火山、そして、準備 その1
「…長く苦しい戦いだった」
これが苦節の試行錯誤の末に完成した短刀。
……銘に関して、わしは何もしていない。
勝手に付いただけだ。
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恐・村正
STR+300
DEX+300
この新たなる時代にに打たれた、伝説に残る妖刀としての一振りの村正。
刀身が短い贋作であるが、その切れ味は新作に引けを取らない。
ヒストリースキル
百鬼夜行
ホラーシリーズが10以上揃っている時のみ発動可能。
戦闘時、真の姿を解放する。
(パーティ内のメンバーが所持している場合でも発動できる。)
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完成したのは村正。
…いや、本当に天に誓って俺は何もしていない。
完成したらこうなっていただけだ。
確かに、サクヤには妖刀が似合いそうだとか思いながら打ってはいたが……本当になると思わなかった。
今回は勝手にMPが持ってかれて装飾がついた。
俺はただ刀を打っただけ。
……偉人装備って作れるんだな。
っとと、早くサクヤにコレを渡しに行くか。
俺の新装備も出来たようだしな。
「…よし、来たわねわかめん」
サクヤが疲労でぶっ倒れているだろうカナカムを壁に追いやりながら俺に話しかける。
それでいいのかギルマスの扱い
「これがわかめんの新装備よ。素材が無いから金属製になったけど、動きは阻害しないように設計したわ。素材探しにでかけたら、聞いたこともない鉱石もゴロゴロあったのよね…」
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流星のピアス
AGI+50
地球に落ちた隕石のカケラを使用して作られたピアス。
宿る星の力で足が少し早くなる。
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ライトガントレット
VIT+20
AGI+20
ライト鉱石製の手甲。
バランスが良く少し動きやすくなる。
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ライトプレート
VIT+30
AGI+10
ライト鉱石製の胸当て。
設計と工夫のお陰で少し動きやすくなる。
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ライトグリープ
VIT+10
AGI+30
ライト鉱石製の臑当。
軽く丈夫なので少し動きやすくなる。
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「ライト鉱石…?」
聞いたことがないな。
「鑑定だととても軽くて丈夫だが魔法耐性が低い鉱石って書かれてたわ。それを作るときにわかめんがデートしている間に炉を使ったんだけど、燃料さえあるのなら鉱石を別口保管できるのね。それに合金にするのも簡単。今度二人で試行錯誤してみない?きっと楽しいと思うわ」
ライト鉱石…性質的に元はlightだろうな。
そして合金か。
少し興味もあるし必要になるだろう。
「いいぞ。あと、この流星のピアスってなんだ?地球に落ちた流星って…」
「ああ、ピアスはカナカムからのプレゼントよ。このゲームは幾らでもアクセサリーを装備できるとはいえ、付けすぎると効果も下がるのよね…だからカナカムがコレクションの中から選んだ一品…らしいわ。私はMPとINT、カナカムはDEXが上がるものを選んだわ。効果は素材と価値で上がるみたいね」
つまり…希少であれば効果が上がると。
レア度が高い装備が強いのと同じ理論って事でいいな。
「それじゃあ、わかめんが作ってくれた私の短刀を貰おうかしら」
「ん、これだ」
インベントリから恐・村正を取り出して机に置く。
何度見ても厄な雰囲気を纏ってるな。
妖刀だからか?
真の職人が作るものには魂が篭ると聞いたことがあるが…
「……はぁ…わかめん、またトンデモアイテム出してきたわね。これ、わかめんが作ったんでしょう?プレイヤーが偉人装備を作れると聞いたらどれだけの規模の暴動が起きるか…」
「ま、そうだな。俺の推測だが、新たに手にした刀匠スキルのお陰だ」
「…もういいわ…これ以上聞くと頭が痛くなりそう。ともかく、失敗作は保管しているのよね?ならアルベルトに持っていっておいてちょうだい。費用は全て回収するわ。ほらカナカム、起きなさい」
「……痛っ!?」
蹴られて起きるギルマス。
何度も言ってるが、サクヤがギルマスでいいだろ。
経営もできそうだし。
「私は前線よりも後衛がいいの。将軍より指揮官がいいわ。この前もいたじゃない、弱そうだからって絡んでくる馬鹿が。だからカナカムにタンクのギルマスをさせてるのよ」
「……え、そんな理由だったの」
「そうよ、言ってなかったかしら」
「私聞いてない!」
「そう。なら今知れたじゃない」
早く行けとサクヤに言われ、カナカムを連れてアルベルトへ。
今日は少し手伝ってみるか。
店は店らしく、手入れをしないとやはり汚れる。
掃除しなくても汚れない建物もどうかと思うがな。
「わかめんって家事上手よね」
「まぁな。やってみると案外楽しいもんだ」
確かあれは…
「あ、回想はいらないから」
「……そうか」
……思い出せないな
「うん。私が言いたかったのは、陳列とかも任せていいか聞きたくて。もちろん私が売るけど、作ったわかめんが並べた方がいいと思わない?」
「…仕事が増えるからそれらしい理由をつけて俺に押し付けようとしてるよな」
「そ、そんな事はない……よ?」
「……はぁ…」
こんなギルマスでいいのかとつくづく思うな。
今じゃもう受け入れているが。
「ま、俺はいいけどな。楽しそうだ」
こういう経験も貴重だろう。
「ありがとわかめん♪」
「はいはい。それ以外はカナカムがやれよ」
「……はーい」
店主が仕事しない店とか言語道断だろうに…
インベントリに入っているいらない装備を全て吐き出せば俺の仕事は終了。
アルベルトを出て、久しぶりに狩りに行く事にした。
AGIも上がっているから動きやすい。
これなら自転車も要らないな。
マーチェンへ転移して西の草原へ向かう。
適度に魔物も居る。
この先の港町まで斬り飛ばしながら進もうか。
「装備の慣らしに付き合ってもらうぜ」
街の門から出ると同時に俺は駆け出す。
手始めに、近くにいた跳ねる牛のさらに上を飛び羅刹那でぶった斬る。
……縮地の間に切れたりはしないのか?
折角だから検証してみる。
まずは不意を突くため背後から音も消し走る。
次に徹甲刀の柄に手をかけて縮地を使用。
その時には俺の描く軌跡をイメージ。
羅刹那のラインを曲げ、推進力で回り、一周すると同時に納刀。
まず、無事に縮地は発動した。
いや、正確にはいつも使用した時に感じる、思考が飛ぶ感覚を得た。
だが羅刹那は牛に目に見える傷をつけただけで止まった。
どうやら羅刹那の軌跡は曲がらないらしい。
仕方なく追加で横一文字を発動しトドメを刺す。
やはり、抜刀の極致とやらを学ばないといけないらしい。
ならば目的を変え、スキルのレベル上げを始める。
何度か繰り返せば刀術がレベル5、抜刀術はようやく2になった。
確認すると縮地も7lvになっている。
縮地はただ消費が軽減され効果が上がるだけだった。
ま、気にしなくていいだろう。
新しく覚えた技の名前は縦一文字と飛流星。
縦一文字は所謂唐竹割り。
そして、飛流星は言うならば抜刀突き。
発動も早く、威力だけで言うなら羅刹那よりは優秀だ。
ただその分範囲は狭く、範囲攻撃と単体攻撃の違いと言ったところか。
二つとも活用していこう。
……って、もう夕方か。
壁が見えてきたから少し急ごう。
跳ねる牛…カウバーの素材も大量に手に入った。
皮はゴムのようらしく汎用性が高そう。
肉は弾力のあって美味いらしい。
なら今日は単純にステーキとして調理してもらうか。
ああ、ホテルの料理人の人に渡してレシピを作ってもらうのも……
よし、さっさと門から……
「っとボスのお出ましかぁ!?」
降ってきたのは今の俺数人分はある巨大な石人形。
門に人影が見えない時点で疑うべきだった。
地面を揺らして威嚇しているボスの名前は、見た目そのままなヒュージストーンゴーレム。
俺の徹甲刀と相性はいいと思うが、なんせ隙を作りにくい。
速度が上がって入れるとはいえ…難しいだろう。
次に向けて行動パターンを観察するだけにしておこう。
ゴーレムを足場にしながら連続縮地を使って背中に回り…って後ろにもコアがないな。
となると…埋まっているのか。
とりあえずそのデカイ脳天に羅刹那からの横一文字と縦一文字を叩き込む。
「って硬いなオイ!?」
削れたのは目測30cm。
あからさまに弾かれた。
本当は石じゃないだろこれ…金属を叩いてる時の手応えがしたぞ
「今の所持金は0、ゲーム内でのデスペナは……確かステータス制限と金を落として宿屋か家の寝床で復活だったな。よし、死ぬか」
唯一心配なのは装備が壊れないかだな。
全ての装備をインベントリに入れて地面に降りる。
AGIの速度が無くなったから少しコケかけたな。
「……今更だが、痛くないといいn」
「痛かった…顔を全力で殴られたくらいの痛みが…」
潰される勢いで殴られたのにその程度で済んでいるのはいいが…それでも痛かったな。
デスルーラは控えたい。
ステータスも時間制限で一割削られている。
しかし肉は持ち越しで残っていた。
「じゃ、これを届けにいこう」
装備を着てからすぐにログアウト。
モンスターの肉も旨いのを知れて今日はいい日だった。
…ゴーレムの事を伝えたら二人には怒られたが。
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ヒュージストーンゴーレム
そこそこ硬い。
石(硬くないとは言っていない)
近いのは御影石。
巨体の中に隠されたコアをぶっ潰すか身体からコアを取り出せば戦闘終了。
前者の倒し方なら身体が、後者ならコアがそのままドロップ品としてもらえる。
幻惑系統は有効だが地震や暴れ回るといった無差別技かあるためあまり意味はない。
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次で早速攻略かもう一回準備を挟むかはまだ未定です




