火山、そして、準備 その2
ここはいつものサロン。
高級な机が何度も何度も叩かれている。
「ぁぁぁぁもうあれどうなってるの!?わかめんが首落としたのに復活してるし増えてたし!バグ?バグでしょ!?」
カナカムが吠えていて煩い。
「…うるさいわよカナカム。一番の原因は…」
「ああ。俺の徹甲刀の『打撃属性付与』だろ」
溶岩の塊だからな。
叩いたら飛び散るだけだったらしい。
「となると…わかめんには新しい刀を作ってもらわないとダメね。私のポルターガイストも射程が足りないわ。それと私以上の遠距離アタッカーも欲しいわ。具体的に言うと弓。銃なんて私達が入手できないし…」
……銃?
「サクヤ、銃なら見たぞ。機械系統なら初期装備で入手してるんじゃないのか」
「…!確認してくるわ。カナカムは店番しながらそれとなく聞き出しておいて頂戴。わかめんはさっきも言ったように新しい刀を作って。次は打撃属性付与がつかないようにね」
「…分かってる。思わぬ欠点が見つかったから次に活かす」
「それじゃ…解散!」
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鉄武器とポーション二個…
「…はい、合計3000チェインになります」
「ほいよ。なぁなぁカナカムちゃん、俺と一緒に…」
「冗談だけは装備だけにして」
どれだけキャラメイクにしても気持ち悪い笑みを浮かべるのは一緒か。
歓談パーティの時のあいつらの気持ち悪さにも引けを取らない。
…はぁ…ナンパとか気持ち悪い…
「…ちぇっ…ツレないなぁ…」
量産型剣士はそのまま店を出て行った。
並んでいるのは次の人で終わり。
「はい、次の方……」
「あ、あの…」
……マシン系ロリっ!?
まって、待って私、ステイ。
先に背中にある銃を気にして。
蒼穹の目に白のターゲットポインタが浮いてたり、夜の森の暗闇に紛れるような黒髪とか、背中の銃のゴツさと不釣り合いな可愛らしい仕草とか、何か悩んでるその表情を笑顔にしてあげt
「シャラーップ!」
「!?」
深呼吸深呼吸…すーっ…はぁーっ…すーーーっ……はぁーーーっ……
「…さて、ご用件は」
ダイジョウブ、私は正常。
まだ壊れてない。
「ここなら鉄武器が売っていると聞いてきたんですが…オーダーメイドってやっていますか?」
「勿論です、プロですから」
なーんでも私が請け負ってあげr
「だったら…私の装甲って、依頼できますか?」
「勿論♪どんな装備を……へ?装甲?」
…話を聞く限り、マシン系は装備に制限がかかる代わりに装甲が防具の代わりをするらしい。
単純な服ならば見た目を良くしたり、外部装甲としての装備なら可能だけど、付けすぎると行動阻害が起きる。
………これ、本当に装甲だけで済む仕様?
原動機とか脳の代わりのCPUとかの表示がないのが気になる…
メールでサクヤに送った加入質問の返事は許可。
よし、引き入れよう
「分かった。その依頼は受け付ける」
「やった…!」
「ただ、その代わりに私のギルドに入って。遠距離のメンバーがいなくてね……えっと…あなたの名前は?」
「め、メイです」
「メイちゃんね。メイちゃんの力が必要なの。無料で装甲と銃を作ってあげるから…入ってくれる?」
「…わかりました。よろしくお願いしますっ!」
加入申請飛ばして受理された。
「私のステータス…見ますか?」
「んー…うん、見させてもらう」
「それじゃどうぞ」
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名前:メイ
種族:ガンナーマシン
ジョブ:銃手
レベル:15
所持金:19800チェイン
HP:38/38
MP:52/52
STR:172
VIT:38
DEX:172
AGI:43
INT:48
装備
腕部武装:単発式狙撃銃
頭部装甲:量産型銅装甲
胸部装甲量産型銅装甲
腕部装甲:量産型銅装甲
腹部装甲:量産型銅装甲
脚部装甲:量産型銅装甲
外部装甲: 偽装用衣服
全身迷彩:仮想皮膚迷彩
スキル▼
戦闘
銃術:5Lv
+狙撃術:3Lv
潜伏:2Lv
探知:4Lv
魔法
付与:2Lv
生産
整備:2Lv
銃弾生産:2Lv
特殊
鑑定:1Lv
称号▽
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戦闘スキルは狙撃重視。
探知も入れてるって事はスポッターも一人でやるつもりだった?
…そこそこ使い込んでるし。
魔法に付与があるのは何か意味があるの?
整備に銃弾生産ねぇ…聞いた事ない。
マシンの専用スキルかな
「大体分かった。早速私達の屋敷に行こっか♪」
「はいっ!」
…この娘可愛すぎでしょ
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「…ハァ?装甲を作れ?」
ウォーミングアップの為に鉄製武器を使っていたらカナカムからメールが。
中身を要約するとマシン系の子を仲間にしたからその子の為に装甲を作れ、と。
……いや、装甲とかどう作ればいいんだよ
寸法も分からんもの作れる訳ないだろ…よし、見なかったことにするか。
「さーて、こっから本番だ…」
鉄とライトとヘビン、そしてユニバーシアを4:2:2:2で炉の中へぶち込む。
脳内設計としては鉄の刀の型の中に柄から回路のように全体は回るようライトを入れて属性を通しやすくし、ユニバーシアで補強。
型の周りをもう一度ユニバーシアでコーティングしヘビンで覆って重量を増せば完成だ。
何故ライトを入れるか?
カナカムによると、ライト製の武器は属性の通りがいいらしい。
魔法耐性が低いから染まりやすいってことだろう。
よく知らんがその前提で次の武器を作る。
……ヘビンが大量入荷したら徹甲刀も強化しないとな。
なんせ途轍もなく重い。
リンゴサイズの立方体なら少なくとも鉄の数倍はある。
ゲームの鉱石って無茶な設定多いよな…ありがたく使わせてもらうが。
なんて言っている間に型は出来た。
後は…
「ひたすらぶっ叩く!」
まずは型を作るために…
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
次はライトを流し込んで……また整形の為にぶっ叩くッ!
「ドララララララララララララララララララララララララララ……
「…疲れた」
何故俺は本気で乱打していた…そして出来はいいし。
装飾まで完璧に済ませたし…銘は…
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宵闇[ダークウォーター]
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「……うん?」
待て、俺はまだ何も銘を決めてない。
もう一度……
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宵闇[ダークウォーター]
推奨ステータス
STR:300
DEX:300
INT:400
ヒストリースキル
[身に流るるは冥き水]
特殊効果
抜刀時即死効果付与
説明
抜刀の極地へと至らんと志した者が鍛え上げた逸品。
其の一振りを河川を渡るる水の如く魔力は身を駆け闇を越える。
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「……WTF!?」
よりによって装備できないし…仕方ない、適当に残った鉄とヘビンで作るか。
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重刀
STR200
DEX200
特殊効果
遠心力上昇
説明
鉄鉱石とヘビン鉱石を使い鍛えた大太刀。
長く重く鋭い刃は目前の全てを両断する。
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長さ以外はまともに使えそうな刀を作った俺はサロンへやってきた。
カナカムも連れて帰ってきたらしい。
「…で、連れてきたってわけ」
「サクヤ、装甲をつくるのは(結局わかめんだし)いいわ。だけど、製法がわからないのならいくらわかめんでも…」
「分かるわけないだろ」
さらっと俺に仕事押し付けたよな
「100歩譲って作るのはいい。俺の仕事だ。だが…製法がわからないんだから俺が作れるわけないだろ」
刀は現代にも残ってるし刀匠スキルの補正もあったからな…そのせいで偉人装備を生産している気がするのは否めないが。
「そうね」
「ぐっ…ぐぬぬ…ともかく!自己紹介を兼ねてステータスの見せ合い行くよ!」
「はいはい。」
「まずは私からね」
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名前:サクヤ
種族:森人
ジョブ:製作者
レベル:34
所持金:0チェイン
HP:96/96
MP:189/189
STR:96
VIT:38
DEX:189
AGI:172
INT:189
装備
右手:恐・村正
左手:ヴァンプナイフ
頭:クールハット
体:冒険者の服[コロンブスーツ]
腰:ナイフポーチ▽
靴:スニーカー
スキル
戦闘
威圧:5Lv
剣術:5Lv
+短剣術:1Lv
体術:3Lv
刀術:4Lv
魔法
回復:3Lv
付与:4Lv
生産
芸術:3Lv
+刺繍:1Lv
採取:6Lv
裁縫:5Lv
制作:9Lv
特殊
鑑定:6Lv
ポルターガイスト:5Lv
+コマンドナイフ:1Lv
称号▽
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「いつのまにか見た事ないスキルが増えてる!?」
「取得可能スキルの中にあったのよ。カナカムも取得したらどうかしら」
「私は先に魔法コンプするから…」
そういうカナカムのステータスはコレだ。
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名前:カナカム
種族:森人
ジョブ:製作者
レベル:33
所持金:0チェイン
HP:113/113
MP:184/184
STR:113
VIT:113
DEX:138
AGI:126
INT:138
装備
両手:ライトスピア
頭:ダイアモンドピアス
体:ライトプレート
腕:ライトガントレット
靴:ライトグリーブ
スキル
戦闘
運転:4Lv
疾走:2Lv
槍術:7Lv
+長槍術:1Lv
魔法
火魔法:3Lv
水魔法:3Lv
土魔法:3Lv
風魔法:6Lv
雷魔法:3Lv
回復:2Lv
付与:4Lv
生産
制作:8Lv
特殊
鑑定:7Lv
交渉:2Lv
属性槍:Lv1
称号▽
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「運転ってカナカムねぇ…」
「私これからよく運転しそうだし、どうせだから取ってみようかなって思って…ダメだった?」
「…はぁ…別にいいわよ。ビルドを特に制限する気もないし。ただ相談はして欲しかったわね」
「なら次は俺だな」
…あれから刀匠をゲットしてスキルが育ったくらいしか変化が無いがな。
レベルも少ししか上がってない。
メイのステータスは…ああ、銅の装甲なのか。
銅の装備とか脆そうだしそりゃ欲しくもなるな。
…作ったとして、どうやって張り替えるんだろうな
適当に自己紹介も済ませ、歓迎会モドキをしてからログアウト。
風呂に入って……寝る。




