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006「05 少し怖いかもしれない御話」

食文化的にホラーな感じの御話なので御気を付け下さい。

「05 少し怖いかもしれない御話」


食卓しょくたくならぶ「焼き飯・酢豚すぶた」と、


何かの唐揚からあ

フィンが1人「杏仁豆腐あんにんどうふ」を食べている

キッチンでは、レイブンが「ゴマ団子だんご」を揚げていた。


『連れて来たぞ!充電じゅうでんが切れそうだ、充電してくれ!


玩具おもちゃの犬に声を掛けられ、レイブンは火を止め

油の中のゴマ団子をキッチンペーパーの上にうつ

足元で、4足歩行になって走り回る犬の玩具を抱き上げる


『ソラ!適当に自分で皿に取り分けて食っとけ』

ソラの顔を見て・・・そう、言い残し

レイブンは、あわてた様に2階へとがって


行く


ソラは、その呼び捨てと命令口調に何か言いたかったが・・・

玩具の犬を追いかけるので息が切れていて、何にも言えなかった。


玩具の犬は『ここがトイレだ!』とか・・・

家の中を全力疾走で回りながら何処どこに何があるか駆け足で説


明し

最初に居た脱衣所から10歩も行かない場所を

最期に案内してくれたのだ・・・


結果、地下2階地上3階の無駄むだに広い家の中を

3分程度で案内されたソラ・・・

勿論もちろん、何処に何があったかなんて忘れた。


ソラは空腹と疲れで脱力し、その場に座り込んでしまう

フィンが小走りで駆け寄る

『杏仁豆腐食べる?』

ソラの真横に立ってフィンがソラに話し掛け、微笑んだ

ソラは唐突に、至近距離しきんきょりで話し掛けられほほ


を染める。


フィンは・・・

何とはなく「初心うぶな少年だなぁ~」と、思い

うれしくなって杏仁豆腐の入ったボールを尻尾しっぽで器


用に持ち

ソラの腕に、自分の腕をからませ抱きついて立ち上らせ

ソラを無理矢理、食卓まで連れて行った


尻尾にもてあそばれ、杏仁豆腐が入ったボールが尻尾の上で自


転する。


ソラは沢山たくさんの言いたい事、聞きたい事を全部飲み込んで

学校でも、日常生活でも話した事があまりない異性が

自分にぴったりくっついて、話し掛けて来る今の状態に

翻弄ほんろうされるままになっている


ソラは・・・

「ガラスのビールジョッキに首を突っ込んで

中の液体を飲んでいる白い大きな鳥はいるけれども

女の子と二人きりになるのって初めてかもしれないっす・・・」とか


「ぴこぴこ動く、もふもふした毛の生えた耳と

尻尾は、アリかもしれないっす・・・」なんて事を

だまって心の中で考えていた。


ソラにとっての見た事の無い、大きな白い鳥・・・

セレスは、足で押えた唐揚げをついば

ビールを飲みながら黙って、ソラをじっとながめていた


「馬鹿でおろかで弱虫で、生粋きっすいの軟弱者(なんじ


ゃくもの)臭いなぁ・・・」

と、言う具合に


スーパーで見た、おびえ暴れる姿のソラ

蛇女へびおんなのブームに恐怖し、かごの中でちぢ


こまっていたソラ

今の、ダラシナイ表情のソラを総合評価そうごうひょうかして


セレスから見たソラは・・・

底辺ていへんから上がる事も知らないかの様に、評価を下がらせ


続けている。


何時いつもは、何もしないフィンが

自分で食べ物を取り分ける事無く、モジモジしているソラの為(ため


)に

「焼き飯と酢豚」と「何かしらの唐揚げ」を平皿ひらざらに取り


分け

ソラの前に置き、食べる様にすすめているのを見て


セレスは、人の悪そうな笑みを浮かべ

ソラが皿の上の唐揚げを食べきるのを待って

ソラに言葉を掛ける事にした。


ソラの食欲は旺盛おうせいだった

テーブルの上の料理が次々と姿を消していく


その姿を見て・・・

2階から帰ってきたレイブンは

ゴマ団子を揚げていたのとは違う鍋に入った油で

唐揚げの追加をソラ用に準備する


セレスはゴマ団子に舌鼓つづみを打ちながら

ソラが唐揚げの最後の1個を口にするのを見計らい、計画通り

『お前、それがなんの唐揚げか知ってて食べてるのか?』

と、声を掛けた。


幸せそうに唐揚げを食べていたソラのはしが止まる

ソラはセレスをじっと見詰め

とりがしゃべった!』と、立ち上り驚きの声を上げる


『え?普通、しゃべるでしょ?』

フィンが、自分の常識の範囲はんいで意見を言う


『今更その話かよ・・・

お前の前で師匠はずっと普通に、喋ってただろ?』

レイブンも同じく自分の常識の範囲から同じ事を言う


それぞれの常識の見解けんかいの違いから話題が移り、セレスが


見たかった

ソラの唐揚げに対する反応は見る事ができなくなってしまう


セレスは残念そうに意見を出し合う3人を眺め

酢豚の野菜中に残った、最期の1個の豚肉だけを器用に取り出し

自分の皿に移し啄んで食べた。


食事が終わる頃、レイブンが

急須きゅうすに御湯を掛けると言う手順までんで

ネットで仕入れた正式な入れ方で、ウーロン茶をれて

セレスにフィン・・・ソラと、言う順番で・・・お茶を出す


セレスはれたおしぼりの上で軽く羽ばたきながら足を拭いた


後で

お茶をつばさで起こす小さな風で冷ましながらすす


ソラは、それを不思議そうな顔をして見詰めながら

熱いお茶を飲んだ。


『所でソラは、どんな仕事がしたい?できる事はある?』

フィンがソラにかわいらしい笑顔を向け・・・

「ちょっとだけ怖い話」を持ち掛けた

『一定期間、此処ここで御仕事が無いとね・・・

「食肉用」として、せりに掛けられちゃうんだよぉ~どうする


?』

『せり?ん?それ以前にしょ・・・食肉用ってなんすか!』

自分の常識の中に無い事に、ソラが戸惑とまどい声をあら


げた。


『身近な例を上げるなら

お前が家に入る前、「レイブンを食べる宣言せんげん」してた

ブームスラン系の蛇な御嬢おじょうとか御飯になるって事だな・


・・

となりの屋敷の書庫で仕事してるブーム嬢の食事の仕方を

特別に、例えとして説明してやろう

彼女は、生きを自分が持ってる毒で瀕死ひんしにして丸


飲みにするから

毒での生き地獄味わいながら、じわじわ消化してくれるぞ』

セレスは、楽しそうに話し始め


『あ、でも・・・

買い手によっては、命を取らないのもいるから安心しろ

とか吸血蝙蝠きゅうけつこうもり系なら、生き血を吸い


続けるだけだから

直ぐ死ぬ事は無いだろう』と、付け加え

それでも、「余計よけいに怯えさせたか?」と、セレスは思い・


・・

『そうそう、一瞬で終わって怖くないパターンもあるぞ

屠殺とさつ後に肉塊にくかいにして、さっき食べてた唐揚げ


とかに・・・』

セレスのらない気遣きづかいで

ソラは青褪あおざめ、き気をもよおし口元を押さ


える事となる


それに気付いたレイブンがソラのかたたた

『共食いを心配してるなら、それはねぇよ・・・

流石さすがに自分と同系統の生き物の肉は、調理する俺が嫌だか


ら』

ソラはレイブンを見て、安心して吐息といきく事がで


きた。


フィンが様子を見計らい、ソラの顔を下からのぞきこむ

『ソラ、そろそろ良いかなぁ?我が家の求人情報を紹介するよ!

家にある仕事はねぇ~・・・

修理改造かできるくらい電子機械関係にくわしくってぇ~

高い所で作業するのが大丈夫なら、アタイの御手伝い

そんな度胸と技能や知識が無いなら・・・

セレスの投薬実験の検体って言う御仕事もあるよ』

フィンの明るい声色にいやされたのか、ソラの顔色が少し戻る


『家事ができるなら

派遣先はけんさきでの命の保証は無いが、家政夫かせいふ


派遣と・・・

肉体労働にえられるなら

毎週の不法投棄品ふほうとうき撤去てっきょ作業の仕事も


あるぞ』と、レイブン


『何で家政夫が命がけなんすか?』ソラの素朴そぼくな疑問

『肉食系の獣人宅に派遣されたら

食事の支度中したくちゅうに、においで腹をすかせた住人


が寄って来て

かじられたり、丸飲みさせたりするんだ』

レイブンの返答に・・・

此処に来て見た住人達の姿をらし合わせ、ソラはやっと

この世界の摂理せつりを納得する事ができた様だった。


命懸いのちがけでない仕事ってないんすかね?』

『そんな仕事があったら、俺がやりてぇよ・・・』と、言った


そう言って溜息をいた、レイブンの遠い眼差まなざしの


ソラからも見えている窓の外では・・・

はとっぽい通行人が、ペリカンぽい人にパクリと食べられ

飲み込まれたって言うのに、誰も助けようとはしていない

『アレがこの場所での日常だ、覚えておくと良い』

レイブンの指さす先が、ソラには悪夢にしか見えない


飲み込まれた人のさけび声を聞きながら・・・

今、此処に存在する現実より

物心ついた時から「逃げ出したい」と、思い続けていた

自分の今までの現実の方が、安全で快適で

本当は、「それなりに幸せだった」のかもしれない・・・

と、ソラは気付く事ができた。

魚を食べる鳥が、飲み込める大きさの動物を何でも食べるなんて事

知らない人が多いですよねw


昔・・・ペリカンが、鳩を食べる動画を見た時の衝撃は

今でも、忘れる事ができません。

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