本当に何も分かってないのは、お前の方だよ!
『本当に何も分かってないのは、お前の方だよ!』
俺は思わず付き合っていた彼女にそう言った。
何故そう言ったかは? 彼女が先に俺にこう言ったからだ!
『私みたいな女と付き合ってても、周馬が幸せになんかなれない!
ごめん、私と別れてくれないかな。』
急に彼女が俺に“別れ話”なんかしやがって!
彼女のお父さんは“お金持ちで”親が決めた許婚と結婚させられるらしい。
だから俺とは、“本気で好きにならない”という条件で付き合い出した。
今想うと? 【社会見学】のようなものだったのだろうか......。
結婚相手は親が決めた男性と決められているが、
いろんな経験をする為に、親も娘が結婚するまでは彼女を好きにさせて
いたんだと思う。
でも彼女が結婚できる年になると? 彼女の許婚を彼女に近づける。
・・・そして彼女が俺に別れ話をしたという事だった。
俺は彼女と別れたくなくて、随分と彼女に食い下がったが
彼女は一歩も引かなかった。
それほど親に強く言われていたのだろう!
『イオだって! そいつの事が本気で好きな訳じゃないんだろう?』
『・・・そ、そうだけど、』
『親に逆らえないのか。』
『ごめん、だから私と別れて!』
『俺はイオ以外の女性を好きになれない!』
『・・・また、そうやって私を困らせるの。』
『そんな奴と結婚なんかするなよ!』
『無理よ! 親が決めた事なの!』
『なんで! 俺と一緒に逃げよう!』
『嬉しいけど、無理よ! 私の結婚相手は私が子供の頃から決まってるの。』
『そんなの変だよ! やめろって!』
『周馬には分からないのよ!』
『分かんないよ、そんなの! 親が決めた許婚か知らないけど? 好きでも
ない奴となんで結婚なんかしなくちゃいけないんだよ!』
『“私はそういう家に産まれたのよ。”』
『運命には逆らえないって事か?』
『そう。』
『じゃあー俺が変えさせてやるよ!』
『無理だって! もう私の事は忘れて。』
『“断る!” 俺はイオ、お前の事しか愛せないんだ!』
『周馬の意地っ張りで諦めの悪いところが好きよ。』
『イオの一度決めたら貫こうとするところは好きだけど、今回は俺は納得
できない。』
『・・・周馬、』
『俺はやっぱりイオが好きだ!』
『私も周馬が好き!』
『俺達、二人でひとつなんだよ。』
『そうね。』
『そうだ!』
俺と彼女は顔を見合わせてお互いバカ笑いをした。
お互いの気持ちが通じ合った瞬間だった。
俺と彼女は一緒に遠くに逃げる事にした。
でも? 彼女は知っていた。
彼女の親は何処までも彼女を探して彼女を見つけ出すと......。
それでも彼女は俺と一緒に逃げてくれた。
一生! 俺は彼女を離さないと決めたんだ!
【ピーポーン】
『はーい!』
『イオがココに居る事は分かってるんだ! 直ぐにここを開けろ!』
『俺とイオは籍を入れました。もう結婚して“イオは俺の奥さんに
なったんですよ。”』
『はぁ!? なんて事を!?』
『もう帰ってください! それが無理なら、俺とイオの結婚を祝福
してもらえませんか?』
『わたしの娘と勝手に結婚なんかしやがって!』
『お父さんこそ! 好きでもない男と彼女を結婚させようとしてたじゃ
ないですか?』
『お前には娘はやらん!』
『“今は俺の妻です。”』
『直ぐに離婚しろ!』
『俺は誰よりもイオを心から愛しています。』
『・・・お父さん、もう帰りましょう!』
『お母さん、』
『イオ、幸せになるのよ。』
『・・・お母さん、』
『俺がイオを一生! 幸せにします!』
『ありがとう、イオを頼みますね。』
『けしからん! わたしは認めんぞ!』
『お父さん、』
『今日のところは帰るが、次会いに来るときはイオも連れて帰るからな!』
『・・・・・・』
あれから数年経つが、彼女の親が俺達に会いに来る事は二度となかった。
きっと彼女のお母さんがお父さんを説得してくれたのだろう。
今は凄く幸せだ!
俺の隣にはいつも彼女が居る。
俺にはこれから先も彼女しかいない!
・・・愛してるイオ。
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