【第13話:疑念の刃】
初陣から数日――
私は、未だに松平玄道の言葉が頭から離れなかった。
(どこかで聞いた名……)
あの時の視線、わずかな間。
考えすぎだと自分に言い聞かせても、胸の奥に引っかかるものがある。
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「隼人、また難しい顔してるな」
沖田が気軽に声をかけてくる。
私は慌てて表情を戻した。
「いえ、少し考え事を……」
「ふーん? まぁ、あんまり思いつめるなよ。副長も見てるぞ?」
冗談めかした声に救われる。
だけど、今はどうしても気になることがあった。
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その日、土方と数名の隊士が幕府からの呼び出しを受けた。
私は書簡を届ける役目として同行を命じられる。
到着した屋敷には、あの男――松平玄道が待っていた。
「ご苦労だったな、土方君」
玄道は冷淡な態度で報告を受け、次々と指示を下していく。
私は部屋の隅で控えながら、その様子を静かに見つめていた。
ふと、玄道の隣に座る一人の男が目に入る。
(……誰だろう)
温和な笑みを浮かべ、静かに話を聞いている男。
上役であるはずなのに、決して前には出ない。
「相談役の榊原殿も、近頃の京の情勢を憂いておられる」
玄道の言葉に、その男――榊原主膳は穏やかに頷いた。
「新撰組の皆さんには、感謝していますよ」
「京の治安は、あなた方の働きにかかっていますからね」
柔らかい声だった。
松平玄道の冷たさとは対照的で、どこか安心感を覚える。
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帰り道、私は思わず土方に尋ねた。
「副長……松平様と榊原様は、どのような方なのですか?」
土方はしばらく黙って歩き、低く答えた。
「松平玄道は、幕府の犬だ。命令を遂行するためなら、仲間すら切り捨てる」
「……だが、有能だ。敵に回せば厄介な男だな」
「榊原様は?」
「あの男は……分からん。だが、少なくとも玄道よりは話が通じる」
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(松平玄道は冷酷で、榊原主膳は味方……か)
私はそう思いながらも、心のどこかで警戒を強めていた。
父の仇――
それが誰なのか、まだ分からない。
だけど、確実に“この幕府の中”にいる。
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夜、私は刀を見つめて呟いた。
「……必ず、突き止める。父さんの無念を――」
■桜井隼人より
「……最近、周りが怪しい人だらけなんですけど。
副長も沖田さんも頼りになるけど、やっぱり自分の剣で切り開かないとダメですね。
これからもっと大変になりそうですが、読者の皆さん、最後まで見届けてください!」
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■沖田総司より
「いや〜隼人くん、眉間にシワ寄せすぎ! もっと肩の力抜こうよ。
でも、あの松平様は確かに怖いよねぇ……。
あ、そうそう! 皆さんも感想とかで隼人を励ましてあげてね! プレッシャーに弱い子だから!」
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■土方歳三より
「……くだらん茶番はここまでだ。
この先は命を賭ける戦いが続く。
最後まで読まない者には、鉄槌を下すだけだ。――いいな?」
ここまで読んでいただきありがとうございます!
いよいよ陰謀編に突入し、物語はさらに深まっていきます。
隼人の剣がどこへ向かうのか、ぜひ感想・評価で応援いただけると嬉しいです!




