96回目 どうしても駄目な奴はいるし、それは救えない
ある意味、気合いや根性を言い立ててる連中と同じだ。
駄目な人間というものは。
やり方を提示している。
しかも、それがそれ程難しいものではない。
成果をあげてる者も大勢いる。
失敗してる者の方が少ない。
そうであるにも関わらず、自分には無理だと思う者。
そういった者はどうしても出て来る。
それらも、考え方が硬直してるという点では同じなのだ。
気合いや根性で押し切るしかない、それ以外に方法がない。
そう考えてる連中と。
そんな思い込みを正解だと思ってる者と。
どうせ駄目だ。
無理に決まってる。
それもまた、自分の思い込みが正しい、正解だと思ってる。
この思い込みのままに行動している。
判断を下している。
思い込みの内容はともかく。
思い込みを前提にして全てを判断している。
その部分において、気合いや根性を言い立てる連中と何も違いは無い。
向いてる方向や考えが違うだけだ。
そういう人間は救えない。
救おうにもどうにも出来ない。
結果を見せても受け付けないのだからどうしようもない。
ヒロトシはそういう人間は放置した。
救ってやる価値もない。
救う必要もないと思っている。
むしろ、率先して処分するべきだと考えていた。
何故か?
いたって単純である。
気合いや根性で押し切ってる連中と、根本的に同じだからだ。
ヒロトシがもっとも処分したい連中。
最も嫌ってる連中。
それと同類だからだ。
救おうなんて気になどなるわけがない。
むしろ、自らの手で処分したいと思っていた。
似たような理由で、心違いをしてる連中。
それらも処分したいと思っていた。
ヒロトシらにタカリにくる連中。
盗みを働こうとする連中だ。
成功してるヒロトシ達によってくる乞食。
ヒロトシ達の寝床に入り込んで、成果を奪おうとする輩。
それらもまた、ヒロトシは邪魔だと思っていた。
乞食には、やり方を教える、自分で稼げと伝えた。
それを聞いてやる気を出したなら、迷宮につれていっている。
だが、そうした話を聞かずに、ただひたすらヒロトシにたかってくる者達。
自分で稼ごうとしない者達。
それらがただひたすら邪魔だった。
五体満足であるにも関わらず働こうとしない。
他人の成果をむしり取ろうとする。
そんな者など邪魔でしかない。
もちろん体力は落ちてるだろう。
気力だって損なわれてるだろう。
それは分かる。
だから、最低限の食事を与えはする。
健康に影響が出るので、衛生的な面を改善する為に風呂も提供する。
装備も、粗末なものであるが用意する。
そこまでしてるのだ。
それでも何もしない。
ヒロトシから奪おうとする。
そんな連中など救うに値しない。
五体満足で気力も充実していてもだ。
それを盗みなどに活用する連中も同じだ。
怪我や病気でまともに動けないわけではない。
挑もうと思えば迷宮に向かう事が出来る。
にもかかわらずだ。
盗みによって、迷宮で危険を冒してきた者達の成果を強奪しようとする。
そんな連中など許せるわけがない。
体がまともに動き、気力もあるなら、迷宮に入れば良いのだ。
危険は当然あるが、その危険を凌いで頑張ってるのが探索者だ。
その危険から逃れ、探索者の成果を強奪する。
こんな非道が許されてよいわけがない。
こういった連中の更正など、ヒロトシは考えていない。
そもそもとして、最初から迷宮に挑めば良いのだ。
それなのに、盗みを働いて楽をしようとしている。
ふざけた話だ。
ヒロトシ達に何の利点もない。
最初からそうしている連中などに更正など期待出来るわけがない。
そもそも、人間が更正する、反省するわけがない。
それが出来るなら、いつまでも根性論がまかり通るわけがない。
延々と根性論を続けているのは、考え方を変える事が出来ない証拠だ。
こうした連中にヒロトシは容赦しない。
捕らえてまとめて迷宮の中につれていく事にした。
町で処分をしたら治安機関が動く可能性がある。
場末での出来事に介入してくる事はほとんど無いが。
それでも、面倒は極力避けたかった。
だから馬車や自動車を使って、周りから見えない状態で迷宮に持っていき。
そこで怪物どもの餌にしていった。
迷宮に持ち込む手間はかかるが、もっとも確実な処分方法だ。
以後、ヒロトシはふざけた事をするような連中を、こうして処分するようになった。
おかげで、場末の治安は更に良くなった。
不心得者が消えていくのだから当然だ。
ただ、そんな状況にケチを付ける連中もいる。
それらがヒロトシ達の所にもやってきた。




