09 対策
僕なりにいろいろと考えてみました。
性格とか記憶力とか、いろいろと駄目人間だってことはとっくに受け入れています。
ただ、このデタラメに厄介な固有スキルで皆さんに迷惑をかけたくはないのです。
これが暴発しないようにするには……
えーと、僕の固有スキルは『鑑定』した事柄をイジる能力だから、
もしかしたら『鑑定』出来なければ修正も出来ないってことなんじゃないかな。
つまりは、僕の『鑑定』が発動しなければ良いってこと。
それなら……
……
「こんにちは、サイリさん、ご無沙汰でした」
こんにちは、けんちゃん。
「なるほど、『鑑定』が発動しないよう無効化する眼鏡ですね」
「よくお似合いですよ、眼鏡」
ありがとうございます。
カレルさんの眼鏡をお借りして、超強力な『鑑定』阻害能力を付与してみました。
この眼鏡をかけていると僕の『鑑定』が無効化されるので、不用意に固有スキルを暴発させることはなくなるはずです。
これで皆さんに迷惑をかけずにすみそうです。
「それでは、これからはサイリさんも世界中をあちこち冒険しちゃう、みたいな感じですか」
えーと、冒険の旅っていうとアレなので、むしろ冒険しない旅をする方向かと。
つまり、目立たないようにこっそりうろうろしちゃおうかな、みたいな。
「サイリさんなら『転送』も無制限ですもんね」
「でも、おひとりで大丈夫ですか?」
まずは引きこもりのリハビリのお散歩からって感じでしょうか。
「お散歩、楽しんできてくださいね」
ありがとうございます。
……
出かける前に、まずは準備。
怪我や病気にならないように、自身のステータスをちょっとだけ修正。
マーキングした場所に飛べる『転送』は敷地内で練習済み。
厄介ごとに巻き込まれないよう、強力な『気配隠蔽』を付与。
食糧と日用品とおこずかいを『収納』に入れて、と。
ミスキさんには、しばらく留守にしますって連絡済みです。
それでは、まずは一番近くの村を目指して、お散歩の旅に出発です。