051「50 そう言うの嫌いだからBy桜花」
「50 そう言うの嫌いだからBy桜花」
物凄い音がした次の瞬間には
室内に凄く埃が舞っていて、室内を白けさせていた
音に驚いた雷が、ソラに襲いかかる様な姿勢で硬直し
そんな放心状態になった雷の隙を突いて
ソラがその場から逃げ出し、桜花の後ろに避難する
『雷さん、もういい加減にしとけよ?
僕は下ネタが大っ嫌いなんだ…長い付き合いなんだし知ってるよね?』
下ネタと言うモノに慣れていない桜花が、そう言った雰囲気に耐えかね
顔を真っ赤にして、壁を蹴り壊してしまったのだ。
『あぁ~ん、もうちょっとだったのにぃ~』
一緒に医務室に来た一部の隠れ腐女子達が数人、残念そうに溜息を洩らす
レイブンは・・・
『あぁ~あ…この壁後付けだったのか?ほぼ一面倒れたぞ
こんなの壁の裏っ側に誰かいたら死んでるんじゃないか?』
倒れた壁の下を覗き込む為
人間離れした身体能力で倒れた壁を軽く飛び越え、隣の部屋へ移動する
腹痛の為、レイブンに置いていかれ
その場に取り残されたセレスは不機嫌そうに体を起こし
『部屋が埃っぽくなったじゃないか!』と、少し怒っていた。
不貞腐れたセレスの様子を見て、レイブンが振り返り少し笑う
殺気混じりの桜花を前にして、周囲を気にしていない雷は
怒った桜花の事を気に掛けた様子も無く
『あら、やだ…冗談だったのにぃ~』
体をくねくねさせて、楽しげに笑っている
「相変わらず、神経を逆なでする男だな」
雷に対してレイブンは生温かい目で、その存在を目視していた
因みに・・・
雷は「冗談」とは、言ったのだが…被害者の方
雷の隙を突いて逃げ出した、ソラの方は…と、言うと・・・
文字通りの血の気の引いた真っ青な顔をしていて
全く冗談には聞えておらず、桜花の後ろで震えながら隠れている
雛芥子に『情けないわね』と冷たい目で見らる程に
ソラは怯えているので、冗談が過ぎ過ぎたか…
雷の本気が見え隠れしていて、それがソラには見え過ぎていて
隠しきれない雷の本気にソラが怯えている…と、言う様相だろう
少し離れた場所でレイブンは、そっちの様子を窺いながら
倒れた壁の下に「怪我人がいい事」を確認し
壁が倒れた音に気付き、様子を見に来た羊に対して
『頑張れよ』と言ってから、羊の頭を撫で
皆の集まる場所に戻ってくる。
レイブンは気を取り直して、雷に話し掛ける
『あのさ…此処に長居してもろくな事が起こらないから
仕事に取り掛かりたいと思うんだが…
夢路の言ってるイロハの小さい頃の所有物の入った箱が
どの倉庫に入ってるかだけを今、言ってくれるか?』
レイブンの質問に雷が…視線を逸らして答えなかった
レイブンが素敵な笑顔を見せる
『雷?冗談は休み休みに言わないと命が無いぞ?』
嫌な沈黙が辺りを包む
レイブンが再び苛立ちを募らせ、大きなテーブルを片手で持ちあげた
そこへ・・・
『水が掛かったらショートするから』と、散歩に出ていた
ロボット犬のナナシが『俺様が、手伝ってやろうか?』と
タイミングを計ったかの様に姿を現した。
結果的に助けられた雷が、助けてくれたナナシに駆け寄る
『アンタ…命の恩人だわぁ~ありがとう!
機械人形じゃなかったら、抱締めてキスしてる所よ!』
『あはは俺様、毛皮パーツ装備してなくて良かった
勘違いされて、オッサンに抱締められるのは遠慮したい所だったんだ』
小さな沈黙が流れる
『もぉ~やぁ~ねぇ~、御礼言って損した!
機械の癖に毒を吐くなんて、水掛けてやりたくなるわ』
苦虫をかみつぶした表情の雷を余所に
ナナシは鼻であざ笑うかのような態度を取ってから
『無事か?』と、ソラの元へとやってきた。
隣の部屋と、医務室に・・・
修理道具を抱えた小さな羊達が、もっさり集結し始める
壁を修理する為に、集まってきた羊達の邪魔をしない為に
ナナシの登場から直ぐ様
壊れた部屋から出て、倉庫街まで移動する事になった。
本当に直ぐ、移動して仕事に掛かったが
無数に存在する倉庫から、その一つの荷物を探し出すのに
それなり時間を必要とする
その少ない待ち時間
『先輩って…雷さんに対して特に短気っすね』
怯えていたソラも復活して、気になった事を素直に口にする
『もしかして、雷さんの事を嫌いなんすか?』
『ん?あぁ~…嫌いだね!
俺、女には優しくするようにって師匠に言われてるけど
オカマは対象外なんだ、優しくする理由が無いだろ?』
レイブンは気持ちが良い程、清々しい笑顔で言い切った。
更に質問をしようとした、ソラの言葉を遮り
ナナシがソラに犬らしく擦寄り
『俺様が倉庫を見付けてやったぞ!扉を開けろ』と、言って来る
その後、割合短時間で
『最新鋭の可視技術とニオイセンサー舐めんなよ』と、言う
ナナシの言葉通り・・・
割合簡単に荷物の入った箱も見付ける事が出来たのだが
『そう言えば…蜘蛛が出るって言ってたな』
レイブンは、倉庫の外から中を覗き込む無数の複眼に気付き
溜息を零す事になった。
レイブンは簡単な仕事のある家から、無駄にソラを連れ出す理由
此処へソラを同行させるメリット
ハイガシラからの「ソラの使用法」を思い出して実践する事にする
レイブンは無言で、1つしかない出入り口から
倉庫の中を覗き込んでいる大きな蜘蛛を発見して硬直する
雷の方に、そっとソラを押しやり
直ぐ様レイブンはこっそり、その場から物影へ姿を消したのだ
雷が蜘蛛を見てから暫く経ち、雷が意識を取り戻し・・・
立ったまま気絶していた雷の野太い悲鳴と…
続いて、ソラの甲高い悲鳴が轟く
その様子を全て見ていたセレスが緩い笑いを洩らした。
『本気でそういう風にソラを使うかな…
何かあったらどうするんだ?一応ソラって、預かり物だろ?』
『まぁ~そうなんだが…多分だけど、有る程度は大丈夫だろ?
ガシラさんの命令で、ナナシがソラを護ってるんだから』
セレスとレイブンは、ひと段落着くのを待って物影から出る…
そして、レイブンは自分的に想定外だった結果に一人だけ心底驚き
一緒に桜花と雛芥子が来ていた事を本気で感謝した。
その事は少しだけ置いておいて、取敢えず今は雷が・・・
眉間に皺を寄せ、目を血走らせた桜花に襲われている
勿論、性的な方で無い
切り刻まれ、八つ裂きにされる感じの方向でだ…
そうなった原因は、パッと見でレイブンにも理解出来た
『いったい何度言えば理解できるのかな?
今まで散々言ってきたよね?今日ですら、もう2回目だよね?
僕は、そう言う冗談って大嫌いなんですけど?』
桜花の抜き身の剣が、全裸の雷に突き付けられている
その傍には、半分服を剥ぎ取られ涙目で怯えるソラと
ちょっと逆転した様なシチュエーション
ソラに対して、上着を1枚脱いで渡す雛芥子の姿
ソラを庇う様に唸るロボット犬のナナシの姿があった。
『うぅ~わぁ~…怖いなぁ~もう』
「雷と二人きりで、このミッションに入らなくて良かった」
レイブンは、倉庫の中の様子を窺う蜘蛛に対してでなく
ソラの今の状況が「恐ろしいな」と、思い
我が身に降りかかってきたかもしれない現実に胸を撫で下ろす
そこから余談的な、目の前の現実
『あぁ~オカマなのにオカマ掘れないってそう言う事か…』
『はいそこ!
そう言う下い事は、心の中だけにしまっとけよな!』
全裸の雷を見て、感慨深く感想を述べるレイブンに対し
桜花が、不機嫌に微笑を浮かべる
『僕は、そう言うの嫌いだから!忘れないでね!』
桜花は本気で怒っている様子だった。
この投稿日の翌日は、エイプリルフールですw
その昔「エイプリルフール」に、知人(男)が・・・
裸で、その友人(男)に抱きついて告白をするってネタを実行!
仕掛け人の一人として、部屋を提供した私は
ハンディーカム肩手に参加した「仕掛けられる方の彼女」と
ベランダで観賞してたのですが・・・(;一w一)笑えない事に☆
作品には行かせませんでしたが・・・
そう言う時の血の気の引いた顔ってのは、真っ青って言うより
白くなった後、うす紫っぽい色になるんですよw