俺と仕事(中)
駄文にアクセス、ブックマークをしてくださりありがとうございます。
キャラクターを掴むのは難しいです。
更新は亀ですがよろしくお願いします。
「体調良し、書類良し、魔法アイテム良し、……魔武器良し」
俺は準備万端で目的地に向かう。
「ここか」
俺の目の前には誰が見ても怪しい建物が建っており、まだ14時くらいなのに人の出入りはない。
「申請書には魔法アイテム屋…ね~。こんな裏路地で商売なんてできるとは思えないが」
でも、見た目が悪くても中身がしっかりしていれば問題はない。法律違反をいていなければ。
「入りますか」
俺はドアを開け中に入る。勿論、客ではなく役人として。
「いらっ…しゃいませ?」
店主らしき人が俺を見て作業を止める。
「抜き打ちです」
俺はそう言いピンバッジを見せる。
「ああ、役人さんでしたか」
店主の顔色と声のトーンが変わる。
「営業中にすみません」
「いえいえ、法律で決まっていますから大丈夫ですよ」
店主は再び声のトーンだけを戻す。
「アイテムのリスト表とか見せて貰ってもいいですか?」
「こちらです」
俺の言葉に店主がカウンターの下からリストを出す。
「これだけですか?」
「はい」
リストを見る限り一般的に売っているものしかない。
「一応、リスト通りの物が置いているか確認します。あ、今売りきれている物とかありますか?」
「今は無いですね」
俺は店主の言葉を聞き、確認作業に入る。そして、棚に置いてあるものから倉庫まで一通りチェックをする。
初めて30分後、ようやく全ての確認が済む。
「ご協力ありがとうございます」
俺は店主にアイテムのリストを返す。
「ご苦労様です」
安心しきったのか店主の顔色が元に戻る。
「ところで、あそこに隠れている人と地下にある物は何ですか?追加の申請が来てませんが?」
俺は天井と床を交互に指差す。
店などを開くにはまずこういう店を開きますという申請が必要で、また従業員を雇いたいときも別の申請がいる。そして、最初の申請で店の間取りも描いてもらうのだが、増築などで間取りの変更するときも変更届けをしなければならない。
「あそこにいるのは妻で、地下の倉庫も後で申請すれば良いと思ったんですよ」
「提出書類には店舗のみと書いてありますが?」
「住んでいたとこが火事で無くなってしまったので一時的に住んでいるだけですよ」
「そうですか。それなら奥さん出てきてもらっても良いですよね?」
「どうしてですか?」
店主がイライラしているのか、落ち着きがない。
「一応、確認ですよ。一時的とはいえ変更しなければいけませんから。それにしてもおかしいですね?申請の間取りには2階ありませんよね?」
「……」
「どうしました?」
「……」
店主が黙る。
「お前ら!この役人を殺してしまえ!」
店主のその言葉で4人の男が出てくる。
「こっちが下手に出ればいい気になりやがって!」
いやいや、そっちが勝手にしたんでしょ!何か俺が悪者になってない!?
「火の玉!」
俺に向かって男1が初級魔法を撃ってくるが華麗に避ける。
「避けるな!」
男1が言ってくる。いや、避けないと痛いから。
「これならどうだ!」
数人が初級魔法を撃ってくる。火と水と雷か、相性悪いな。そこは雷じゃなくて土。小学校の教科書にも出てるぞ。
て指摘している場合じゃない。俺はポケットから魔法アイテムを出す。
「魔法アイテム、反魔法!」
すると、魔法が消える。
「クソッ!お前らなに役人一人に手こずってるんだ!」
店主が怒鳴る。
「はぁ、煩い。黙れ」
「「「!!」」」
俺がそう言うと男たちが一人ずつ拘束される。
「魔法アイテム、拘束する糸」
男たちが抵抗するが逃げ出すことはできない。まあ、最上級魔法の|道具の無効化《アイテム ディフィーザンス 》を使用すれば簡単に逃げられるが。しかし、男たちの初級魔法の質から最上級魔法の使用は無理だろう。
俺は恒久魔法アイテムの魔法電話で上司に連絡する。
ピッ
『…はい、セリーヌ=ワイルズです』
「カイル=フィギスです。忙しいのにすみません」
『丁度今日の分は終わったから』
「お疲れ様です」
『それで用件は?』
「抵抗した違反者を拘束しているのでギルドに連れていっても良いですか?」
『抵抗したならいいよ』
「わかりました」
『それと、もう遅いから報告書は明日でいいから今日はそのまま直帰していいよ』
「わかりました。それではギルドに行くので失礼します」
『お疲れ様。また明日ね』
「はい」
ピッ
俺はそのまま近くにあるギルド支部の検査課に連絡する。
ピッ
『こちらビセット支部~、検査課で~す』
「私はビセット市役所、検査課のカイル=フィギスです」
『えっ!フィギスさん!い、いつもお世話になってます!』
「あ、こちらこそお世話になってます(毎回テンション高いけど疲れないのか?)」
『今日はどうされました!?』
「えーと、抵抗した違反者を拘束したので今から連れていきたいのですが大丈夫ですか?」
『(フィギスさんのためなら)大丈夫です!でも、フィギスさんがそこまでしなくてもこちらから暇人を行かせますよ?』
「私情でギルドにようがあるので私が連れていきます」
『わかりました!お待ちしてます!』
「失礼します」
『失礼します!(化粧し直さないと!)』
ピッ
何か心の声が聞こえた気がする。きっと疲れてるんだな。
「よし、もうひと頑張りしますか」
俺は転移の魔法陣が描かれた紙を床に置き、魔力を込める。
すると、紙がひかり出す。
「行き場所、ビセット支部玄関、人数は6名」
シュン
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「これは困ったね~。貴重な実験体が減るね~。でも、まだたくさんお店はあるからいいけどね~。このお店、消さないとね~」
「全て削除」
一瞬にして店が跡形もなく消える。
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