#17 (♪)
【作者より】
今回の第17話は説明図が2つあります。
画像が見づらかったらすみません。
今後、挿し絵や説明図が入る時は「♪」をつけて表示しますので、ご了承ください。
ジャスパー先生は私が呟いたことに気づいたのだろうか?
「では、友梨奈さん。手当てを始めます」
「お願いします」
全身に傷があるため、消毒液がもの凄く染みる。
私はどういう体勢で自殺をしたのか分からないくらいの傷口があった。
時々、彼の口から「ここは傷跡が残りますね……」と言いながら進めていく。
*
あれから5分くらい経ったあと……。
「まだアザが目立ちますが、一応手当ては終わりました」
「ありがとうございます」
私の傷だらけの身体には包帯や絆創膏が貼られていた。
もし、私が生きていたらみんなに馬鹿にされるか、心配されるかのどちらかだ。
「ところで、あなたは先ほど、おばあさんになるまで生きたかったと仰いましたね?」
ジャスパー先生は私の顔を覗くように問いかける。
彼は私が呟いたことに気づいたようだ。
「ハ、ハイ。確かに言いました」
「ならば、もう1度やり直してみませんか? ただし、2度目の人生になってしまいますが……」
「えっ!? 凄い! そんなことができるんですか!?」
「作用ですが?」
「だったら、このままの姿で戻りたいです!」
彼はまだ覗くようにして見ている。
私は上目づかいで今現在望んでいることをはっきりと言った。
「……残念ながら……」
彼は眉間にしわを寄せる。
「残念ながら、そのままの身体で前世に戻ることはできません」
「なぜですか?」
「先ほど、友梨奈さんが仰っていたようにあなたはすでに魂は前世にあります。しかし、あなたの身体はそこには存在しないのです。よって、あなたの両親やお友達にも会えないのです」
ジャスパー先生はメモ帳とペンを机の引き出しから取り出すとこのような図を書き始めた。
「……そんなぁ……」
私はがっくりと肩を落とす。
「今の友梨奈さんの容姿を見ることができるのは僕だけです。ただ、どうしても前世に行きたいならば……」
「それは……?」
「別の人間になるか亡霊になるかしかないのです」
さっきの図の下に新たに追加される。
彼は私に分かりやすく説明してくれた。
「私以外の人物になる……」
「えぇ。それしか方法はございません。それでも、前世に行きたいですか? それとも、そのまま亡霊になりますか?」
「……うっ……」
亡霊になるか、私以外の人物になるかって……。
私が前世に行くだけなのに、なんという選択肢なの?
「選べませんか?」
亡霊になるのだけは嫌!
私、どうしても前世に戻りたい!
今の私で戻れないならば、私以外の人間になって戻ればいいんだよね?
「……お願いします。私は前世に戻れるなら……手段は選びません」
「畏まりました。手術は明後日にしましょう」
「ハイ」
「では、こちらの紙に友梨奈さんの要望を書いてください。僕があなたの要望に添った人物にしますので、ね?」
彼は私に紙とペンを差し出すと、「あとで取りに伺います」と言い、病室から出て行った。
2016/03/26 本投稿
2016/08/14 誤字修正