第5話 五日目 神具と魔法陣
いたずらっ子の『シルフ』は、樹上で『ノーム』『ニンフ』の様子を興味ぶかそうに見ている。
『ニンフ』は、拡張された水脈を更に広げようと、水流を操り削り取った汚泥を外洋へと運んでいた。
土中から出て来た様々形状の石。もともとは、ドロドロに溶けた物質の硬化した物なのだが・・『土の精霊』の影響を受けた石と金属は『土属性』となり、影響を受けていない石や金属は『火属性』を保っていた。
土属性の石を『小型のハンマー』の形状に整え、一緒に掘り出された土属性金属を『石床』で叩いて精錬すると・・様々な種類の金属隗と変わる。
そこから、金床・大小のハンマー・タガネ・ヤットコと道具が創られていく。
最初に創ったのは、『火属性の金属』から『腕輪』。『ノーム』の腕に合わせて創られていくが・・全員の寸法が同じ訳もなく・・サイズ調整に切れ目を入れ魔素で接合した。各自、魔素を操作してサイズに合わせていく。
腕輪を装着した『ノーム』は、地中を下りていく。『火の精霊』は、地中深くドロドロに溶けた溶岩の中か火山に好んで住んでいる。そこまであいにいくのだ 。
『ノーム』と言えど、溶岩のそばまで行けるはずも無く。近くまで行くと『腕輪』を溶岩に向けて待っている。
『腕輪』に気付いたのか『火の精霊』は、触手を伸ばし・・体の一部を『腕輪』に収納させた。
『ノーム』達が集めた『火の精霊』を地表に運び・・まだ残っている実に近づける。
赤く熟した実は、火の妖精『サラマンダー』を生み出していく。
これで作業が終わった訳ではない。次なる作業に取り掛かる。
『シルフ』が削り落とした『世界樹の皮』をなめして繊維を作り出す。それから作った袋と紐、糸で『収納袋』を創作していく。
これは、『世界樹』から作られているので『全ての妖精』が装備する事が出来る。
さらに別働班は、各種属性の石を集め出した。大きさは、人族の子供程のサイズとなっている妖精が乗れる程の石。
それを『シルフ』が、真半分に切断する。
『ノーム』が金属で『魔法陣』を双方に描く。
『サラマンダー』が、絵柄通りに焼き付けていく。
出来上がった片方を『ニンフ』が、水脈を通して世界各地に運んでいく。水辺からそう遠くに運べないので『ノーム』が、地上の奥地へと運び直す。
同じ属性の『魔法陣』なら、どの『魔法陣』でも飛べるのだが、同じ石から作られた『魔法陣』なら、『神力』の消費が極端に少なかった。
『魔法陣』は、その石に宿る『神力』で動く。石の『神力』が消えれば、新たに『神力』を埋め込ませる必要がある。
この段階になると、『世界樹の実』の成育が再開される。もうすぐ、世界各地で生命が動き出す。