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愛嫉てる?  作者: モッキー
第1章 悪の日常
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悪の帝王サターン、苦悩を知る

やあやあ、元気かね?愚かな人間どもよ。


私だ、悪の帝王サターン様だ。


なに?一ヶ月に一回の更新じゃなかったのかだと?



ーーーーークソが…!



私を誰だと思っている?悪の帝王サターン様だぞ!!

そんな私が何故、愚かな人間に合わせて更新ペースを合わせ、尚且つ決めたルールに従わねばならいのだ!?


「悪とは常に常識の一歩先にいるのだよ。人間」



悪の帝王が常識に囚われていると思うなよ!



ーーーーーん?今回は何をしているのかだと?


………そんなこと、言わずともタイトルを見れば一目瞭然ではないか。



「今晩の夕飯の買い出し中だっ!!!」


ったく、無知な奴らよ。これではニポーンの将来は不安でしかないな。

まあ、悪の帝王である私が支配してしまえば何ら問題もないのだがな!

おほほっ!我ながら悪い考え!常識に囚われておらんわ!!


「…おじちゃん、なにニヤニヤして笑ってるの?」


おっと、思わず顔に出てしまっていたか。ぐへへ。



ーーーーーー……って



「でたぁぁぁ!!少女エーーーーッ!!」


「…こんにちは、おじちゃん」


「ぐおぉぉおぉぉ!!!」



ーーー説明しよう!少女Aとは悪の帝王サターンの弱点である優しさや温もり、親切な言葉を容赦なく掛けてくる恐ろしい人間なのだ!

そして、悪の帝王サターンは悪の根源(笑)である為、優しい言葉などを掛けられたりすると心身ともに甚大なダメージを受け、吐血するのだ!


「ぐふ…!(出会って早々、律儀に挨拶してくるとは…恐ろしいまでの常識人な小娘よ!だが、挨拶くらいで屈伏する私では……!!)」


「…おじちゃんも買い物?」


「おじちゃんと言うな……って、“も”…だと?」



ーーーーーま、まさか…少女A、貴様!!



「特割引セールの目玉商品の牛肉を買いにきたな!?」


「今晩はすき焼きの予定です」


「やはり、侮れん奴よ!!ふふっ、だが甘い!セールの時間となればそれに群がる猛獣どもが現れるのだ、貴様のような小娘などあの場に立つだけで細切れよ!」


「はぁ…じゃあ、おじちゃんはどうするの?」


「知れたこと!私は悪の帝王だぞ!!帝王のやることはただひとつ…!」


「帝王…時間を止……」


「誰よりも始まる前に素早く取る!!」


「……時間を数十秒…」


「私を一体、どこの悪の帝王と思っているのだ?」



ピ~ン~ポ~ン~パ~ン~ポ~ン~!!


ムッ!!始まったか!


「さらばだ、少女A!」


フハハ!スタートダッシュは完璧よ!

左曲がりの右曲がり!そこのけそこのけ愚民ども!!


「見えた!」


割引牛肉発見!前方敵影なし!

完璧だ!私の速さに誰も追い付けんわ!!

後、数センチ!!行ける!



「もらったぁぁぁ~~!!!」



ーーーーーーーーーーー



「無念だぁぁ!」


私は一人、店の前で叫んだ。

違う、聞いてくれ!牛肉は取れたんだ!!

取れたが…そう、猛獣に横取りされ、恐ろしい力で蹴散らされてしまったのだ!

あれが主婦と言うものなのか…?!



「…おじちゃん、泣いてるの?」


「泣いとらんわい!って、少女A!貴様、その袋は…!!」


割引牛肉ではないか!

何故だ!?悪の帝王サターンである私が取れなかった物を何故、平均女性よりやや小さめの小娘があの激戦の中どうやって手に入れられたのだ!?

こやつ、やはり人間ではないのか!?(※人間です)



「…おじちゃん、家に来る?」


「なに…?」


今…なんと?家に来る?


「すき焼きの材料…買いすぎたから…」


「……な」


「な?」


「何が目的だーーーっ!!!?(吐血)」


アバババ!!慈しみの心が突き刺さるー!

なにこの胸の痛み!?感じたことの無い気持ちだぁぁ!!


「もうやだ!この小娘ーーー!!!!」


「あっ、おじちゃーん…!行っちゃった…」



その日の帰り道…

私は町内中を駆け回り、三時間ほどしてから帰宅すると玄関の前に…



【温めてからどうぞ】…と書かれた張り紙付きの小鍋があった。




勿論、吐血した。それも盛大にな…(*ゝ`ω・)




ーーーー後日、悪の帝王サターンは鍋は洗って返しましたとさ…



「ぐふっ…!!胃に穴が開きそうだ…!!」



そして、また寝込んでしまったそうな…



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