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068「67 似た者兄弟に説明を」

「67 た者兄弟に説明を」


白いわたりがらすが当たり前の様に、自然とイロハのそばに陣取っている

『アジュライトってすごいんだよ!』

何時いつもの事かのごとくに、イロハが白い渡り鴉の事を自慢じまんする


帰って来てから半日が過ぎ

ソラはやっと『おぉ~、そう言う事っすか』と

胸の前で、ぽんっと手を打ち

存在すら消えて無くなっていた1体の機械人形

イロハが「おにいちゃん的にしたっていた」家庭教師ロボ

それが・・・

「白い渡り鴉」になった「アジュライト」の正体だと、気付く


『お?もしかして、ソラも分かる様になったのか』

レイブンとセレスは、先に気付いていたらしく

『ソラは少しにぶいな』と、ソラを笑った。


笑われた所でソラは

『イロハの母親の願いを破棄はき

それ相応そうおう対価たいかと交換に私が、その願いをかなえましょう』と言う

夢路ユメジの言葉を思い出す


『レイ…俺達の母親は、夢路さんと面識あるんすかね?』

ソラは浮かんだ疑問をそのまま口にし

唐突とうとつだな…つか、んな事知らねぇ~よ

そもそも、何処どこから来たよ…その発想、突拍子無とっぴょうしなさ過ぎて意味分かんね』

レイブンと・・・

たしかに…会話には脈絡みゃくりゃくを付けて欲しいモノだな』

セレスを困惑こんわくさせた。


ソラはそれでも、その話をしたくて

レイブンとセレスに、おさないイロハを夢路にあずけた時の話をする


レイブンは、その話にだまって聞き入り

本当に何も知らなかったらしく

『そりゃ確実に母さん、客だったって事なんだろぉ~な』と

少し暗くなった表情で、深く溜息ためいき


ただし、セレスは・・・

『だからどうした?

そう言う経緯けいいが無ければお前も、レイ君も、イロハも

誰も助かる事は無かったんだぞ?』

「馬鹿な事を言っている」と言わんばかりに、ソラを見下ろす


ソラは、意味が分からず声をふるわす

『セレスさんは全部、何もかも知ってたんすか?』

『知っていたも何も、私は夢路の後継者こうけいしゃをキープするため

「その願い」を利用する為に生まれた存在だからな』

セレスが、ソラとレイブンが知らない事実を大威張おおいばりで言いはなった。


『は?なんすかそれ?』

ソラがおどろきをかくせず間抜まぬけそうな顔をあら


『ちょっとまて!師匠!「後継者を作る」設定は知ってたけど

「その願いを利用する為」ってなんだ?』

レイブンも同じくらい驚き『おぉ?気になるか?』と、セレスをよろこばせる


『さぁ~て、何から話してやろうかな?』

セレスは白いつばさの先の方を腰辺こしあたりに当て

楽しそうにその場でクルクル回っておどけて見せる


中々、本題に入りそうに無い雰囲気ふんいきのセレスに

割合短気わりあいたんきなレイブンがれて

『師匠、冷蔵庫のミートパイ焼き直してやるから

そこでその話、くわしく聞かせてくれるよな』とめしでセレスをった。


夕食が終わり、片付けが終わっていたキッチン

意図も簡単に釣られたセレスは最初・・・

ソラとレイブンとイロハの母親が

「トキノネ堂」にかかわらなかった未来の話を始める


ソラもレイブンも生活苦から

「赤子のころ児童養護施設じどうようごしせつに預かれられた時期があったらしい」

と、言う情報にソラが

『なんすかそれ?

児童養護施設ってそんなイージーなもんなんすか?』と、こぼ


レイブンは、電子レンジで冷蔵庫から出したパイを温めながら

オーブンに火を入れてオーブンを温めながら、冷静に確認に走る

『その設定では、俺がソラに助けられる事も

俺がソラを助ける事も無かったんだよな?』と・・・


セレスは否定ひていする事無く

『そうだよ…だって、ソラもレイ君も

本当なら、1歳にすらなれなかったんだから』と、言った。


『過去を見てきただけに、否定できないのがつらいっすね…』

ソラが取り皿を3枚、ホークとナイフを2本づつ準備しながら

苦笑にがわらいを浮かべている


『そうだな…って、ソラ…お前ってば、食う準備万端じゅんびばんたんだな』

レイブンは、違う意味で同じ苦笑いを浮かべる

セレスは、それを見てクスクス笑った。


そんな状態でも話は進む・・・


その「児童養護施設に預けた経験」を活かし

ソラとレイブンとイロハの母親は

「子供は施設に預かって貰っている」と、説明し


そう説明された・・・

ソラとイロハの父親、レイブンの父親、その他の子供達の父親達は

「子供を預けている事を信じていた」と、言う

ソラとレイブンは、ちょっと納得いかなかった。


素朴そぼくな疑問がソラから上がる

『ちょっとそれっておかしくないっすか?

幼稚園とか小学校とか、行かなかったら行って無かったら

何かどっか、役所とか…調べに来たりし無かったんすか?』


『来てたら…

レイ君に助けられなくても、ソラは生きていただろうね

ソラは、見たんじゃないのか?レイ君に助け出された自分を』

セレスの言葉にソラは言葉を失う


レイブンもミートパイをレンジからオーブンに移動させながら

遠いかすかかな記憶の為に、言葉を見付けられなくなっていた。


『御役所仕事に幻想抱げんそういだいちゃ駄目だぞ

役所の職員は普通の人間だ、御仕事ロボではない

100%完璧な仕事はできないもんなんだよ』

何故か、セレスから実感の籠った言葉が呟かれ


そこから更に話しは進み・・・

本当は全ての子供が死んでいた現実が、明るみに出た時の話しになる


その事実を知った父親達の

「自分の種で産まれた子供が、殺されてしまうくらいなら

自分が子供を引取るべきだった」と、言う「後悔こうかいをしたらしい」って御話


レイブンは黙って、焼き上がったミートパイをオーブンから取り出し

ソラの準備した大皿に乗せ

黙ったままのソラから渡された、大きな包丁ほうちょうでパイを切り分け

取り皿に乗せて、セレスの前に配膳はいぜんした。


セレスは『いっただっきまぁ~す』と、ミートパイを食べ始め

引き続き話しを進めて行く


「子供達の死を知り」そこから生まれた

ソラとイロハの父親の願い、レイブンの父親の願い

同じ女を愛した「2人の男の願い」の御話


2人の男達のそんな「子供を助けたかった」と、言う後悔含みの願いに

夢路は、偶々遊びに行った居酒屋いざかやで出会ったらしい

と、言う所で・・・


『は?なにそれ?「トキノネ堂」の客じゃなかったのかよ!』

レイブンの突っ込みが入り

『居酒屋って、他にも「トキノネ堂」みたいな道があるんすか?』

ソラから質問が寄せられた。


『えぇ~っと…うん、夢路はだね…』

セレスは言ってはいけない事を言ってしまったらしく

パイを食べるのを中断し、言葉を選びながら話し始め

最終、面倒めんどうになったらしく


『クロノスって言う時間を管理する事の出来るシステムと

カイロスって時刻を管理するシステムの生贄いけにえに夢路はなってるから

その特典で夢路は、違う時間を食べ歩き旅行できるんだ!うらやましいよな!』

2人の欲しい、求めている答えを答える事無く

セレスは自分主体の完結した答えを提供ていきょうして

ミートパイを食べる方に力をそそぎ始めた。


『レイの質問に対する答えは?俺の質問にも答えて欲しいっす!』

ソラは若干、怒ってセレスに食ってかかるが・・・

レイブンはあきらめ『無駄むだな事は止めとけ…』と、ソラをなだめる


『これ以上訊いても

むずかしい単語を引張り出して来て、くもに巻<まか>かれるだけだぞ』

レイブンは「仕方ないんだ」と言うかの様な態度を取り


『師匠ってさ…言いたくない事は、えさを食っても答えないから』

ソラはレイブンに説得力有る様な無い様な微妙びみょうな事を言われ

雰囲気で、諦める方向を納得した。


その後は・・・ソラも知る、レイブンも知る

それぞれの知る、「トキノネ堂」に干渉された過去の事で

聞く事に飽きて、ソラとレイブンも

セレスと同じ様に、ミートパイを食べ上げる方向に意識をかたむける


何はともあれ、夢路は・・・

ソラとイロハの父親とレイブンの父親から対価を貰い受け

その後、ソラとレイブンとイロハの過去に色々あって

「今にいたる御話」で、この会話は打ち切られたのであった。

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