第16話:疑心の刃
「おい、隼人……まさか、お前……」
その言葉が、胸に突き刺さった。
仲間のひとりが私を見る目が変わっていた。
裏切り者が出たことで、隊内の空気は最悪だった。
「最近、幕府とよく接触してるらしいじゃねえか」
「松平様に気に入られてるって噂だぜ」
冗談めかした声の奥に、明らかな“疑い”が滲んでいる。
(……これが、罠の効果か)
私は何も言い返さず、その場を離れた。
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刀を握る手が震えていた。
仲間を守るために動いているはずなのに、疑われる。
(俺は間違っていない……はずだ)
だけど、孤独感がじわじわと心を蝕んでいく。
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その日の夕方、松平玄道から新たな呼び出しが来た。
「桜井――状況はどうだ?」
「特に異常はありません」
「……そうか。だが、このままでは済まんぞ」
玄道は机に広げた書状を見せつけた。
「これを見ろ。次の標的は既に決まっている」
そこには、別の隊士の名が記されていた。
「また……冤罪ですか」
「証拠がある以上、上層部は動く。君にできることは報告だけだ」
その冷たさに、私は怒りを押し殺した。
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帰り際、榊原主膳が声をかけてきた。
「隼人君、大丈夫かね?」
「……正直、限界です」
私が漏らした弱音に、榊原は静かに頷いた。
「辛いだろう。しかし、君のその苦しみが、新撰組を守っているんだ」
「……守れているんでしょうか」
「君は間違っていないよ。信じなさい、自分を。そして、仲間を」
その言葉に、私はかろうじて心を繋ぎとめた。
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夜、刀の手入れをしていると、沖田がふらりと現れた。
「隼人、最近元気ないね」
「……ちょっと、いろいろと」
曖昧に返すと、沖田は真剣な顔で言った。
「俺たちは仲間だよ。何があっても、お前を信じてるから」
その言葉に、思わず胸が熱くなった。
「ありがとうございます……沖田さん」
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さらに、土方副長も私に声をかけてきた。
「お前が何を抱えているかは聞かん」
「だが、一人で背負い込むな」
不器用な励ましだったが、その言葉が何よりも支えになった。
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(俺は、一人じゃない――)
疑心暗鬼に呑まれそうになりながらも、私は再び立ち上がる決意をした。
必ず、この陰謀を暴いてみせる。
仲間を守り抜く。そのために、この剣がある。
■桜井隼人より
「……さすがに、今回はちょっとキツかったです。
でも、俺……じゃなくて私は、まだ折れませんから。
仲間を信じて、最後まで戦います。読者の皆さんも、どうか見守ってください!」
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■沖田総司より
「隼人くん、ほんと頑張ってるよね~。
読者のみんな、感想とかで隼人を励ましてあげてよ! 俺も応援してるからさ!」
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■土方歳三より
「……同情はいらん。だが、応援するなら最後まで責任を持て。
途中で読むのをやめた奴は、俺が斬る。」
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■榊原主膳より
「ふふ……隼人君も大変ですね。
ですが、困った時はいつでも私を頼ってください。
読者の皆さまも、彼を応援してあげてくださいね。優しく、ね?」
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【作者コメント】
ここまで読んでいただきありがとうございます!
陰謀編も中盤に差し掛かり、こはるの苦悩が続いていますが、仲間との絆が光る回になりました。
引き続き、感想・評価でキャラたちを応援していただけると嬉しいです!




