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【休載中】ダークインザウィッチ 黒騎士四姉妹  作者: 泉水遊馬
第1章 ゼルグランディア大陸 ― その広大なる戦場
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大将軍ジークの降臨

フロストガルド城の謁見の間に、静寂が満ちていた。

女王レイヴェナの厳かなる声が響いた後、四姉妹は膝をつき、剣を胸に抱いた。誓いの言葉は、彼女たちの心に深く刻まれた。

だがその瞬間、氷細工の窓の向こうから、まばゆい光が差し込んだ。

挿絵(By みてみん)

その名を口にする間もなく、純白の光が渦を巻き、謁見の間の中心へと集束する。

四姉妹が顔を上げたとき、そこに立っていたのは、長きにわたる神秘と誇りを抱えた男、ジークだった。

「よくここまで来たな、エアリス、フレア、ライ、ウェンディ。」

彼の声は優しくも力強く、まるで大地を揺るがすようだった。

女王は静かに微笑みながら、ジークへと目を向ける。

「この子たちの未来は、あなたの祝福を必要としているでしょう。」

ジークは頷いた。そして、その蒼き瞳が四姉妹へと向けられる。

「お前たちは、これから戦場へと赴く。だが忘れるな――力とは誇りではなく、支えるものだ。」

彼はゆっくりと歩み寄り、エアリスの前に立つ。

「エアリス、次期女王。お前の剣は導きの光だ。仲間たちの盾となり、道を照らせ。」

エアリスは静かに頷いた。その瞳には決意の炎が宿る。

次に、彼はフレアへと向かう。

「フレア、お前の炎は燃え盛る戦火だ。だが怒りに呑まれるな。その力を、仲間たちのために振るうのだ。」

フレアは拳を握りしめ、静かに誓った。

そして、ライの前に立つ。

「ライ、お前の雷は断罪の刃。だが、時には雷鳴を落ち着かせることも必要だ。信じる者たちに、その力を与えよ。」

ライは彼の言葉に微かに微笑み、その手を剣の柄へと添えた。

最後に、ジークはウェンディの前へと立つ。

「ウェンディ、お前の冷たき力は、ただの氷ではない。心の強さを忘れるな。仲間と共に、その氷を誇りへと変えよ。」

ウェンディは息をのみ、ゆっくりと瞳を閉じる。

ジークは彼女たちの前に立ち、両手を広げた。

「これより、お前たちに祝福を授ける。」

その瞬間、銀の光が四姉妹を包み込む。

神秘の力が、彼女たちの魂に刻まれた。



フロストガルド王国の 大将軍、そして四姉妹の兄である ジーク。

四姉妹は膝をつき、それぞれの剣を胸に抱えた。彼女たちは黒騎士軍の精鋭であり、フロストガルドの未来を担う者たち。しかし、その誇り高き戦士の中に、一人だけ王位を持たぬ者がいた。

それが ジーク だった。

レイヴェナ女王は、氷細工の壁に掛けられた王族の紋章へと目を向ける。

「フロストガルド王国には、古き掟がある。」

彼女の言葉に、四姉妹は息をのんだ。ジークはただ静かに聞いている。

「この王国では、王位は常に娘へと継承される。我々魔族の始祖、大魔女「ルミナ・ヴェルサ」 。王国の創始者であり、最初の女王、ルミナを神とした信仰により女王の継承 を選んだのだ。」

彼女は振り返り、ジークへと視線を向けた。

女王はゆっくりと答えた。

「王族の男は、王国の守護者となる。王座を持たぬ者は、剣を持つことで王国を守るのだ。」

ジークは口を開かなかった。しかし、彼の瞳には一切の迷いはなかった。

彼はゆっくりと剣を抜き、氷の床へと刃を突き立てる。

「王座を持たぬことは弱さではない。俺は、フロストガルド王国の大将軍。

この王国の剣として、生きる。」

沈黙が満ちた。

しかし、その空気は決して重苦しいものではなく、誇りと決意に満ちていた。

女王は微笑み、ジークの肩に手を置いた。

「お前は王国の盾であり、剣である。四姉妹と共に、この国を守りなさい。」

彼は頷き、四姉妹へと視線を向けた。

「俺は、お前たちを支える。」

その言葉に、四姉妹は強く頷いた。

そして、この瞬間から彼女たちはただの戦士ではなく、王国の未来を背負う者となった。

ジークは王ではない。

しかし彼は、この王国を守る 最強の盾 であり、誇り高き剣 なのだ。

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