黒騎士試験
魔族・フロストガルド王国 魔法学校闘技場
灰色の空から絶え間なく雪が降り続けていた。
白銀の大地に囲まれた 魔法学校の闘技場――ここは黒騎士軍への入隊試験が行われる戦場。
千年の歴史を誇る魔法騎士団は、科学帝国の支配に抗うため、最後の騎士を育て続けている。しかし、かつては誇り高き戦士たちで溢れていたこの場も、今や冷たい空気と鋼の影が覆い尽くしていた。
そして今、その舞台に立つのは 黒騎士軍を目指す四姉妹――
18才のエアリス、17才のフレア、16才のライ、15才のウェンディ。
彼女たちの前には、この試練を司る 最強の教官 が立っていた。
その名は ゼクス=ヴァルド。黒騎士軍の伝説的な戦士。
戦場の伝説 ― ゼクス=ヴァルド
ゼクス=ヴァルドは、かつて王国軍の最前線で戦った英雄だった。
彼は 「戦場の鬼神」 と呼ばれ、帝国軍との戦いで数々の勝利を収めた。
しかし、ある戦いで 帝国軍の将軍エミリア・フリューゲル と対峙し、深い傷を負った。
その戦いを境に、彼は前線を退き、王国の若き戦士たちを育てる道を選んだ。
「この戦いに勝たなければ、貴様らは黒騎士ではない」
その声は低く、重く、そして絶対的だった。
観客席に座る生徒たちの間にも、緊張が張り詰めていく。
エアリスが剣の柄を握りしめる。
フレアが炎の魔力を纏う。
ライが足を構え、瞬時の突撃に備える。
ウェンディが雪を感じ取り、冷気を操る準備を整える。
戦いの火蓋が切られる。
「全力で来い――黒騎士になる資格があるか、証明してみろ!」
四姉妹の運命を決める試練が、今始まる。