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057「56 戻ってきたレイブンと御土産」

「56 戻ってきたレイブンと御土産おみやげ


地下の世界には、日の出と日の入り

そして毎日、夜が無いので分かりづらいのだが・・・

レイブンが帰って来ない状態で多分、数日は過ぎていた


何時いつもの事じゃないか』と

レイブンを心配しんぱいしない様子のフィンとハイガシラは

夫婦で何時もと変わらず、甘い雰囲気ふんいきかもし出している。


夢路ユメジからどんな仕事を受けているのかは分からないが・・・

機嫌の悪いセレスは、薬品部屋で薬を作り続けていた

そんなセレスを気遣きづか

元気づけようとするジャンゴが、なぐさめに失敗して落ち込んでは

何かの表皮に備品をこわし、本気で怒られているのを誰もが目にする


セレスに付きっているジャンゴが帰らないから…と

色々な意味で、ジャンゴの事が心配だから…と

そのジャンゴの付き添い名目で残る桜花オウカ

セレス同様、暗い表情を続けている。


桜花を心配して、通い妻をする事になった雛芥子ひなげしはソラに

『これは、レ~君の幼馴染おさななじみとしてのかんなんだけど…

満面まんめんの笑み浮かべて夜までにか、おそくても

夜明けには帰ってくると思うのよね、私』と

週に一度しか来ない「夜まで」か

次の日の「夜明け」にはレイブンが帰ってくると言う


雛芥子はとても自信がありそうな雰囲気だった


遠征えんせいから帰って来たセレスと桜花の暗い様子を見て

『レイブンは簡単かんたんに死ぬような生き物ではありません』と

断言だんげんする機械人形のプリムラ

『約束をたがえるのも何時もの事です。

レイブンはその内、今回も機械部品をかかえて

悪いとも思って無さそうな態度で、謝りながら帰ってきます。』


そんな雛芥子とプリムラの言葉に対しソラは・・・

「先輩ってば、一体今までどんな生活してきたんすか…」

安心できて、本当に「レイブンが無事に帰ってくる」のだと

思えるようになっていた。


まぁ~取敢とりあえず、レイブンは夜までには帰って来なかった

そして夜明け、雛芥子の予想通り・・・

修理屋の扉のドアベルを軽快けいかいらし『たっだいまぁ~』と

大量のガラクタを抱えたレイブンが、姿をあらわしたのであった


『おはようございます、約束を違えた遅い御帰りですね』

プリムラがレイブンに声を掛けると

『ごめんごめん!携帯持ってなくってさぁ~』と

悪びれた様子も無く、プリムラの予言通り

元気に何事も無かったかの様に帰って来てくれた。


床掃除ゆかそうじをしていて丁度ちょうど、修理屋の近くに居たソラは

雛芥子とプリムラの予想通り過ぎて笑ってしまう

ソラが修理屋の入り口の近くで笑っていると・・・


食堂から、激しい足音が近付いて来る

ソラが振り返ると、そこには桜花がいて

ソラは桜花に思いっきり突き飛ばされて、マジで床に倒れ伏す


そんな桜花は、夜の間もなかなか寝付けなかったのであろう

目の下にくまを作り、半泣きになって

『僕等にどんだけ心配させたと思っているんだ!』

出会うなり早々、レイブンに飛び蹴りを仕掛けた。


レイブンは荷物をまもり、けるのを失敗してよろけ

店の商品を護る為に、桜花をつかんで抱きかかえ

桜花とからまる様に転倒してしまった


『おいこら!せまい店内であばれんなよ!って…寝てる?!』

レイブンの無事に安心して

気を失う様に眠りに落ちた桜花の下敷きになって

レイブンはすごおどろいていた。


遅れて来たセレスは、楽しそうに笑いながら

『私を置いて発掘はっくつに行くなんてひどいぞ!ばつあたえてやる』

レイブンの上にふわりと舞い降り

レイブンが桜花をかかえていて動けないのを良い事に

レイブンの肩口につめを食いこませる

『師匠!爪!爪刺さってる!』

レイブンは本当に痛そうにしていて

セレスはとっても、置いて行かれた事を怒っているらしい


『ちょっ!マジで痛いってば!鋭い爪が刺さってるんだってば!』

レイブンが痛がるのもかまわず

セレスは足をにぎってはゆるめ、握っては緩めを繰返した。


『あ、レイ君だぁ~!おっかえりぃ~!』

今度はフィンである・・・

御約束とばかりにレイブンにびかかり

セレスは上手になんをのがれたが、桜花で動けないレイブンと…

レイブンの上の気を失った桜花を下敷きに、フィンがその上に乗る


レイブンのぐぐもったうめき声が、廊下に居たソラにも聞えてきた。


ソラが修理屋の店内をのぞくと、プリムラが・・・

『店の備品を壊さない方向でお願いします。』と

今日も相変わらず無表情で

店のカウンターの上で笑い転げるセレスがら備品を護っている


レイブンの方は桜花を護る為であろうか?

必死でフィンを両手で捕まえ持ち上げている

『おい!ソラ!フィンを一旦いったん、引取ってくれ!』


そうは言われましても・・・

『先輩、それは無理むりっす!俺じゃフィンさん捕まえられないっす!』と

レイブンとソラが、フィンの扱いに困っていると

ハイガシラがやってきて、フィンを軽々抱き上げて

レイブンを助けてくれた。


レイブンは桜花の下敷きになったまま

『ガシラさん…ありがとう、ただいま』と笑い

『おかえり、レイ君』ハイガシラも笑顔で返した


2人はしばらく、ゆるい笑いを交わし合い・・・

『桜花を部屋に連れてって、寝かせて来いよ

今回も何時もの部屋とまってるから

それと俺が作った朝飯の準備ができてるぞ、早く来ないと…

フィンが全部食べちまう…マジで…』

『あはは…ホント、マジでそうなりそうで…つらいね』

2人の明るい笑い声が小さく木霊こだました


ハイガシラはフィンを自分の腕の上に座らせる様に抱き直し

『早く来いよ』と先に食堂へ戻る

レイブンも『ソラ、荷物にもつを倉庫まで運んで置いてくれ』と

桜花をかたかついで

桜花が何時も来る度に泊っている部屋へと向かった。


ソラは仕方無しに、レイブンにたのまれた大きな麻布あさぶくろの袋に手を掛け

『重た!コレどうやって運べばいいんっすか?!』と

救いを求めたのだが・・・


そこには、すでにプリムラしかおらず

『袋を開けて、中身を台車に積み替えては如何いかがですか?』

あんは出しても、プリムラにはソラを手伝う気が無いらしい


ソラは手伝ってもらうのをあきら

溜息を吐き、袋を開け…『ひっ…人ぉ~?!』とさけんだ。


プリムラが車椅子を移動させ、袋の中身をのぞきに来る

『あら、めずらしい…私に近い年代のアンドロイドですね。

古い物なので、数が少なくてレアなんですよ…

壊れた物でも、滅多めったに御目に掛かる事が出来ない珍品ちんぴんです。』


「珍品って…それじゃぁ~、稼働かどうしてるプリムラさんって

更に凄い物なんじゃぁ~ないんすか?」

ソラはちょっとあせり…でも、好奇心こうきしんから生首を手に取り

外れた首の断面を見て目を見開く

『凄いっすね!本当にロボットなんっすね…って

プリムラさんの中身もこんなんなんっすか?』

ソラの反応にプリムラはそっぽ向いた。


『その質問はセクハラです。

私の中身を勝手に想像しないで下さい!』

『え?えぇ?!えぇ~あぁ~ごめんなさい!ゆるして欲しいっす!』

ソラは動揺どうようしながら

「プリムラのセクハラの基準が分からないっす!」

本気であせり、あわてて生首を麻の布袋に戻した。


「さて、でも…コレどうやって運ぶっすかねぇ~」

ソラは、台車に小分けにして乗せるにしても

とっても積み辛そうな袋の中身を袋の隙間すきまから確認して

腕を組み、小首をかしげて必死で考える


ソラが何を思案しあんしているか理解出来たプリムラが見兼みかねて

細長いロボットアームを2本生やした、小さな御掃除ロボに

台車と組立てていない段ボール箱を運んで来させ

『積みにくい物は、段ボールの箱に詰めて運びなさい』と

ソラの前まで持って行かせた。


『ありがとうございます!』と、ソラが御礼を言うと・・・

『こう言う時の「す」は、他の人と一緒なのですね』と

何故なぜだか残念そうに溜息を吐き、プリムラは元の場所

レジカウンターの中に戻って行ってしまった


『え?何すかそれ?』

言葉の意味が分からなくて立ち尽くすソラをその場に残して。

特徴のある言葉使いをされると、気になりませんか?


言葉使いを観察してるのに気付かれて、相手が言葉使いを正すと…

『あ゛~言葉使い直さないで!

そのまま話してくれてて良かったのにぃ~!』って

私は心の中で叫んじゃってますw


多分、私・・・

そう言う相手には、変な奴だと思われてるだろうな✿

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