第8話 ドラゴン種と 各所属の第零世代から第二世代、そして種族の誕生
世界樹は神に与えれた理に従い、その使命を遂行していく。
・種族創生は、10年後に最初の世代交代を一斉に行う。
・人族のみ全ての種族と生殖可能とした。
世界樹は、最初に全種族の頂点たる「ドラゴン」族を創造する。しかし、その実はあまりに巨大な為 世代交代に間に合わないと分かっていた。そこでドラゴンだけ世代交代とせず、通常の創生とした。ドラゴン族だけ率先して熟成させたのは、精霊と妖精が輪廻転生を行う場所を住処とし守護する為である。
この世界には、五体のドラゴンが確認されている。
地の精霊の守護者・・地竜ワーム
(穀倉地帯と群島地帯の境界にある山の地下に住むと言われている)
風の精霊の守護者・・飛竜テュポーン
(森林地帯と群島地帯の境界にある氷で閉ざされた山の中に住むと言われている)
水の精霊の守護者・・水竜リヴァイアサン
(南極の内海に住むと言われている)
火の精霊の守護者・・火竜ドレイク
(穀倉地帯と森林地帯の境界にある火山の中に住むと言われている)
闇の守護者・・・・・暗黒竜ニーズヘッグ
(世界樹の根に住むと言われている)
それぞれのドラゴンは、一体しか存在しない。
成体は、次の卵を産み孵化するまで、その住処を動かない。孵化が始まると、老化が始まりそのまま命が尽きると言われている。
孵化したドラゴンは、人族(赤ん坊)の姿をしており、妖精達により人家のある村に運んでもらう。
赤ん坊の連れていかれる村には、古くから伝承があり『手に紅葉の文様がある赤子が現われ、村に恩恵を与えるだろう。』と言われている。
幸運にも赤子の置かれた家は、我が子として育てる事が出来る。その成長は、村全体で見守る事になる。なお、手の痣は成長共に消えていく。
人族に育てられた竜は、人族としての姿のまま成人を迎える。その後、次代の卵を産むため、人族との間に受精を行う。受精後は、人族を離れ住処に戻ってくる。
住処に戻ったドラゴンは、竜化し先代の竜の骨や散らばった住処を整理する。やがて、卵を産み落とすと抱えながら孵化を待つことになる。
そんなドラゴンの一生だが、不幸にして途中で死滅する事がある。
その場合、世界樹は、新たな「ドラゴンの実」を創り出しその住処に届ける。孵化するまで『精霊』と『妖精』により住処は守護される。
ドラゴン創生の後は、全ての種族の実を熟成させる。
しかし、短期間で数億もの生物を創生しなければならない世界樹は、実を十分に育成出来ない。そこで、核となる種の部分だけ創生する事になる。実の表皮と核となる精子体(卵子体)を創り出すと、表皮の成長に合わせて実の中に地下から汲み上げた水(神力が含まれる)を充填していく。
水を分解して生物としての物質化を行うのだが・・絶対量が不足している。やむなく綿菓子状に体積だけ増やしていく。
当初、熟した「クジラ」「ワイバーン」など大型の生物は、その創生数が少ないので妖精達が世界樹から世界に運び出していたが・・獣族、鳥族、人族など次第に数が増えていくと直接運ぶ事が出来なくなった。
そこで、妖精達は分担する事にした。
実の水分が無くなると熟したとして落果となる。本来の熟した状態ではないのだが、数を創生する以上やむを得ない。軸がやせ、実は樹周囲の湖水へと落ちて行く。
樹の端から落果した実は、地上に落ちる事になるが、軽量で柔軟な皮と内部が綿菓子状の実は、傷つくことも無く着地する。地上の実は、妖精達かエルフ達により湖水へと運ばれる。
世代交代に時間のかかる「大型種族」から順に創造された実は、水の妖精「ニンフ」により湖底に集められる。
種族毎に集められた実は、収納袋に入れられ各地の海へと運ばれていった。水生生物は、各地の海や湖、運河、川に運ばれ種族毎に集積される。その後は、「ニンフ」が定期的に巡回し成育を見守っていく。
地上生物(空の生物も含む)は、「ニンフ」により海岸線、湖や川の水際に置かれる。それを、地上の安全な場所まで「ノーム」が運搬する。
やがて種族毎に集めれた実は、内部から皮を溶かしながらそれを自分の構成物質と取り込んでいく。生まれ出て来た生物は、全ての種族共通に「スライム状」となっていた。
表皮に接するように置かれた「知恵の実」を取り込み吸収すると、それ以降に吸収した草、藻や小石などを「それぞれの物質」として認知し「知識」として覚えていく事になる。
風の精霊「シルフ」や火の妖精「サラマンダー」は、地上に置かれた実や生まれ出たスライムの温度管理を行っていた。寒い地方では、「サラマンダー」が周囲を温め。暑い地方では、「シルフ」が風を送り体温を下げていた。
そんな中、生来いたずら好きの「シルフ」。彼らは、一点に居座る事が出来ないので各地を動き回るのだが・・群れから離れたスライムを、群れに戻すのも彼達の任務となっていた。
スライムに触れ、「収納袋」に入れると群れに行かず・・遠くの群れに放り込んでしまう。そんな仕草があちらこちらで・・・
実から生まれ周囲の物質を取り込んでいく期間を「第零世代」と言う。本来は、世界樹の実が育成し実体を与えるべき事なのだからだが。
この世代は、周囲の物質を分解吸収して自分の体を物質化する期間となる。
神より決めれた次世代への交代時期が来る。10年後(エルフ歴10年)、全ての種族で一斉に受精が行われる。スライムの精子体が成長すると雄に、卵子体が成長すると雌になる。
スライム同士が接触すると受精が行われる。自分の遺伝子を相手に植え付けるのだ、これはスライムの優越により自動的に送る者と受け取る者に分かれる。
一度、植え付けたら二度と与える事は出来ない。さらに、植え付けた同士で、遺伝子のやり取りは出来ない。
基本、同性同士で行われる。但し、群れに雄雌の数が均等でない場合(付近に同性が居ない場合)は、異性同士でも受け渡しは可能となっている。母体となるのは、遺伝子を受け取った者がなる。
それぞれ受精が終了すると、第一世代へと変化を始める。本来の実が完熟して、生物が生まれる状態へと・・その種族の成体へと変態する。その祭、受精できなかったスライムは、変態ができずに捕食対象となってしまう。
小動物の変態は、早い。例えば、ネズミ族の変態は数時間で成体へと変わり、群れから離れて独自に生き抜いていく。
ウサギ族は、半日で変態が終わる。食物連鎖で捕食対象の生物は、短時間で変態しなければ死を迎える。
逆に大型種族は、変態に時間を要する。数か月の時間を要する「クジラ」は、水の妖精達の保護が必要になる。
「クマ」「ライオン」なども、1月程の変態期間が必要なのだが、その間はスライムの機能が残っているので草を食べる事で生きる事が出来る。
人族も20日程で成体と変わっていったが・・神力を生み出す人族は、他の種族より多く生み出されていた。生体に変わっても、生きる為の知識も乏しく、自然の中で生き抜いていくのは難しいだろうと妖精達は考えていた。
このまま成体になっても、大型動物の捕食対象にしかならない。神より人族の保護を命じられていた妖精達は、おのれの遺伝子を受精させることで保護しようとした。
「ノーム」から受精された人族は、半妖精の「ドワーフ」へ。「シルフ」は「エルフ」、「サラマンダー」は「ブラウニー」、「ニンフ」は「マーメイド(マーマン)」へと生まれ変わります。半妖精の彼らは、数時間で変態を行い人族の群れを捕食者から保護することになります。
一方、成体となった人族との間にに「加護」を
幼児体となると、各妖精の協力を得て 生活基盤を造り出す。