14 完遂
これまでの状況。
解呪したとたん、スーミャルシア様から抱きつかれる
↓
イリーシャさんからぶった斬られそうになる
↓
スーミャルシア様がイリーシャさんを全力で叱る
↓
イリーシャさん、正座で反省中
そんな感じで、イベント、続行中なのです。
「サイリ様のこと、もっと知りたいのです」
えーと、勘弁してください。
それよりも、お年頃の娘さんが見ず知らずの男に、こんなに近づいちゃ駄目ですって。
ほら、イリーシャさんがすっごい目付きで睨んでますよ。
「イリーシャは、もっと反省なさい」
あー、イリーシャさんがうつむいてぷるぷる震えておりますよ。
駄目ですよ、スーミャルシア様、イリーシャさんをいじめては。
「スーミャとお呼びください、サイリ様」
無理ですよぅ、って言うか、様付けはやめてくださいよぅ。
「スーミャとお呼びになるまでは、やめてあげません」
それなら、様付けのままで良いです。
うー、なんとかしなきゃ。
これ以上の濃いイベントは、僕の平穏な異世界生活の妨げなのです。
覚悟を決めて……
スーミャルシア様を『鑑定』して、"10分間の安らかな眠り"を付与。
っと、ベッドに横たえて、と。
もしもし、イリーシャさん。
ぷるぷるしてないで顔を上げてください。
「……姫様に何をした」
眠ってもらっただけですってば。
殺気はやめてくださいよぅ。
「やはり凄腕魔法使い」
もうそれで良いので、僕は退散しますからね。
絶対に追いかけてこないでくださいね。
「……姫様を癒していただいたこと、生涯感謝する」
はい、良かったですね。
それでは、お元気で。
さようなら。
ヨシッ、イベント完遂。
待っててね、安らぎの我が家!
宿に宿泊料を払って、すぐに町を出ました。
町から離れた場所で『Gふなずし』を起動。
周囲に誰もいないことを確認したら『転送』で我が家へ。
これにて、異世界冒険者サイリの初めての旅、終了。
なんだかすっごく疲れました。
誰がなんと言っても、しばらくは引きこもるからね。




