プロローグ 『俺の告白と、彼女の告白と。』
今から俺が語るのは、友情と淡い恋心と大きな夢の混ざりあった俺たちの物語。
ごく普通の高校三年生祐と、同じく三年生真の物語。
そんな二人の普通の、少しばかり特別な恋の物語。
さて、そんな物語を少し格好つけて語り出すなら、
『俺には、想いを伝えなければならない人がいる』
そんなところだろうか。
夕日が照らす並木道、真とふたり並んで歩く
想いを告げるには最高のシチュエーションなのだが、俺は未だに思いを伝えられずにいた
「…はぁ」
ふと出たため息に、思わず手で口をふさぐ
幸い、真には聞こえていないらしい
「今日はありがと」
「え」
「ありがとう、元気出たよ」
突然の言葉に声が裏返る
真は絵画を学んでいて、コンクールにも度々出場している、今回は残念ながら良い評価をもらえなかったそうだ。
ここは男として元気づけなくては!と口を開いた。
「その…なんだ、早く元気だせよ、俺はお前の…」
そうやって彼女のほうを向いた、そしてそのとき言葉が詰まってしまったのはきっと、まさに言わんとした言葉を真が体現していたからだろう
「笑顔が…」
真は笑っていた。静かに、それでいて木々を金色に染める夕日に負けないくらいに輝いていた。
そう、俺はこの笑顔に、こんな彼女に恋をしているのだと、再確認した
「…好きだ、お前の笑顔が、お前が、好きだ」
それは俺の人生で初めての、"告白"
「俺はお前ともっと話したい、もっと仲良くなりたい、こんな俺がこんな風に想いを伝えようと思えるようになったのもお前のおかげだ」
真は俯いている
ダメかもしれない、そんな否定的な考えは頭にはなかった、いや違う、そもそも頭は沸騰して考えは回るような状態ではなかった、少なくともその時は
「俺と付き合ってくれ」
俺の決定的な問いに対して真は未だ、俯いていた
「…」
「ダメ…なのか?」
そう聞いたとき、真は小さく、とても小さく首を横に振った
「それなら…」
そう聞いたとき、俺はまた言葉を詰まらせた、なぜならゆっくりと上げた真の顔の頬をキラリと光る涙が伝っているのが見えたからだ
そして真は…
「…ごめんなさい、私は付き合えないの」
真の決定的な答えに俺は、さっきとは違う意味で思考が停止していた
「そ、そうか…」
「でもね、私もタスクのこと好きだよ、ずっと前から好き」
「え」
脳の思考停止状態に拍車がかかったようだった
「でね、聞いてほしい話があるの」
その話は、おそらく俺の人生を変えたであろう分岐点そのものである。
愛しい彼女からの精一杯の、"告白"
本作品は、私自身の初めての小説投稿となりますので、生暖かい目で読んでやってください。なお、次回からの投稿に関しては不定期で投稿いたします。学校生活を送りながら、少しずつこの作品も完成させて行きたいと思っておりますので、どうか応援宜しくお願い申し上げます。