98回目 宗教もまた邪魔にしかならない存在だった
この世界にも存在する宗教。
それらも寄付やら浄財やらで食っている。
とはいえ、それらは信者の善意によるものではない。
実質的に強制徴収している。
自分で稼がないという点では、宗教も同じだった。
それこそ、迷宮に出向いて稼げばいいのだが。
それをしない。
そのくせ、稼ぎを信者から巻き上げる。
拒めば、背教者と罵って排除する。
人々の多くが入信者扱いのこの世界では、それは事実上の社会からの追放だ。
そうなったら生きていく事が出来なくなる。
食べ物も道具も、必要なものが手に入らなくなる。
売りさばこうにも誰も買い付けてくれなくなる。
そんな状況でどうやって生きていけるだろうか?
そんな力があるために、宗教に逆らえる者はいない。
宗教をとりまとめる教会は、もう一つの統治機関のようなものだ。
事実上の支配者・支配層・統治者である。
厄介なのは、教会が貧民を取り込んでる事だ。
そして、一般庶民も。
これらはもっとも数が多い。
それらの救済をお題目にしている。
だから庶民は宗教や教会をそれなりに尊重している。
「貧者を救おう」
そんな教会の一番の売り文句である。
これを盾にして、慈愛の強制をしてくる。
分かりやすく言えば、
「貧しき者に分け与えろ」
これによって、貧乏人や困窮者に食い物を与えさせている。
もちろん、教会は自腹を切ってるわけではない。
信者とされてる一般人にさせているのだ。
そうやって貧乏人や困窮者と取り込む。
取り込んだこれらを使って暴動などを発生させる。
それが怖くて教会に従わざるえない。
自分の懐を痛めず、他人の稼ぎを利用する。
それはそれでなかなかの策略ではあるだろう。
そんな宗教を奉じる教会。
それがまた出しゃばってくる。
貧乏人の物乞いを拒んだ事を咎めに。
「どういう事なのですか」
口調こそ穏やかだ。
しかし、問い詰める気が満々である。
(こいつらもあとで処分するか)
そんな事を決める。
ただ、こちらも簡単にはいかない。
相手も国家規模の巨大組織。
簡単にはつぶせない。
なので、当面は見送るしかない。
仕方ないので、寄付名目で幾らかの金を提供する。
(おぼえてろよ)
後で渡した金以上に取り立てる事にする。
無限の利子をつけて。
足りない分は、金以外のもので支払ってもらう事にした。




