凍てつく裁き、崩れゆく希望
帝都の狭い路地、冷たい夜風が血と鋼の匂いを運んでいた。
ウェンディとエアリスの剣が、エミリアの **氷華の断罪** に対抗するように閃く。しかし、彼女の動きは異常なほど優雅で、全く乱れがなかった。
「二人がかりでも、これほどの圧力……!」
ウェンディは歯を食いしばりながら剣を振るったが、エミリアはわずかに体を傾けるだけで、寸分の狂いもなく回避した。
「いい動きね。だが、甘い。」
その瞬間、エミリアの刃が走る。
**氷刃・華凍裂斬――。**
鋭い氷の斬撃が放たれ、ウェンディの体をかすめる。彼女は瞬時に跳び退ったが、寒気が肌を刺し、体の感覚が鈍る。
「……クソッ!」
エアリスが隙を突いて側面から斬りかかる。
「まだ終わらない!」
しかし、エミリアは微笑みながら腕を返す。
**氷刃・蒼空輪舞――。**
円を描くように剣を振るうと、冷気が舞い上がり、エアリスの動きを封じる。
「動きを封じる戦闘術……!」
ウェンディが必死に間合いを詰めるが、エミリアは流れるような動きで剣を振るう。
「狩るわよ。」
**氷刃・絶零蒼華――。**
瞬間、地面から氷の柱が立ち上がり、ウェンディとエアリスを包囲した。
「このままでは……!」
その時、後方から低い声が響いた。
「おい、フレア……退路を確保しろ!!」
ライだった。
「私も加勢する!!」
ライは剣を構え、ウェンディとエアリスの隙間に入り込んだ。
エミリアは面白そうに唇を歪める。
「三人?ずいぶんと数で押すつもりね。でも、力が足りないわ。」
ライは肩をすくめた。
「まあな。でも、少なくとも簡単には殺されるつもりはない。」
ウェンディは息を整える。
「ライ……!」
「時間を稼ぐ。フレアが退路を開くまで!!」
そして、三人の剣が交錯する。
ライが先陣を切り、雷を纏った剣を振るう。
「決める……!」
だが、エミリアは微笑んだまま剣を返す。
「雷は氷に囚われるのよ。」
刹那、冷気が雷を封じ込める。
ライの剣が瞬時に鈍くなり、攻撃の威力が削がれた。
「なっ……!」
ウェンディがすかさず斬りかかる。
「まだいける!」
しかし、エミリアは流れるような動きでかわし、エアリスの斬撃すら封じた。
「甘いわね。」
彼女は一歩踏み込み、ウェンディの胸元へ剣を突きつけた。
「落ちろ。」
「……!」
ウェンディは咄嗟に剣を返し、エミリアの攻撃を逸らした。
ライが戦局を読み、エアリスへと叫ぶ。
「このままでは勝てない……何か策を!」
エアリスが歯を食いしばりながら言う。
「まだ可能性はある……!」
フレアが遠くで退路を確保しながら叫んだ。
「早く……時間がない!」
ウェンディとエアリス、そしてライは最後の力を振り絞り、エミリアに挑む。
しかし、彼女の冷たい刃は、すべての希望を削り取るように迫る――。