表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

その電話は毎日鳴る

作者:
掲載日:2026/04/16

深夜二時二十三分、毎日同じ時間に電話がかかってくるようになった。


二週間が過ぎた頃録音してやろうと、決めた。


二時二十三分。

今日もかかってくる電話。

私は録音をスタートした。

眠たくてそのまま眠ってしまったが、翌朝聴いてみると。


「ぶつっ……きゅるきゅるきゅる、そうなんよ、明日ぶつっ……ぱりざまあみろと思う?ぶつっ……はは、私のお陰なのにね」

全て私の声だった。

相手の声は聞こえない、私の声だけが不穏に響く。


次の日寝不足で遅刻して、駅にほとんど誰もいない時に、それは起こった。

セクハラ、パワハラなんでもありの時田課長が、目の前をゆっくり歩いている。

駅の防犯カメラの死角だった。

目の前には長い階段とエスカレーター、私はそっと課長に近づき、触れたか触れてないかの力加減で、その背中を押した。

そのまま防犯カメラの死角を通って、何食わぬ顔で電車を待った。


その日遅刻して会社に着くと、社内は騒然としていた。

課長が亡くなったそうだ、駅の階段から転落して当たり所が悪かったらしい。

しかも後ろを歩いていた女性によると、勝手に転げ落ちて亡くなったそうだ。


数日後の深夜二時二十三分、いつもの電話がかかってきたのでまた録音をした。

ここ数日は何も録れなかったが、今回もぶつ切れだけれど、ちゃんと取れていた


「じいいっ、わかってるでしょ?きゃははは、そう、私が殺したんだよだってあいつもセクハラ凄かったぶつっ……じゃん、死んで当然」

「でも、殺すまでぶつっ……くても良かったんじゃない?流石にぶつっ……すぎだよ、これで捕まったら死刑になることもあるんだから」

「大丈夫大丈夫、私は絶対ぶつっ……らないようになってるから」

今度は会話相手も、それに応える声も私の声だった。

次の日会社の屋上に佐々木を呼び出した。

その日は突風が吹いていた。

私は事前に睡眠薬を入れた珈琲を佐々木に飲ませていたので、佐々木が眠った隙に、屋上のフェンスの向こう側に佐々木を少し持ち上げて押し出した。


佐々木は七階から落ちて即死。

今回もいい仕事をしたなと思っていた。


それから数日後また録音していたら音が入っていた。

「あんたさ、自分がぶつっ……んでることに気づいてるの?」

「もうぶつっ……ってるんだよ、あんなことした代償だよ」

「だからじーっ……夫だって」

「大丈夫じゃないよ?自分がさ?ぶつっ……んでることにも気づいてないじゃん、立派な悪霊だよ」

全て私の声だ。


私はふらふらと鏡の前に立つ。

鏡の前には恐ろしい表情をした、青白いひょろひょろした女が立っていた。

微かにしか映っていない。

ゆらゆらと揺れている。


電話が鳴った。

二時二十三分。

「あんたさ、もう死んでるんだよ」

妙にクリアな声が聞こえた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ