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源義経の記憶を取り戻した女子高生はもう一度


「どうして戦わないといけないの!」


「お前が義経だから。嫌いなんだよ! 私はいい子ぶって努力してるやつが大嫌いだ」


 そんな。


「じゃあ、いままで私が知ってたメグは源頼朝だったの?」


「そうだ。私は源頼朝。さあ、今度こそ、私の手であなたに引導を渡しましょう」


 メグは私が瞬きする間もなく、近づいてきた。


 私は戦いたくなどない。でも、死ぬのは怖い。また一人になってしまう。


「メグ!」


「カナちゃん!」


 ああ、これがいつものように仲良く呼び合うなからどれだけよかっただろう。


 私は涙をながしながら、悪鬼の形相のメグの剣を受け止めた。


「こんなの嫌だ」


「泣いても誰も助けてくれはしない!」


 何度も剣を打ち合っていくうちに、私は壁際まで追い詰められていた。


「逃げ場がない!」だけど、私はとっさに弁慶と戦った時のことが脳裏をよぎった。


 そうだ。あのときも、こんな状況で橋の上から追い詰められて、真冬の夜の川に危うく落ちるところだった。


「死ね!」


 私は宙へと踊りでた。メグの刀を超え、頭を超え、体を丸めてその場で一回転し、メグの背後をとる。


「メグ、ごめん! いやああああああ!」


 私は刀の刃を逆に向け、気絶させるつもりで、思いっきりメグの首を服の上から殴った。


「……なにそれ。手加減なんて許さない。本気で戦うって約束したよね? どちからかが死ぬまで戦わないといけない!」


「あ」


 私の刀が力任せに殴るようにしたメグの刀によって、吹き飛ばされた。その刀は壁に吸い込まれるように刺さった。


「さあ、終わりよ」


 メグの刀が頭上から振り下ろされた。


「待て……」


 お父さんは私を庇い、頭を光らせていた。右手もなくなり、左足もなくなって、それでも私を守ろうと立ち上がった。お父さんは小太刀を左手に構えると、メグの刀を受け止めた。


「くっ前がみえない! ええいこしゃくな!」


 父は短く悲鳴をあげると、メグの蹴りによって地面に倒れ伏し、必死に掴んでいた小太刀を手放した。


「やめろ姉御」


「刀が!」


 メグの刀をマサルが右手でつかんで止めていた。血がたくさんあふれて、手は真っ赤に染まていた。


「なんのつもりだ! マサル!」


「姉御……いまならまだ間に合う。源頼朝のふりなんて嘘だ。あんたらしくない」


「私は源頼朝だ! 放せ馬鹿野郎! お前の手がなくなるぞ!」


「断る」


「なんで……よ」


「ずっとカナのことが好きだった。でも、俺は本当は気づいていた。姉御が俺のことを、好きだったことを」


「!?」


「嫉妬なんだろ?」


「ち、違う。私は源頼朝で、カナちゃんは義経だから殺さないといけない」


「見損なったよ。姉御。ほんとうに源頼朝だっていうなら、あんたとの縁もこれっきりだ」


「違う。私は……そんな……」


 メグは首を振り、刀から手を放した。


「くっ」


 マサルは右手でつかんでいた刀を畳に放り投げた。


「マサル!」


「大丈夫だ。それよりもカナのお父さんを病院に連れて行かないと」


 そうだった。今はマサルの心配をしている場合じゃない。


「あははは。嫌われちゃった。私、マサルに嫌われちゃった」


 メグの手にはいつのまにか、小太刀が握られていた。


「もう生きていけない」


 両目から涙をながし、自身の左胸を貫いたメグは倒れた。


「メグ!」


「何、やってんだ馬鹿野郎!」


「ああぁあああああ! メグが息してない!」


「諦めるのはまだ早い! 人工呼吸をするんだ! その間に俺が外から助けを呼んでくる!」


「うん! わかった!」


 こんなときのために学校で救命訓練をしていてよかった。とはいえ、いつも学校では竹槍ばかり握らされていたけどね。




 馬鹿やろう! なんで死のうとしてるんだ! 俺がメグちゃんを傷つけたからなのか? 俺があいつのこともっと気にかけてればこんなことにならなかったのか? 俺がカナを好きにならなければ……


「ヘリの音?」


 マサルが桟橋にでると、空にはオワリ局のヘリが飛んでいた。


「おーい!」ヘリに手を振るもおりてこない。「なんでだちくしょう!」


「警察だ! 武器を捨てて、全員てを上げろ」


 もう遅い。


「今はそれどころじゃない! メグちゃんが死にかけてるんだ! お願いだから!」


 警察の人の襟を持ち、両手で空中に持ちあげた。


「ま、まて。はなせ。首がしまって息が……」


「す、すみません」


「それで、どうしたんだ」


「あんた! ヘリと連絡できるか!」


「だから、首をしめるなと……い、息が……」


 そのあと取材ヘリにカナとメグちゃん達を乗せ、俺たちは平城から去った。




★☆★☆★☆★☆★☆★☆




 メグちゃんは無事に意識を取り戻し、心臓の移植に成功した。


「カナちゃん」


「メグ……」


「ほら、二人とも」


 俺はメグのベッドの傍らに立つカナに仲直りするよう提案した。それは病室の前で入ろうか迷っていたカナの手を引っ張って、メグちゃんの手も握ったからできたことなんだと思う。まあ、あんな悲しそうな顔でこっちをみられたら、誰だって助けたくなるけど。


「「「ごめん」」」


「姉御。俺はカナのことも好きだけど、姉御をないがしろにするつもりはない。だって、俺たち友達だろ?」


「なら、マサル。私のこともカナちゃんみたいに下の名前で呼んでよ」


「わかった。メグちゃん」


「メグって呼んでよ」


「め、メグ」


 メグが嬉しそうに笑っていた。


 そのあと色々あった。カナちゃんの父親も無事に退院して、腕と足も奇跡的に繋がった。おまけに髪の毛までフサフサに生えたのはさすがに驚いた。あと校長は進大学校に警察から帰ってきたら、別人みたいになっていて、「人を殺すことはいけないことです。誰かに右手でぶたれたら、左てで自分の頬を叩きなさい。そして、警察に両手で相手にぶたれたと助けを求めるのです」っとかなりまともな人間? になった。




おしまい


結構真剣に書いたんですけど、やっぱり途中で笑えるものを書きたくなりますね…w


とりあえず、『宿屋でヒーラーやってます』と『「魔法なんて信じてまたるか。異世界なんて存在してたまるか」ーー名探偵阿歩郎は嘘を信じない』の二つの小説を頑張って書いて終わらせて、その次に新作をどんどん書こうかと思いますw

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