殺ッ!」

エクストラスキル『真・抜刀術』取得。

そして技として抜刀殺を習得。

長い世話になりそうだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ボルチャネク&ボルチャホス

ボルボ火山の最奥で眠っていた存在。

第一形態と第二形態がある。

っていうか厳密にはコアの宝石が本体だからそれを壊せばクリア。

ボルチャネクは溶岩蛇の事。

ただモンスターだが生物ではない。

ボルチャホスは第二形態の溶岩馬の事。

こちらは馬の名前であるとともにコアの名前でもある。

ボルボ火山の火の力を奪い尽くしていた、ある意味でボルボ火山の心臓的存在。


…蛇足だが蝙蝠も使い魔のようなもの。とはいえ明確な身体と自己意識があるのでモンスターである。普通の蝙蝠が変化した姿。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



…このままオチまで書きますわ、チャート(プロット)変更は走者(作者)の特権

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