第九話 さいしゅうかい造人間
衝撃で、コンクリートはかなりめり込んでいたはずだろう。
にもかかわらず【何か】は、砂煙の舞う中、すっくと立ち上がった。
「ふ、僕の名はゴシ───」
「うわ!」
「う。」
「ぎゃああ!」
「おわっ!」
「きゃ!」
「───う、えええええっ!?」
ヘルトゼクス達が即席の大穴に足をとられ、転がって行った!
「…………ごぶぉっ!!」
ただいま、穴の中の人口密度が大変な事になっている。
見ると、ゴシウヤブの顔の上に何かが乗っていた。
「………………ん!? こ、こここの柔らかいのって……」
「きゃ、きゃああああっ!!」
「ひゃ、ひゃああああああああっ!!」
四人が体を起こし、穴から這い出ると、絶叫が轟いた。
「う、うっ」
【柔らかいの】。
それは、岬桜奈の尻だった。
桜奈が立ち上がると、渋谷業はそのままバタンお倒れ込んだ。
「ふ、えっ」
立ち上がったものの、桜奈も遅れてノックアウト。
「さ、桜奈!」
「ああ。」
「おのれ、桜奈ちゃんのケツ触りの処女が!!」
「わー! セクハラだセクハラ!」
【結果】
ヒップドロップを喰らったゴシウヤブ、ダウン。
へルトゼクスのピンク、岬桜奈、ノックアウト。
……引き分けか? コレ。
気を失った仲間を見た四人は、仕方なく桜奈を抱き上げ、退場して行った。
「お疲れ様でした副社長!」
「よく頑張りましたね!」
「おめでとうございます!」
パン! とクラッカーが鳴らされた。
「ありがとう」
いつもは道路になっているコンクリートに、ブルーシートが何枚も敷かれている。よく見ると、ビルの壁面に「記念パーティ」とかかれたパネルが取り付けられていた。
「それでは、ラムネリアンの勝利? を祝って、カンパーイ!!」
「「「「「カンパ〜イ!」」」」」
カチーン、とグラス同士が合わさる音がした後、ガヤガヤと移動する人々でシートの上がごっちゃになった。
「副社長」
「何?」
「ちょっと、今回は大げさだったのでは?」
副社長秘書の江東が聞く。
「うん、このパーティお金かけ過ぎだよね」
「そこじゃないです」
「え、違うの?」
「飛び降りですよ飛び降り!」
「あ、そっち」
きょとんとした顔をする渋谷に、江東のこめかみが、一瞬ピクリと動いた。しかし、何とか押し留める。
「あれ、窓あるじゃん?」
「はい」
「嵌め殺しじゃん?」
「え」
「つまり破れないじゃん」
まさか、仕方無く飛び降りたのか?
てか、窓割る程度で躊躇すんなよ、と言うとブーメランだけど。
案の定江東も、その事で激おこ……ぷんぷん丸? だ。
「それより、じゃんじゃんじゃんじゃんうるさいんですよ!」
「じゃんは三回!」
「『ハイは一回』みたいに言わないで下さい!!」
「そうですよ」
二人が振り返ると、お馴染みの目黒、品川、中野、大田が呆れ顔で立っていた。
「我社の改造技術凄い、と言いたいんですね分かります」
「ポケットマネーを出すのは嫌ですか?」
「よくそんな脳筋で生きて来れましたよね」
「真面目な副社長も素敵です! ね、心…………
そうなのー、パパすてきなのー」
「「「「「大田キモイ」」」」」
一同からのブーイングに、大田はしょんぼりとうなだれた。
その落ち込みように、誰かがぷっ、と笑みをこぼす。
渋谷と部下達は、つられてあはは、と笑い合った。
そのうち渋谷が、にっこりと微笑んで言った。
「これからも、よろしくね」
なんじゃこりゃ、と思ったそこの貴方。
まだ続きます!
だって、最終回ってはっきり言ってないですもん。