想いと未来の根底
〈宮野那御道〉は、〈斗真〉、〈快璃〉、〈緋奈〉、〈紫龍〉と共に緑と水の育む庭で茶会をしている。
那御道は、読んでいた本を閉じテーブルに置いた。清らかな空気と水のせせらぎの中1冊の本に視線が集まる。
「この本、『先人と神の戯言』は現代社会を余りにも私感的に、しかし痛快に書き綴っているよ。特に好きな部分があるんだ。」
那御道は、4人を見渡しながら立ち上がり話し始める。
「日本は滅ぶ道を選んだ。2024年、7月7日の東京都知事選挙でそれは示された。投票率の低さは若年層だけに起因するものではない。若者は変えたいと行動で示した。老人は変わらないことを望んだ。
これから日本は、老人のシワが増えるたびに子供は小さく痩せ細り、死ぬだろう。
若者は国家への帰属意識と誇りを損失し、技術と財産を持って海外へ出ていく。
地球は小さくなりました。これまで広かった地球は、ネット社会によって小さくなり声や目が端から橋まで届く世界になった。
小さな島国で滅びゆく種族として生きることを聡明な若者なら選ばない。
これに乗じて、浅はかなものは目立とうと台頭し、社会の混沌を深め、政治はそれに乗じて国民を見捨て、自らの利に走る。天皇家は忘れられた象徴となり、日本の心は終わる。」
知らぬ国の無責任な一人の言葉だが、何か虚しさや悔しさ、無力さを嘆いているようだった。
それは、裏を返せば自国への愛にも受け取れる。那御道は笑顔を向け、
「これからの未来に、君達はこの気持ちを持って携わってほしい。どうか永久に忘れず」