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村長が言いました。
「子供たちはさらわれることなく、無事に避難することが出来た。翔のおかげだ。本当にありがとう」
村長が頭を下げると、あちらこちらから「ありがとう」の声が上がり、一人の女性が前に出てきて、私の手を取ると涙を流しながら頭を下げました。
「みんな見たんですね」
私がそう言うと「見た」「見た」と言う声が、幾つも聞こえてきました。
村長が言いました。
「わしはこの村で誰よりも長く生きてきたが、そのわしでも龍神様の姿は初めて見た」
「僕が感じ取れるからです。感じ取れる相手に、姿を隠す必要はないですからね。でも僕だけに見せるといった細かいことは思いつきもしないので、みんなに見られたわけです」
「そうか。で、翔は龍神様の考えていることがわかるようだが、龍神様はまたやって来るのか?」
「来ますよ。子供を食べようとここに来たのに、食べられなかったんですから。これから何度でもやって来ますよ」
「今まで見たいに姿を隠してか?」
「僕がいなかったら、そうなるでしょうね」
「……そうか」
村長がみなのほうに顔を向けました。
「聞いたとおりだ。残念だが子供たちは、成長するまでこの村では暮らせない」
「いいですよ」
「喰われるよりはましだ」




