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【連載中】ダークインザウィッチ 黒騎士四姉妹  作者: 泉水遊馬
第1章 ゼルグランディア大陸 ― その広大なる戦場
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決意の四姉妹

城の廊下には静寂が満ちていた。

謁見を終えた四姉妹は、戦場の鎧を脱ぎ、普段の服へと着替えた。厚手の布を纏い、その上に黒騎士のローブを羽織る。

王国の戦士たちが、戦場から離れるときに纏うものだ。

寒さの中、彼女たちは歩き始める。

誰も口を開かない。だが、心の中では、決意と不安が交錯していた。

エアリスは、先頭を歩きながら、女王の言葉を反芻していた。

「お前たちは黒騎士軍の未来だが、それ以前に、私の娘だ。」

その言葉に、彼女の胸が微かに痛む。指揮官として戦場に立つ覚悟はある。しかし、家族としてのぬくもりを捨てることができるのか。

それを問うことは、許されないのかもしれなかった。

フレアは、剣の柄を握りしめた。

「怒りに呑まれるな。その力を、仲間たちのために振るうのだ。」

戦場では、怒りが彼女を突き動かす。だが、それだけでは不十分なのだと、女王は言った。

剣を振るう理由、それを見出さなければならない。

ライは、ローブの端を握りながら、足元の石畳を見つめた。

「時には仲間に頼ることも必要だ。」

彼女はあえて馴れ合いを拒んできた。それは、自分自身が選んだ生き方だ。雷の狙撃手として、誰にも頼らず戦場で生き抜く。しかし、それが本当に正しいのか。彼女は、その答えをまだ知らない。

ウェンディは、吐息を白く染めた。

「優しさこそが、お前を強くする。」

戦場では、優しさは弱さになる。だが、女王はそうではないと言った。彼女の心は、まだ決まらない。

優しさを持ったまま、戦えるのだろうか。

誰もが、言葉にできぬ想いを抱えながら、歩き続ける。

氷の城門が遠ざかり、四姉妹はそれぞれの決意と葛藤の中に沈んでいた。

戦士でありながら、魔族でもある。

その狭間で、彼女たちは答えを探し続けるのだ。

挿絵(By みてみん)

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