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転生先の異世界常識は遅れてる、そんなの守ってたら死にそうになるから見限って前世の効率的な方法を導入していきます、常識を覆して最大の成果を、そして社会もいっそ潰してしまいます、やられた分をやり返すために  作者: よぎそーと
7章 そもそもの発端となった、他人からみたらくだらないかもしれない、だけど本人にとっては重大事な出来事

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93回目 成功を賞賛し認めてくれる人間などまずいない

 ある意味、予想通りではあった。

 今まで稼げなかった者が、突然大きな稼ぎを持ち帰る。

 それを見た人はどう動くか。

 凄いじゃないかと言うような人間はまずいない。



 たいていの場合、そんな人間を人はやっかむ。

 何でそんなに上手くやるのかと。

 自分には出来ない事をやり遂げる人間に、人は敵意を抱く。

 嫉妬と言っても良い。

 少なくとも理解出来ずに困惑する。



 自分に出来ない事。

 常識の範囲外にいる者。

 理解出来ないから困惑する。

 そして、理解出来ないものを毛嫌いする。

 分からないという事は、対処不能だからだ。



 では、理解出来れば安心するのか?

 そんな事はない。

 相手が優れてると分かればやる事は一つ。

 排斥や排除だ。



 自分より優れてる存在。

 それは、自分を無価値なものにする。

 無価値なものは存在する必要が無い。

 必要がないから排除される。

 そういった事を人は嫌うのだろう。

 だから排除していく。



 ある意味、生存本能だ。

 自分のいる意味を守ろうとする。

 自分が排除される可能性を消していく。

 その為にその原因を潰していく。



 それが出来ないとなれば、取り入ろうとする。

 あるいは取り込もうとする。

 隷属すると言っても良い。

 奴隷になろうとする。

 そうして脅威から身を守ろうとする。

 従ってる者に酷い事をする者はそうはいない。



 そんな人間の心理が働いた結果だ。

 新人達は周りから煙たがられた。

 よそよそしい態度をとられた。

 それくらいならまだ良いが。

 露骨に敵意を込めた目を向けられた。



 賞賛されるというような事はなかった。

 結果を出したのにもかかわらず。

 むしろ、結果を出したから敬遠されていった。



(やっぱり)

 そんな思いが強い。

 話を聞いたヒロトシは、妙に納得してしまった。

 新人達が気の毒とは思うが。

 なるべくしてなった結果と感じた。



 これで新人が絶大な実力をはっきり示せば話は違うのだろうが。

 残念ながらそうではない。

 長い時間をかけて実績を示していくような事はなかった。

 いきなり今までと違った結果を出したのだ。

 それを見れば誰だって驚くだろう。



 そして、何の前触れもなくいきなり稼ぎを増大させたのだ。

 誰だって理解が追いつかない。

 理解出来ないから警戒をしていく。

 警戒の結果として、排斥や排除が始まっていく。

 結果を出したものが、不正を働いてるのではないかと。

 何か卑劣で卑怯な手段でも使ったのではないかと。



 実際に良からぬ事をしでかしたわけではない。

 しかし、そう思われていく。

 真実や真相がどうあろうと関係はない。

 そういう可能性がある、そう思える。

 それだけで警戒するには十分だ。



 警戒というのはそういうものだ。

 真相が分からない。

 事実が分からない。

 何が真実なのか不明。

 だから警戒する。

 当たり前だ。

 全てがつまびらかになっていたら警戒などしない。



 警戒とは、不明な何かへの対処である。

 それを怠らないから人は生き延びてこられた。

 危険に近づく事無くやりすごせるようになる。

 正体が分からないものへの恐怖や怯えは当然の反応だ。



 理由もなく警戒するな、というのが間違っている。

 理由が分からないからするのが警戒だというのに。

 これを否定するというのは、危険に何も考えずに突っ込めと言ってるのと同じだ。


 それはそれで健全な反応だ。

 ヒロトシとしても無下に否定は出来ない。

 しかし、新人達も可哀相ではある。

 折角出来るようになったのに、周りからいわれなき白い目を向けられるのだ。

 たまったものではないだろう。



「まあ、それならここを活動拠点にしていけ」

 あまり慰めにはなってないだろう。 

 だが、落ち着いて活動出来る場所として、この場末の宿をすすめていく。

「ここなら誰も文句は言わねえから」

 うなだれた新人達は、その言葉にわずかながら救われた。



 こうして場末の宿は、ポッと出の新人達の溜まり場になっていった。

 ヒロトシがやり方を教え、一気に出来るようになり。

 そのせいで居場所を無くしていった者達の。



 なお、宿の親爺が喜んだのは言うまでもない。

 新人達には気の毒だが、稼ぎが転がり込んできたのだから。

 逃がしたと思ったものが戻って来たのもありがたい。

(こりゃあ、こいつには頑張ってもらわんと)

 そう思ってヒロトシに次の新人を宛がおうと考えていった。

 そうすれば、同じように宿に常駐する者が増える。

 そう考えて。

(まあ、そういう奴には事欠かんからな)

 幸い、そういう奴らはこの界隈に多い。

 見込みのありそうなのを連れてくれば、それだけで宿の営業は安定する。

 それを目指して親爺は、次の生け贄(かつ親爺の金づる)の目星をつけていった。

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