94回目 言い訳を潰し、努力・根性を否定していく為に
それが契機になったのか。
以後、ヒロトシは新人の教育を担っていく事になった。
彼等が気の毒だという同情もある。
それよりも大きいのは、この世界の常識を真っ向からぶっつぶす事。
それが目的だった。
気合いや根性だけでどうにかしている。
強引に推し進めている。
それがヒロトシには気にくわない。
そのせいで死にそうにもなる。
しかも、それに延々とつきまとわれる。
脱退・離脱しようにもそれを認められない。
ヤクザのように離脱を許さない。
そんな連中に突きつけてやりたかった。
お前らの全てが間違ってると。
その為に新人を育てていった。
追放されたり無能扱いされた者達。
それらが成功をしていれば嫌でも分かるはずだ。
無能と言われた者達が優れていたと。
しかもそれが、特別な方法によるものではない。
少しばかりやり方を変えれば誰でも出来る事。
才能や能力など関係がないという事に。
それらがあれば有利に物事を進める事は出来る。
だが、極端に劣ってるのでもなければ、そんなの微々たる差でしかない。
それよりも、やり方や考え方、効率を上げる。
その方が大事だと。
それをヒロトシは実際に示そうとした。
やってのけてもいる。
だが、ヒロトシ一人の成功では意味がない。
それだと、まぐれや運の良さで片付けられる。
あるいは、ヒロトシに才能があったという事にされる。
そうではない。
ヒロトシが優れてるのではない。
もちろん、それなりに優れた部分はある。
この世界の常識にはない考えを持ってる。
それが規格外の能力といえなくはない。
考え方や知識、違ったものの見方。
それはある意味チートと言えるだろう。
考え方の違いやより効果的な方法。
やり方や手法と呼ばれるもの。
それを見つけるのは簡単ではない。
ほんのちょっとした改善すら、なかなか見つけられずに何十年何百年と経つ事もある。
ヒロトシはそれを持っている。
それだけでも大きな利点だ。
だが、身体能力や知能といったものに大差があるわけではない。
基本的には一般的な人間と同じだ。
何かが特段優れてるというわけではない。
やり方や手法にしても、自分で思いついたものではない。
前世では当たり前だった考え方を持ち込んでるだけ。
それにしたってヒロトシが考えたものではない。
前世での常識。
前世では珍しくもない知識や情報。
それを持ち込んでるだけだ。
新たに思いついたり考えたわけではない。
言ってしまえば、借り物だ。
そんなヒロトシであっても、規格外のチート扱いされる。
ヒロトシだけで留まっていたらそうなってしまう。
それを何としても避ける必要があった。
だから、新人の教育をしていった。
他の誰もが、能力がないといって追放された者が。
それらが成功をおさめていく。
成果をあげていく。
そうなれば才能や能力のせいには出来ない。
言い訳の理由が無くなっていく。
屁理屈を事前に潰していく。
その為の新人教育だった。
あるいは、無能の烙印を押された劣等生。
それらをまともに稼げるようにしていく。
ヒロトシのやり方をおぼえた者なら、誰もが成功する。
そういう状況を作っていく。
それにより、根性や気合いといった無駄なものを潰していく。
ヒロトシはそうしていくつもりでいた。




