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08 能力


 安心してお出かけ出来るようになるには、この厄介な能力をなんとかしなくちゃね。


 というわけで、僕の能力について、いろいろ調べてみました。



『鑑定』結果を修正出来る能力なのですが、そもそも『鑑定』の内容が大雑把なのです。


 レベルとか素早さとかに細かい数値が表示されません。


"かなり強い"とか、"すごく早い"とか、何と言いますかアバウトな感じ。



 それについてけんちゃんに聞いてみましたが、どうやら『鑑定』は表示される内容が人によって違うようなのです。


 細かく数値が表示される人や、感覚的な表現で表示される人など、結構人それぞれみたいです。


 まあ、僕の理解力のレベルなら、こういうユルい表記の方が合っているのかも。



 ただ、知ることが出来る項目はかなり多いのです。


 健康状態や病気の有無だけじゃなく、性格や感情までも分かっちゃいます。


 つまりは、そういうことまで"修正"出来ちゃうのです。



 例えば、切れ味の良い刃物が欲しい時。


 包丁の『鑑定』結果に"良く切れる"と付与すると、見た目も材質もそのままで"良く切れる"包丁になります。


 材質が"鉄"の物を"オリハルコン"に変更したりは出来ませんし、包丁をハサミや日本刀に変えたりも出来ません。


"何でも切れる"を付与したりも出来ませんし、"絶対に壊れない"なんていうのも無理ですね。


 非常識な能力ですが、修正可能な範囲は常識的ってことなのでしょうか。



 ただ、能力が成長する可能性もありますよ、と、けんちゃんに言われたのが気になるのです。


 これ以上厄介ごとが増えるのはごめんです……



 試しに、肉体改造なんかもやってみました。


"怪力"を付与すると、体型はそのままで力持ちに。


 見た目を変えたいなら、"マッチョボディ"と付与するとムキムキになれたりします。


 ただし、身長10mの大男なんかにはなれません。


 あくまで、人族として可能な範囲での修正ですね。


 もちろん、すぐに元の体型に戻しましたとも。


 こんなひょろひょろ男でも、僕は僕なんです。



 そして、性格や感情について。


 ステータスを深く探ると、見たくないところまで見れちゃいました。


 あっちの世界で自分が普通に暮らせなかった原因……


 悩んだけど、修正するのはやめました。


 どんなに駄目人間でも、僕は僕でありたいのです。



 この程度だったら、けんちゃんが言っていたような世界征服可能な能力とはとても思えないのですが、


 更なる実験の結果は、めっちゃヤバいモノでした。

 


 命について、です。



 実験するにあたって、庭にいるアリさんたちにご協力いただきました。


 ごめんなさい、アリさんたち。



"鑑定"内容の健康状態を修正すると、アリさんはあっさり死にました。


 そして大変なことに、影響を与えることが出来るのは、


"アリさん"単体だけではなく"アリさんたち"でも可能、なのです。


 つまり『鑑定』で認識出来れば、大量虐殺も、可能。


 こんな能力、いらないって……



 実は、死なせるだけじゃなく逆も可能だったのですが、それに関しては制限あり、です。


 正確に言うと、条件を満たしている場合のみ生き返り可能です。


 潰れているアリさんの死体を『鑑定』して"潰れている"を削除しても、潰れていないアリさんの死体になるだけです。


 しかし、生きているアリさんに"潰れた"を付与して出来た死にたての死体なら、"潰れた"を削除すれば生き返るのです。


 つまり『鑑定』で修正した命なら再修正可能。


 こんな怖い実験は、もう絶対にやりたくないです……



 そして最後に、修正の取り消しについて。


 修正出来るのは、一度に一項目ずつです。


 一度修正の手を入れたステータス画面には、右上に(仮)と表示されます。


 その状態から(仮)を削除すれば、修正を取り消して元に戻すことが可能です。


 しかし、(仮)の表示のあるステータス画面の別項目を修正してしまうと、


 最初に修正した項目は"仮"ではなく"決定事項"になってしまうのです。


 つまり、元の状態に戻す必要がある時は、迂闊に何度も修正してはいけないってこと。



 僕の記憶力のせいでもありますが、


 何と言いますか、厄介な上に使い勝手が悪い能力なのです……



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