1話
2000年12月9日、35歳の歳で私は死亡した。
30歳でリストラに遭い、32歳で貯金を使い果たし、ホームレスをしていた。ホームレスの暮らしにも慣れ、夜にいつも寝床にしている、地下トンネルに戻り、眠ろうとしていた所を、中学生から高校生と見られる、男2人、女1人のグループに遊び半分に、暴行され、寒空の下絶命した。
次に目が覚めた時、真っ白の空間に、大仏の様なものが目前に在った。
「貴方の点数は-15点です。次の種族はゴブリンとなります。」と、大仏が言う。
私は訳がわからず、説明を求めようとするが、声は出ず、一方的に聞くことしか出来ないようだった。
「人間以外の生物には、前世の記憶があり、決まった時に決まった行動をする様にプログラムされています。貴方方、罪人は寿命を迎えて死ぬことができれば、罪を全うすることが出来ます。しかし、その他、病気、事故死、自死など、老衰以外の理由で死ぬとまた、同じ生物として生まれ、繰り返されます。それに甘んじる事も可能ですが、罪を償うと、消滅すること、記憶を失い、好きな生物、好きな世界に生まれ変わる事が出来ます。説明は以上になります。」続けて大仏はそう話すと、私はまた気を失った。
次に目が覚めると洞窟の中だった。目の前には、まさにゴブリンと呼ばれる、漫画などで見た緑色の生物が目の前にいた。そのゴブリンは、大きく、筋肉隆々であった。
そして、私の隣には小さく貧弱なゴブリンがいた。恐らく大人と、子供なのだろう。
大人のゴブリンが「色々と訳が分からないと思うが、説明を始める。皆、説明を先に受けたと思うが、生まれ変わるないし、輪廻転生の輪から外れるために我々は寿命を全うしなくてはならない。一度死ぬたびに、ゴブリンになる前の記憶に戻され、また一からスタートとなるのではないかと言われている。最初に神から受けた説明が、本当ならばだが。」と話す。
私は意外と、パニックにはならず、ゲームの説明を受けるように聞いていた。隣の貧弱なゴブリンは自分の体を、舐めるように見回したり、状況を把握するのに時間がかかっているようだった。
続けて、大人ゴブリンは
「また、神が話していた、プログラムについてだ。本来寿命を全うするだけならば、巣穴に子守り、隠れているのが一番効率よく、思うかもしれないが、それは出来ないようにされている。人間以外の生物には、恐らく指令が下される。そして、その指令が下ると我々は我を失い、その本能に従うしかなくなる。
一つは種の繁栄の指令。我々は、メスの個体がいない為、生殖行動を人間のメスとしなくてはならない。一定期間毎に生殖行動を取らなければ、我を失い、メスの臭いに敏感になり、街へ出向く事になる。運が良ければ、メスを攫って戻って来れるが、基本的には返り討ちに遭い死んでしまう。
また、死ぬだけならよいが、捕まると、実験に使われる事も多い。我々は、人間による養殖は不可能なため、色々な実験をするために、生け捕りにされ、使われることが多い。そのため、とてつもない苦痛を味わう事になり得る。
そして2つ目は、人間の匂いを嗅ぐと、自我を保てなくなり、襲い出す。大体、半径5メートル以内に人間を入れてしまうと、そうなってしまう。
最後に3つ目の指令だが、これは個体によって、違う。その時、その状況が来た時に、初めて知ることができる。俺の3つ目の指令は、眠るなだ。正確には眠ろうとすれば、悪夢など、眠ることに対して、マイナスなことが起こり、出来るだけ睡眠時間を減らしたいと思わされる。これは恐らく、この生物でいることを苦痛に感じさせ、罪を償わせる事のためのプログラムなのではないかと考えられている。俺は生前、眠る時間が至福だと思って生きていたから、それも影響してこの指令になったのかもしれない。」
説明を聞き終わろうとした時、遠くから、大きめの地響きと、若い男の声で「お前らは、右を行け、俺らは左から行く」という声が聞こえた。
目の前の大人ゴブリンは「奇襲か。」と冷めたように話す。
私は状況がわからず「どうすれば良いんでしょうか」と少し焦りながら聞く。隣の子供ゴブリンは、未だ状況が飲み込めず、黙って私と、大人ゴブリンを交互に見ている。
大人ゴブリンは「お前らは運が良い。ここはゴブリンの巣の中でも、エリートと呼ばれる層で、並大抵の冒険者では太刀打ち出来ない。そして、冒険者の中にメスがいるから、そいつを生け捕りにして、餌も確保出来る。俺等は指令をこなすため巣にメスを飼う様にはしているが、生殖時に我を失いメスを殺してしまうことが多々あるため、定期的に補充をしなくてはならない。そして、巣穴への貢献度が高いものから順に生殖行動を行い、あぶれると、そのまま狂うまでメスにありつけないこともある。俺は最下層のプレカリアートの出身だが、そこでは7割が一月ほどで死に、入れ替わる。エリートでは、基本的に皆、余裕があり助け合って生きているため、子供にも餌が行き渡りやすい。」
そして説明を終えたゴブリンは、私達に「一先、頭を整理する時間が必要だろう。お前らの部屋に案内するから、今日は休んで、明日から各自、普段の生活について説明してやるから一先、寝ていろ」と言い。
部屋に案内された。最後に「俺の名前は、心だ。」と言い、大人ゴブリンは部屋を出ていった。




