028「27 ハイガシラの仕事を引き継ぐ」
「27 ハイガシラの仕事を引き継ぐ」
半日以上、料理を作り続けてソラにそれなりに食べさせ
取敢えず・・・
「餌を与えて、食べてくれてれば・・・きっと、大丈夫」の法則を
信じているレイブンは・・・自己満足していたのだが、しかし
食後のコーヒーやお茶を持って来た時
リビングで突然・・・ソラが意識を失い、椅子から崩れ落ちた。
『おい!どうした!大丈夫か?!』
レイブンが大慌てする中、他のメンバーは・・・
『レイ君が、まだちっちゃくて
自分の事を「れいくん」って言ってた頃の事を思い出しますね』
しみじみと語る夢路
『そうそう!しょっちゅう、電池が切れたみたいに
レ~君ってば、何処ででも寝ちゃってたんだよねぇ~
御飯食べながらとか、御風呂で・・・とか』
フィンも思い出を語り出す
『あぁ~あったなぁ~・・・
この周辺の地域は、夜が週1でしか来ないから
慣れて自己管理できるようにならないと、そうなるんだよな』
ハイガシラも、ソラがそうなる事は想定内だったらしい
『所でレイ君、持ち帰り用のプリンは出来ているか?』
レイブンが頷くと、蒙がソラを肩で担ぎ・・・
『ソラは俺が部屋まで運んでおくから、プリンを準備しておいてくれ
俺はそろそろ、仕事に戻らねばならん』と
ソラを運んで行ってしまった。
レイブンが・・・
持ち運べて、一定時間充電が切れるまで冷やし続けられる
小型の冷蔵庫にプリンを詰め準備を終えた頃
蒙が上の階から降りてきた
中身を確認し本当に、とっても嬉しそうにプリンを持って帰って行く
『そう言えば、蒙の奥さんが
「今日は、初デート記念日」とか、言ってたな・・・』
セレスの呟きで、蒙の行動の意味が発覚し皆が納得して
一斉に一声の歓声を上げる。
『それにしても・・・ソラって、時々あぁ~なるから
体弱いのかと思ってたけど、違ったんだよな・・・
なんであぁ~なるんだ?』
レイブンの質問に・・・そう言う系が得意なセレスが
白い翼を軽くはためかせ『答えてやる』と、自己主張した
『あいつのはただの寝不足だ・・・
眠たくなったら何処ででも昼寝するレイ君と違って
ソラは、昼寝するって発想が無いのか・・・割合、起きてただろ?
だから、本来寝た方が良い24時間の4分の1も寝れてないんだよ』
『ん~?何でソラは、寝ないんだろぉ~ねぇ~?』
フィンは、蒙が飲まずに帰ったミルクティーを飲みながら
セレスはソラの食べ掛けのプリンを食べながら
『ソラって、自己管理出来ない御子様だよねぇ~』と、笑い合った。
『と、言う事はだ・・・俺は、そんな面倒な御荷物抱えて
旅に出させられるって事なのか?
そもそも、ソラを連れてく意味って無くないか?』
レイブンは夢路を見る
夢路は、店で見せる営業スマイルをレイブンに向け
『世の中の女性はね、レイ君みたいな
「ちょっぴりSなツンデレ系」が好きな人もいれば・・・
ハイガシラの様な、「体育会系」が好きな人もいるんです。
そして、ソラみたいな
「ちょっと馬鹿っぽくて、従順なソフトM」が
好みって人もいたりするんですよ・・・それでね』
『夢路よ・・・御前はまた、要らないエピソードも語るつもりだろ?
俺の名誉の為に、誤解を受ける様な話の手順を取るのは止めてくれ』
ハイガシラが、他にも何か言い掛けた夢路の口を塞ぎ
有耶無耶になっていた仕事の依頼・・・
元、ハイガシラがやっていた仕事の話をレイブンに語って聞かせた。
仕事とは・・・
ライフラインを管理する場所、食料等を生産する場所、工場
町と町を繋ぐトンネルに、「何か」が出た時の処理で
その「何か」とは・・・
「動物化し野生動物化して、人を襲う様になってしまった者」
「守護する者を失って暴走した機械人形」の事らしく
仕事には「一人でも狩りができる」力量と
相手が機械人形の時だった場合や
そこが管理する場所なら、その場所の機械が破壊されていた場合の
応急処置や修復の為の「電子機器に対する知識」が必要なのだと言う
そして、ソラを連れて行く理由については・・・
女性の多いこの世界
「依頼者&現場まで案内してくれる人」は皆、女性で
仕事中、演技で怖がったりして抱き付かれる事が頻繁にあるらしい
勿論、戦闘中にそんな事されたら・・・
敏捷さは失われ、命が幾つあっても足りないであろう
って、事で・・・「ソラ」の出番
何かしら理由を付けて、ソラを預けておけば
レイブンが仕事中に抱き付かれるリスクが軽減される
と、言う公算だと言う。
『要約すると・・・生贄を連れて行くと便利って事か?』
『生贄って・・・あぁ~まあ、そうなんだが・・・
なんだかとっても、身も蓋も無い要約の仕方だな』
ハイガシラの話を聴いて、レイブンが出した答えに
ハイガシラが困ったような表情を見せる
『できれば、生贄として差し出すんじゃなくて
疑似餌程度に考えて、無事に回収して持ち帰れよ・・・
食べさせたりとかして、使い捨て状態にするのは
ちょっと流石に問題あるし、忍びないから・・・』
『ガシラさん・・・流石に俺でも、そんな事しないって』
『本当にか?』
『・・・多分
ソラと相手が両想いそうでなかったら、連れ帰る方向で良い?』
『多分て・・・本当は面倒臭いって思ったろう?今』
笑ってごまかすレイブンを見て、ハイガシラは溜息を吐き
『ナナシ!ソラの全てにおける身の安全管理を一任する!』
ソラの事はロボット犬に丸投げする事にしたらしい
ナナシはカスタマイズしてくれたハイガシラから
命令を貰って本当に嬉しそうに尻尾を振り
早速、ソラの護衛に行くらしくリビングを出て行った。
ハイガシラは続いて・・・
仕事の場所と必要になりそうな資料をレイブンに渡す
『あ・・・それ!ナナシの設計図?アタイも見たい!』
と、フィンがレイブンの手から資料を全て奪って行ってしまったが
『後でレイ君に返却するんだぞ』とハイガシラが言うので
「何時もの事だし」と、フィンの事は温かい目で見て
依頼された仕事の場所が何処か分からないままで話は続き
ただ取敢えず・・・
「街外れで、人を襲う何かを退治する」事だけは
レイブンも独自に理解する
ハイガシラの話は・・・
レイブンの知らない、レイブンにとって聞いた事の無い
詳しい地名や、行った事の無い場所の詳しい立地の説明の為
中層階にある倉庫A地区から出た事の無いレイブンにとって
未知な場所の話し過ぎて戸惑っていた。
テーブルの上で残った物を啄みながら
話を聞いていたセレスも、微妙な表情を浮かべている
その事にやっと気付いたハイガシラは・・・
『プリムラ!今の説明は情報として聴いていたか?
出来れば、ナナシに地図をダウンロードして
今の話も、知識として追加で入れておいてくれ』
面倒になって、後の事をプリムラに任せる
『困った養い親ですね
そんなんだから、養い子のレイブンに面倒臭い病が感染するんですよ』
夢路は楽しそうに笑う
『そうそう依頼者は、天井に「倉庫B」と書かれた場所にある
隣の町のリーダーなんですよ』
夢路がフィンから設計図以外を取り返して来てくれレイブンに渡した。
『因みに・・・今回の仕事への同行、ソラは了承済みだ』
ハイガシラのその発言にレイブンは驚いた
『尊い犠牲になる事をどうやって了承させたんだ?』
『おいコラ!やっぱり、ガチで犠牲にするつもりじゃねぇ~か!』
暫く2人でコントの様な会話を楽しみ
出発の日までに、ソラの体力を向上させる事と
ハイガシラが戦い方をレクチャーし
ソラに自衛手段を幾つか身に付けさせる事を実現する為に
謎のドリンクで、セレスがサポートする事を提案して受理された。
『レイ君は、安心して出発の日まで
冷凍して作り置ける料理を作ってくれても構わないぞ』
『そうです、大変です!レイ君には・・・
私の調理ロボにレシピを伝授して頂かないと!』
次の夜明けが出発の日に設定されている為
レイブンにはやらなければイケナイ仕事が押し付けられるが・・・
その事よりも・・・
セレスタイトの「人体実験の犠牲にされる事が
本人の知らない状態で決定したソラの運命に、レイブンは同情し
本気で気の毒に思えてならなかった。
昔・・・
2Lペットボトル4本が入り、肩掛けで持ち運べ
普段は冷蔵庫としても使用できる
電源アダプター付き保冷庫(確か、家でも車でも充電できた)
を持っていたのだけど・・・
保冷機能付きの大型のコンテナはあれど今はもう、売ってないんですねw
(但し、欲しいとは思わない…だって無駄に重くて、使用時に煩かったから)