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#42

 いずれにせよ、私に残された時間はあと2日。


 よって、あと48時間しかない。


 その2日間が過ぎてしまうと、「自分(わたし)」の存在がなくなってしまう……。


 私は残された残りわずかな時間を悔いなく、楽しく生きていこう。



 *



 篠田さんが教室から出たあと、私達は予定していた学校案内ツアーの続き及び、部活動の見学をすることを止めた。


 その理由(わけ)は彼女が話した事実を知ってしまって、全員、ショックを受けてしまったから。


 聡や柚葉達は部活のため、それぞれの場所に行っちゃったし、白鳥さんも私とは反対方面に家があるらしくて、一緒に帰れなかった。


 彼女らはこのあとの部活で上手く行かなかったということがないといいんだけど……。


 ♪~……


「あっ、ロングトーンが始まってる」


 私が校門から出ると、音楽室から吹奏楽部のロングトーンが始まっていた。

 その音は「レ」かな?


 私は無意識のうちにクラリネットを手に持ったふりをし、指を動かしている。

 よく、私やフルートを吹いていた友梨香は定期テスト前とかはエアーで指を動かして練習してた。

 クラリネットやフルートは他のパートが落ち着いている時は高速で指を動かしていることが多いし、少しでも腕を落としたくなかったから……。



 *



 私はなるべく明るい道を選んで家に帰り、自分の部屋にいる。

 宿題を終え、パパから受け取った今まで友梨奈(わたし)が吹いていたクラリネットを眺めていた。


 何日間かクラリネットを吹いていなかったのに、なぜか吹きたい気持ちになる。


「もう1度、クラリネットを吹きたいなぁ……」


 そういえば、彼女らから言われたことがある。


「結衣は今までクラリネットをやってたんだから、他の部活に入るのはもったいないよ」

「結衣も是非、入ってほしいなぁ」

「結衣ちゃん、もう1度やってみようよ」

「あたしも! 一緒に演奏しようよ!」


 現役で吹奏楽部に入っている柚葉、早紀、凪はもちろんのこと、吹奏楽部に入っていない白鳥さんも言ってきた。


「せっかく、楽器はあるのにもったいないよね……もう1度やってみようかな」


 私は苦笑しながら、クラリネットをしまい、鞄の中に入れる。


 そして、本棚に置いてあるルーズリーフバインダーを手に取り、この残された2日間でやりたいことをいろいろまとめた。


 そして、私はご飯とお風呂、明日の準備を済ませ、眠りについた。


 私の残り少ない旅路が少しずつ始まろうとしている。

2016/08/05 本投稿

2016/10/02 後書き欄の「次回更新予告」の削除

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