ジョブコーチ「さあ、ここが職業体験の現場だ」サキュバス「こ、こんばんは」
男「え? なに?」
ジョブコーチ「ああ、申し遅れた。私は群馬サキュバス障がい者支援センターのジョブコーチだ」
男「ここ大阪なんだけど…」
ジョブコーチ「今日は当センター職業訓練校の最終過程、サキュバス職場体験実習をこちらで実施する」
男「え? 全然わからないんだけど、なんで人ん家で勝手に実習を? そもそもサキュバス職場体験ってなに?」
男は混乱している
ジョブコーチ「キサマ、障がい者を差別するか!」
男「いやいや、障害者差別なんてしません! でも全然わからないんですが…」
ジョブコーチ「やれやれ、キサマは意識が低いな。もっと社会に興味を持て」
男「いや、これでもボランティアとかかなりしてきましたが、意味が分からないし、突然ってのはちょっとありえないし、
まずその破廉恥な格好で何を言われても聞けるものではありません」
ジョブコーチ「真面目か! 言っただろう、我々はサキュバス。男の精を吸い取るのを生業としている」
男「生業なんだ…。でもその雰囲気、確かにこの世のものではなさそうです
とするとその格好、本当ににサキュバスなんですね…」
ジョブコーチ「そう言ってるだろう」
男「でもそうすると、そのとなりのジャージ姿の女性はどなたでしょう?」
ジョブコーチ「サキュバスに決まっているだろう」
サキュバス「あ、ど、どうも…サキュバスです…」
男「えええ? サキュバスですよね? 地味な格好だし、たしかに顔は可愛いけどなんかスタイルも貧弱だし、色気がないというか…」
サキュバス「あ、あ、ご、ごめんな、さい…」シクシク
ジョブコーチ「キサマあ!!」ガシィ!
男「うわあ!」
ジョブコーチ「ちょっとこっち来い!」
男「あわわ」ガクガク
ジョブコーチ「キサマ! 障がいを持つ者に向かってなんて酷いことを!」ヒソヒソ
男「え? 障害を持つ者?」ヒソヒソ
ジョブコーチ「言っただろう。私はサキュバス障がい者支援センターから来たのだ。彼女は障がいを持っているのだ」ヒソヒソ
男「それはわかりましたが…確かに色気がないは言い過ぎたかもしれませんけど…」ヒソヒソ
ジョブコーチ「ばかもの! まだ言うか。彼女はエロいことに耐性がないのだ」ヒソヒソ
男「え、それってサキュバスにとっては致命的なのでは?」ヒソヒソ
ジョブコーチ「そのとおりだ。彼女は痴的障がい者なのだよ」ヒソヒソ
男「“痴的障害”言いたいだけでは?」ヒソヒソ
ジョブコーチ「黙れ! とにかく、だから我々が支援をしているのだ
淫活保護をもらってセンターで生涯めんどうをみることもできるが、
やはりサキュバスに生まれてきたからには、男の精を吸い尽くしてとり殺させてあげたい」ヒソヒソ
男「いや、やめてください!」インカツホゴッテナンダヨ...ヒソヒソ
ジョブコーチ「もちろん痴的障がいのある彼女ひとりではムリだ。だから私がサポートするし、職場の君にも協力してもらう必要がある」ヒソヒソ
男「なんで精を吸い尽くされる手伝いを自らがしなきゃならないんですか! 第一職場て…」ヒソヒソ
ジョブコーチ「もちろん協力いただく事業所、いやターゲットの君には税精的にも有利になっている」ヒソヒソ
男「税精ってなんだよ…」ヒソヒソ
ジョブコーチ「君は元々別のサキュバスのターゲットになっていたのだが、協力いただければ精を吸い取るのは1/10という軽減税精が適用される」ヒソヒソ
男「1/10とはいえ、結局吸われるのかよ…っていうか、これほとんど脅しじゃないですか」ヒソヒソ
ジョブコーチ「じゃあ頼むぞ。さあ、戻ろう」
サキュバス「めそめそ」グスグス
ジョブコーチ「ほら、謝れ!」
男「あ…はい…
あの、先ほどは失礼なことを言いまして、申し訳ありませんでした」
サキュバス「え…あ、いいんです…大丈夫です…」ゴシゴシ
男「いや、本当にすみません…」ザイアクカン
ジョブコーチ「よし、それでは早速実習に入ろう」
サキュバス「あ、はい」
ジョブコーチ「まずはこの男を魅了するところからだ。いや、難しく考えなくていい。訓練校でやったとおりだ
色仕掛けその1、相手の目をじっと見つめてみろ」
サキュバス「はい、わかりました」ジー
男「え? これが色仕掛け?」
ジョブコーチ「黙れ! さっさと精を放出しろ!」
男「そんなムチャクチャな…」
(でもこんな可愛い子に見つめられるとちょっとドキドキする)///
サキュバス「ジー」///
サキュバス「せ、先生! も、もうだめです…」バッ
男「え、10秒くらいしか経ってない…」
ジョブコーチ「よし、よく頑張ったな」
男「えええええ」
サキュバス「すみません、もう恥ずかしくて…///」
男(か、可愛い…)///
ジョブコーチ「今日は初めてなんだ。それで十分だ。この男も少し魅了できたようだしな」
男「魅了? え! いやいやいや…///」ブンブン
ジョブコーチ「ギロ(話合わせろゴミカス)」
男「はい! 私もこんな可愛い子にジッと見つめられてドキドキしちゃいました!(本当に少しドキドキしたしな)」
サキュバス「え、あ、えへへ ^^」///
男 (チョロいな…)
ジョブコーチ「よし、では今日の実習はここまでだ」
男「え、もう終わり?」
ジョブコーチ「当たり前だ。はじめての職場実習だぞ。これから少しずつ職場に慣れてもらう」
男「まだずっと続くんですか!?」
ジョブコーチ「ああ。次の実習も頼むぞ」
男「ええええ」
サキュバス「あ、ありがとうございました。また次もよろしくお願いします」
男「あ、よ、よろしく…」
そうしてサキュバスたちは男の部屋から消えた
■その翌日
男「というわけで、昨日急にサキュバスの職場実習があったんだよ」
友「なんやそれ。信じられんけど、ちょい羨ましぃなあ」
男「でも精を吸われるんだぜ」
友「1/10やろ。ほな死なへんし、ええ思いもできるってことやろが。羨ましすぎるわ」
男「そうかなぁ」
友「俺んとこにもサキュバスの実習来よらへんかなぁ…」
男「…」
■その晩、友の家
ジョブコーチ「おい、起きろ」
友「キ、キターーー!」ワクワク
ジョブコーチ「我々は練馬インキュバス障がい者支援センターから来た」
友「へ? インキュバス?」アト、ココオオサカヤデ
ジョブコーチ「今からここで職場体験実習を行う」
友「え? ほな隣りのヒゲモジャでふんどし一丁のおっさんは…?」
ジョブコーチ「インキュバスに決まっているだろう。彼はインキュバスなのに女に対して抵抗があるのだ。そこで男の君を練習台にして職場体験をしてもらう」
インキュバス「よ、よろしくお願いします///」ポッ
友「顔赤らめんなや! っちゅうか、なんやそれ!」
ジョブコーチ「では、さっそく彼を孕ませてみようか」
インキュバス「は、はい///」
友「や、やめーーー!!!! 第一孕むかっ!」
ズブロリス
友「アッーーー!!」
サキュバス及びインキュバス、いわゆる淫魔のうち、痴的障がいを持つものは、淫魔千体中4体に過ぎない
しかし、現在は「障がい淫魔差別解消法」が制定され、全ての淫魔が障がいの有無によって差別されることなく、マイノリティであっても共生していける魔界の実現を目指している
各地の支援センターはこの法律の施行によって開設されたところも少なくなく、一定の効果を発揮している
ちなみにLGBTについては人間界より遅れており、レズやゲイは障がいの一種と見られている。そのため、一部でその見直しも進んできている
糸冬
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制作・著作 NHK