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42/53

#41

 私達は違う場所ではあったが、私と彼はおそらく、同じタイミングでふと笑っただろう――。


 それは嫌味っぽく、冷酷に――。



 *



「あっ……診察室の電気を消し忘れてしまった……」


 彼は診察室の電気の消し忘れに気づいたらしい。

 そこに戻ろうとして後ろを振り向いた時、私は「ジャスパー先生?」と呼んだ。


「おや? 友梨奈さんからこちらに伺うなんて珍しいですね」


 ジャスパー先生が私に気づいてくれ、私はほんの一瞬だけ微笑む。

 私はすぐに真顔に戻ると、「あの……実は私、訊いておきたいことがあったので……」と少し躊躇いながら彼に言った。


「それは、なんでしょう?」


 彼は私に問いかける。


「……もし、私の目的が果たされたらどうなるのかが知りたくて……」

「僕もあの頃から、ずっと脳裏に引っかかっていました。そのことについて訊きたかったのですね?」

「ハイ」

「実は僕も先ほど解析を終えたところです。まぁ、友梨奈さんの解析ではないと言った僕も同じことをしましたから」

「やっぱり、私のことだったんですね」

「ご察しの通りです」


 やはり、彼が言っていた解析は私の解析だったんだ。

 お互いに隠していた胸のモヤモヤが晴れたような気がする。


「早速で申し訳ありませんが、友梨奈さんは目的を果たしましたら、あなたの存在はなくなります」

「転生する前に言ってた、魂しか存在しない「亡霊」ですか?」

「えぇ。しかし……」


 彼は即答していたが、私は再びショックのあまり何か言ってるけど、聞き流してしまった。

 もう、目的を果たしたら私の存在がなくなってしまうのは寂しすぎる。


「私の第2の人生(ネクストライフ)もやっぱり短いのか……」

「後悔はしていませんか?」

「実はしてますね。部活に顔を出していなかったので……」


 まだ、私が「野澤 結衣」として学校に通い始めてまだ1日しか経っていない。

 クラスのみんなと話したいし、部活にも行きたいし、まだまだやり残したこともあるから――。


「そうでしたか。友梨奈さんが「野澤 結衣」として前世にいられる最終日(タイムリミット)が近づいているのです」

「あと何日、猶予があるんですか?」

「あと、2日間です」

「あと2日でやり残したことをやるのはキツいと思うけど、少しでも後悔のないように過ごします」


 2日でやり残したことを全力で片づけようと決意した。

 「木野(いままでの) 友梨奈(わたし)」としても「野澤(てんせいした) 結衣(わたし)」としても――。

2016/08/04 本投稿

2016/10/02 後書き欄の「次回更新予告」削除

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