表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/53

#28

 そう思ったやさき……。


「の、野澤さん? さ、さすがに今からだと1時間目が始まっちゃうから昼休みにしよう?」


 柚葉が少し慌てたような口調で私に言ってくる。

 よく考えてみたら、あと数分後には1時間目が始まってしまう。


「そうだよ。昼休みにしようよ」

「授業はサボっちゃダメだしねー」

「白鳥さんはいつもサボってるだろ?」

「バレた? さすが、学級委員長!」


 白鳥さんと松井くんは楽しそうに話している。

 彼女は相変わらず、授業をまともに受けていないらしい。

 さすがに彼も柚葉もそれには呆れているようだった。


「そうですね」


 ふと気づいたら私の周りに人だかりができていた。

 やっぱり、この時期に転校生は珍しいし、話したいことはたくさんあるだろう。


 短い休み時間はできる限り、クラスメイトの質問に答えていくようにした。

 なぜなら、最初が肝心だから――。



 *



 校内にチャイムが鳴り、4時間目が終わった。

 少しずつ教室から人が出ていく。

 私がこのクラスにきてから、まだ半日しか経っていないのに、周りのクラスメイトからたくさん話しかけられたのは久しぶりだった。

 こうして今も私の周りには小さな人だかりができている。


「野澤さん、一緒にご飯食べに行こう。僕は学食だからさ」


 そんな中、松井くんが私に声をかけた。


「いいですわよ。わたくしも学食ですので」


 私は彼の誘いに快く応じると、柚葉と白鳥さんが人だかりの間を縫って顔を出した。


「松井くんは野澤さんを独り占めだね。わたしとまひろも学食だから、みんなで行こうよ! 食堂までいろいろ案内しながら行けるしね」

「そうだね。ご飯はお弁当の持ち込みも大丈夫だからね」

「どちらでもいいのですね。ありがとうございます」

「学校案内ツアーの始まりだ!」



 *



 その時、私はアレ? と思った。


「友梨奈さん?」


 私はそのふと問いかけに「ハ、ハイ!」と素っ頓狂な返事をする。


「って……ジャスパー先生じゃないですかぁ……」

「久しぶりですね」

「言われてみれば……久しぶりかもしれないですね」


 ジャスパー先生は軽く頷き、彼は「さて……」と呟いた。


「現段階で分かったことはありませんか?」

「え、今のところはないですね……」


 確かに、ここまでの収穫は0だなぁ……。


「そうですか……。何か分かるといいですね?」

「……ハイ……」

「では、僕はこれで」


 うっ……何、この威圧的な雰囲気を放った言い方は!

 ジャスパー先生が出てこなかったら、いくつか伏線回収できたのにー!

2016/06/04 本投稿

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

その他の作品はこちらから(シリーズ一覧に飛びます。)

cont_access.php?citi_cont_id=790045725&size=200
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ