01 Prologue「知っている人は知っているかもしれない世界の御話」
太陽系にある「御星様」をモデルにしてあります。
『そんな研究もあるねw』ってのも、モデルにしています。
prologueは、世界の設定ですので、難しく書かれている場所は・・・
読み飛ばしても物語に関係ないので大丈夫です。
Prologue「知っている人は知っているかもしれない世界の御話」
この世界の住人は、今が何時で
此処が何処なのか、誰もが皆・・・知っている様で、知らない
過去の出来事は、波打際の砂に描いた絵の様に
歴史の波に、掻き消されて消えていた。
取敢えず、この世界の地上には・・・
「生き物が住める場所」が無い、「住めそうな場所」が存在しない
大量の「二酸化炭素」による「温室効果」・・・
その結果起きる、過剰な「熱による対流・大気の慣性運動」
それで生まれた「星の自転速度を越えて吹く風」は
星の上をスーパーローテーションして
生き物が住めない程の気温で、地上の大気を一定に保っていた。
高温と風で・・・地表の「水分」は、そこに存在できなかった
水分を失った地上は・・・
地表近くに吹く「時速数㎞の風」と「高い気圧」
そう、「水分の無さ」と「風」と「気圧」の3つの作用で発生した
強力な「風化作用」で、地上の構造物を悉く・・・
砂に変化させ、岩砂漠も砂地に変化していっている
地上全てが・・・
粒子の細かい「粉末の砂」で作られた砂漠になっている様だった。
砂漠化した大地から、風で舞上がる細かい砂は・・・
空をキャラメル色に染め、光を多少遮っても
水分が無い為に雲を作る事も出来ず、砂として光を熱に変換し
地上に熱を届けるに留まる
星の外周、オゾン層の下
上空の極低温で唯一、生み出される「白い雲」にも救いは無かった
雲は「二酸化硫黄」で構成され、「硫酸の雨」を降らせている
でも、その雨は・・・
生き物が住めない程の気温の御蔭で、地表に届く事はなかった
その代わり、宇宙に近い上空で唯一降るその雨の為に・・・
宇宙へと逃げ出す選択肢は、砂の城の様に崩れ去ってしまっていた。
当時・・・その事を理解していた、そこに生きる大多数の者達が
大地の上に、経済を発展させる事を諦めて
代わりに、地底で経済を発展させる方向で足並みを揃える
一部の者達は、望みを捨てきれず
住居を工夫する事や、自分達を遺伝子的に品種改良する事で
「どうにかならないか?」と、研究を水面下で続けた。
中でも・・・特に地上を捨て切れなかった者達は、地上に残り
「地上の自然」を相手に、地上世界の改善を図ろうとしたり
逆に、そのまま自然を利用しようとしたりしたが・・・
大いなる自然の力の脅威に負けて滅んでいった。
生き残ったのは、地底の生活を進んで選んだ者達と・・・
快適な地底で、遺伝子的な品種改良を試みる学者達
地底の生活を進んで選んだ者達は・・・
地上からの熱で発電する「発電所」を起点に
地底へと「半円の球体」を描く様に「都市を構成」し
電力が足りなくなれば・・・発電所を足していく方式で
薔薇の花の様な形状にして、下へ向かって花弁を広げる
地下都市を広げて行った。
その先の未来・・・生き物達が、地底に住む様になって
日光の恩恵を全く受けなくなった頃から
次第に、生き物の生態に変調をきたす様になっていく
学者達は医者に交じり、医者と言う地位を隠れ蓑に
活躍の場所を広げていく
子供を産める時期が短くなって行く女達、産めない女達
女性化し生殖能力が弱くなっていく男達、生殖能力の無い男達
特に、完全な「男」として生まれて来る子供が
少なくなってきた御蔭で、少子高齢化する世界に・・・
学者達は、ほくそ笑む様になる。
経済だけが発展し、生き物への監視の目が行き届かなくなった頃
最初の目的や「地上への憧れ」は消え去り
目的を見失った学者達の研究は、中2病を拗らせ始める
学者達の実験は
「強い子孫を残す」から「新しい人類を作る」方向へ・・・
更にその方向も拗らせ、見誤った人体実験への道へ進んで行く
最初は・・・
「一つの個体を起源とする」普段とは「遺伝的に異なる細胞」を
その一つの個体に混在させる「モザイク」実験
例えば・・・
体細胞分裂を故意に失敗させたり
体細胞における突然変異を起こさせて作る「奇形」の実験
地底世界の片隅で、密かに「奇形の生き物」が繁殖した。
次の段階は・・・
モザイク実験での「遺伝的に異なった部分」が
「別の個体を起源とする」に変更された、拒否反応のリスクの高い
「脊椎動物」にある「移植免疫」に挑戦する実験
「キメラ」を作る実験
キメラの実験は、手始めに「血液キメラ」の実験から始まった
一つの体が「異なった個体」由来の血液細胞を同時に持つ
血液キメラは・・・
胎盤における血液供給を双生児の胚は共有している事があったり
妊娠初期に双生児の一方が死んで生存してる方に吸収され生じたり
で、普通にも存在していた。
その中で、学者達が目を付けた事例は・・・「体外受精」
「2つの受精卵が、子宮内で結合して一つの胚に」と、言う物
「二つ以上の胚」由来の細胞集団「キメラ胚」を作れる可能性
勿論、監視する者がいなければ不用意に研究は進む・・・
動物実験が成功した後は、人体で・・・と、言う風に
実験の失敗作が量産されるのを無視して、実験は進み続ける。
最終的に出来上がったのは
飛べないけど・・・「背中に翼がある人間」
勿論、飛べないぞ・・・「背中に虫っぽい羽根のある人間」
はたまた・・・「下半身が馬とかの人」
後・・・人面犬、犬面人・・・獣人?
色々あり過ぎて「突込み処」満載の世界が生み出された。
行く所に行けば
ギリシャ神話の「キマイラ」モデルの生物・・・
頭が「ライオン」何でか体が「山羊」尻尾が「蛇」を始め
「鵺」・・・顔「猿」胴体「狸」手足「虎」尻尾「蛇」
又は、頭「猫」胴体「鶏」等の・・・
作り手の人の「趣味だったんだろうな・・・」
って、感じの生き物達に出会う事ができる
収拾が付かなくなってきた世界を抱えてしまった世界は
「生粋の生き物に近いモノ」と
「完璧なキメラ的な生き物」を分別する事になった。
地表に近い「上層階」・・・
地上から近い階では、熱で発電する「発電所」を置き
植物の生育に適した温度の階には、夜と言う概念も無く
地下都市の市民の為の食べ物が育て続けられている
そこで働くのは機械人形だけだった。
その下には、温暖な気候の「天上階」と呼ばれる階層・・・
疑似太陽での朝昼晩があり
希少な「生粋に近い生き物」の生きる階層
シリアルナンバー付きの人間・・・「動物・昆虫・植物」達が
種を保存する為に機械管理の元、繁殖していて
快適な暮らしをしているらしい
噂では、「青い空」と「海」なる物もあると言う。
それより下の階層は、何層も重なる「中層階」薄暗い世界
機械人形しか入れない、数階の工場階の下は・・・
科学で生み出された異形の者の住む世界
一番下は「下層階」・・・
氷らない程度の寒い採掘場、異形の者と機械人形が働く場所
物語の舞台は・・・こうして、こんな風な世界観で
とある場所にて、生み出された。
因みに・・・モデルにした「御星様」は「金星」です。
そして、遺伝子的なネタの部分は・・・
言わずと知れた事ですが、途中から仮説と創作です。