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愛嫉てる?  作者: モッキー
第4章 焼肉ウォーズ!
13/14

悪の帝王サターン、焼肉屋へ行く ミカエル編

思ったより長くなりそうなので一旦、区切るゾイヾ(@゜▽゜@)ノ

この焼肉回が終わったらキャラ紹介した方が良いと思う人は読み終わったら感想とポイントを付けてくださいm(_ _)m

《ミカエル》side



------天界。



そこは空高くに存在し、人間の目には決して映ることの無い俗世から隔離された極楽浄土…そして、桃源郷や天国と人間たちにしばしば言われている神々の国である。



「-----を以てして、人間界と我ら神々と天使らが住まう天界を脅かすであろう。“魔王”の存在を許すべきではない」



そんな天界に存在する。神々しい神殿内にある高台の上で白髭の老人、ゼウスが重々しい声色で宣言する。

その絶対的正しさを主張させるゼウスの高らかな宣言に、目の前で終始無言で見上げ聞き入っていた“天使”たちが感銘かんめいを受けたように頷き賛同する。


「……あっほらしい」



全能なる神の教えに、ミカエルは柱の影から父であるゼウスに静かに悪態を吐く。

魔王サターンに天界まで殴り飛ばされて以来、ミカエルはふて腐れたように天界に暇をもて余していたのだが…

大事な嫁入り前の娘がサターンに殴り飛ばされて帰ってきたせいでゼウスは見ているこちらが恥ずかしいほど憤激ふんげきし、頻繁に魔王サターンを撲滅せねばならないと講演を続けている。

そんな父の姿に、ミカエルは嫌気が差し苛立ちを募らせていた。



「サターンは別に悪くないし……」


別に魔王を庇っているわけではないが、あの時、あのサターンを怒らせ殴らせるまでに至らせたのは紛れもなく、自分が原因だ。



大天使である自分が…私欲である目的の為に人の命を軽んじたから…

幽冥界ゆうめいかいの冥王神ハデスに頼み込み、あの場で死んでしまった魂を特別に戻しては貰えたが…それでチャラになるほど軽い罪では無い…

それなのに……



「魔王は許されるべきではない。すでに人間界で厄災を引き起こし、“先日も我が雷を使い人間たちを死に至らせた”始末……!」


「っ……!好き放題言いまくって……くそジジイ!!」



もう我慢なら無い…!!

いくら全能神ちちおやいえど、こればかりは怒らずにはいられなかったミカエルはどこからともなく釣り針の付いた釣りざおを取りだし、ゼウスの背後から釣糸を投げ込む。

ふぁさぁ…と聞こえてきそうにゼウスの白髪の上に釣り針が落ちるがゼウスは魔王が如何に凶悪かと熱弁して気づいてはおらず、ミカエルはこれでもか!とばかりに力を込めて釣りざおを引いた。



その瞬間…



スポン!!



「「「あっ……」」」


「む…?なんだ?」


「よっと…!!」


気持ちの良い音と共に熱弁しているゼウスを見上げていた天使たちの唖然とした声が神殿内に響き渡った…

何が起きたのか分からずにいるゼウスにミカエルは純白の翼を広げ羽ばたきながら正面に立つなり、にんまりと維持悪く笑うとゼウスを指差しながら高らかに言った。


「パパ!!みんなの前でかつらはやめてって言ったでしょ!!」



ーーーーードッ!!!!



ミカエルの一言に一斉に吹き出す天使たち。

沸き上がる大笑いが神殿内に響き渡る中、ゼウスは頭の先まで真っ赤にさせながら今にも噴火しそうな怒りの形相で見下すような視線を向けながら羽ばたくミカエルを睨み怒声を上げた。


「ミカエルぅぅぅ!!!!この、イタズラ娘がぁぁぁぁ!!!!!!魔王サターンを勝手に引き連れに行って失敗して帰ってきたばかりか、大天使足る者が全能神であるパパに恥をかかせるとは、なんたることかぁぁぁ!!!!恥を知りなさい!!後で聖書三時間の………!!!!!!」


「だぁぁぁぁぁ!!!!!!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさーーーーーーい!!!!かつらだってバレたくらいでわめき散らさないでよ恥ずかしいなぁ!!これだからかつらハゲ頭は!!」


「それを言うんじゃない!!!!」


普段は威厳の塊であるゼウスが娘に翻弄され、尚且つミカエルがかつらとかつらと叫ぶ度に天使たちは沸き出すように吹き出し、笑い続ける。

この状況にゼウスに赤っ恥をかかせた。してやったりとミカエルはニシシと愛らしく笑い、さてとゼウスに背を向け神殿の外へと羽ばたいていく。


「っ!?どこに行く気だ!!ミカエル!待ちなさい!!」


「ハゲ頭の説教なんて聞いてたらあたしまでハゲる!!それにっ……!!」


「それに……なんだ?!はっきり言いなさい!!」


口ごもるミカエルにゼウスは怪訝そうにさせる。



「それに……それに…ッあぁぁぁ!!!!もううっさい!!家出よ家出!!こんなお気楽能天気天国から家出してやる!!!!」


顔を真っ赤にしながら喉まで出かかった言葉を飲み込み。

ミカエルはゼウスが止める間もなく、幼稚な言葉を吐きつけ、弾丸のごとく速度で神殿から飛び出していった。



(ほんっと、最悪!!これもあれも、“あんた”が素直に魔界に帰らないのが悪いんだからね!!)


雲を突き抜け、ミカエルは心の中で“あの男”を毒づきながら真っ直ぐ人間界にある。現“魔王城”であるボロアパート目指して滑空して行くのであった。




ーーーーーーーーーーー



◇人間界◇



「よっ、こいしょ~とっ!」



目的地である現“魔王城”。サターンが住まうボロアパートの屋根の上に華麗に着地したあたし。

我ながらうら若き乙女であるあたしが家出とは……豪快なことをしたと思う。

若ゆえの過ち。若干の後悔をしたけど……二秒で忘れた。

うん、仕方ない仕方ない。人間的に言わせれば、後の祭りってやつだし、気にしな~い気にしな~い。



「さて、サターンはいるのかなぁ~っと?」


屋根の上からサターンの部屋を覗き込むと……

何をしてるのか、サターンは机の上に大量に置かれた花びらと茎で一つの花を作っていた。

いや、ほんとなにやってんの。あの魔王?



「まあいいや」


考えるより先に諦めたあたしは遠慮ぎみに(実際はそんな事ありません)窓から部屋に入るがサターンは作業に夢中で全く気づいていないみたいだった。


(……バカみたいに集中してるわね)


さすがに邪魔をしては不味い気がするので抜き足差し足、忍び足。作業に集中するサターンの背後に近付き、そっと覗き込むとサターンは早く終わらせねば、約束の時間に間に合わんなどと呟いているのに気がついた。



「まあ、この悪の帝王の力をもってすれば半日すればあっという間だがな!」


あぁ~、だから急いでるのね。アホらしいなぁこの悪魔は…

突然、キメ顔でドやるサターンのバカさ加減に嘲りを通り越して、哀れみの目で見つめるあたし。

可愛そうだから率直な感想を述べてあげよう。


「よくもまあ、そんなくだらないことで悪の帝王だなんて言えるわね」


「くだらないとはなんだ!くだらないとは!!貰えるお金は少なかれど、これも立派な仕事の内だ!!」


「これが仕事ねぇ~…天界の大天使であるあたしには不必要だわ」



不必要どころかマジ有り得ない。と言うか労働なんてしたくもない。

てか、前も思ったけど魔王の面影無いなこのバカ。

読者の皆さん。こいつ、これでも魔界では極悪非道の魔王だったんだからね、忘れてあげないでね。別に忘れても支障ないと思うけど。


「ミカエル!?」


「うわっ!?ビックリした…な、なによ、いきなり…?」


さっきまで普通に会話していたサターンが急にあたしの存在に驚き出した。

って、気づいていなかったのかこいつは…!!

むかつく。作った花がどうなってるのか気になってたから解体してやる。


「ビックリしたのはこっちだ!!何故、貴様がここあっ、こら造花を壊すな!!」


へぇ~、これこうなってんだ。

人間って昔からチマチマした仕事好きだなぁ~って思ってたけど、これは素直にすごいって思えるわぁ~。

さすが、知恵の実を勝手に食べただけあるわね。


「貴様はあの時、私に天界にまで殴り飛ばされたのでは無いのか!?」


「へぇ~?ぷぷっ!!今どき、負のオーラを纏ったパンチ一発で元いた場所に吹っ飛んではい、おしまい~なんて奴いないでしょー」


「バカ!それ以上は言ってはならん!」


心配しなくても誰も気にしないわよ…。

まあ、それはさておき…邪魔だな。この花…

ケケケ、ちょっと退けるわよ~~



ーーーーーガサササーーっ!!



ぁっ………これでよし。えぇっと、人に頼む時のポーズは確か…

こう、うっとりした目と色白の二の腕を見せながら下から見るんだっけ?

なんでもいいや。


「んねぇ~~、サタ~ン~~」


「な、なんだ!!(泣)」


あたしの声にサターンは涙を流しながら花の材料を拾い見つめてきた。

…なんで泣いてるのか分からないが、長引く前に本題を言っておく。


「しばらくこの家に置いてよ♪」


「……なに?」


「実を言うとさぁ~、あなたに天界までぶっ飛ばされちゃって数日後くらいに、パパが天界中にいる天使たちに行うありがた迷惑な講演があってね」

 


おぉっと会話の隙は与えんぞ~!

すかさず、あたしは言葉を続けてしゃべり続ける。



「私の娘が魔界の魔王にコテンパンにやられたー、とか天界中に言いふらすから頭にきてさぁー。あっ、覚えてる?パパがかつらってこと」


「私とお前が同じ小学校に通っていた頃ではなかったか?いやぁ、懐かしいなぁ。散々イタズラし倒した小学生…」


「と言うのは次回に置いといて…神様のくせにハゲなのをロン毛のかつらで隠してるのよ」


「次回にとか言うな。まあ、あの年の年代だと誰しも気になるのだろう…それがどうかしたのか?」


「もう、本当に頭に来たから演説中に釣竿でかつらを取って、天界中の笑い者にしてやったの。いやぁ~~、余りにも見事に取れて笑ったよ!天使たちの呆気にとられた表情とか本当、可笑しくて!!爆笑だったわー!」


まだ隙を与えないわよ!

素直に聞き入るサターンにあたしはそれでね、と話を続ける。


「パパ、大激怒しちゃったわけ。三日前に説教させられたばっかりだったし、うんざりしたから言ってやったのよ。『こんな場所から家出してやる!』ってね!」


「…で、私の家に来たわけか…」


「あったり~~!!だから、お願い!しばらくこの家に住ませて~!」


察しの良いサターンはふむ、と唸り考え込んだ。

…渋い表情をしている時のサターンは大体、前に起きた出来事と今の出来事を照らし合わせている時だ。

長くなりそうな気がしたあたしは食器棚からよくわからない円盤形の茶色くて固い物に薄くて黒い長方形の物が貼られた香ばしい匂いのする食べ物を手にして寝そべることにした。


「いや、そもそもこの部屋は五畳半しか……」


「えっ?なに?」


意外と早く結論を出したらしいサターンがあたしを見た瞬間、それは私のだと言わんばかりの形相になった。


「細かい事は気にしないよ~。てかなにこれ固いし、湿ってる…マッズイ」


天界には無い食べ物だからどんな期待したけど塩辛い。人間はこんな物を好むのかしら?

舌がおかしくなりそ…


「それでも私が楽しみに取っておいた堅焼きせんべいだ!!返せ!!」


マジかサターン。あんたこんなのを楽しみにしてるの?

魔王云々、サターンの舌の心配をしようとしたがふと、外を見ると夕日を向かえていた。


「そろそろ暗くなってきたねぇ」


そう呟くとサターンは苦虫を噛み潰したみたいな顔をすると…


「えぇい!!ミカエル!私は少女Aとの約束があるのでな!!昨日の夕飯の残りが冷蔵庫に保存されているから適当に食べて過ごしているがいい!!留守番はたのんだぞ!!」


「あっ、ちょっ!?サターン!!」



突然、そう言うとあたしの静止も聞かず、サターンは慌てて身仕度を済ませ部屋を飛び出していった。



少女A?あの人間の女の子…?


「約束……なによそれ!」


あたしは犬かなにかか!!

ムカついたあたしは部屋の戸締まりをしっかりした後、サターンの後を空から追いかけることにした。




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