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転生先の異世界常識は遅れてる、そんなの守ってたら死にそうになるから見限って前世の効率的な方法を導入していきます、常識を覆して最大の成果を、そして社会もいっそ潰してしまいます、やられた分をやり返すために  作者: よぎそーと
7章 そもそもの発端となった、他人からみたらくだらないかもしれない、だけど本人にとっては重大事な出来事

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85回目 その日あった事 7

 そうして嫌々同行した迷宮探索。

 想像通りに最悪だった。



 とにかく怪物相手に突撃させられる。

 戦い方を教えられるわけでもなく。

 やむなく、前世で少しだけ授業で囓った剣道などを思い出しながら動いてみた。

 そんな簡単にいくわけ無いが、それでも何とか怪物を倒す事は出来た。



 そんな事を何度も繰り替えす羽目になった。

 ろくに剣も握った事がないのに、いきなり持たされて戦闘をさせられる。

 どういうつもりなんだと思った。

 しかも魔力による能力強化なども無しに。



「最初からそんなもん頼るな」

 せめて魔力くらい使わせてくれ。

 そう言ったら怒鳴られて拳骨を叩き込まれた。

 なんでだと思った。

 しかし、答えは無い。

(ふざけやがって)

 怒りをおぼえた。



 それでも一応報酬は渡してくれる。

 売却利益はそれなりに渡してきた。

 さすがにここでまで不当な事はしないようだった。

 だが、それを正直に家まで持って帰ったのは問題だった。

「おう、じゃあ金を出せ」

 なぜかふんだくられそうになった。



 家に金を入れるのはやぶさかではない。

 自分で稼ぐようになったのだ。

 家賃くらいは入れるべきだろうと思った。

 しかし、それが全額となると話は変わってくる。

 なんでそんなにと思った。

 だが、金は容赦なくふんだくられた。



 それもあって、次の日からは金で即座に買い物をする事にした。

 もともと、金をもらったら手にしようとしていたものがある。

 それを早めに手に入れるだけだ。



 手渡されたのは1万円。

 初任給にしては多いのかもしれない。

 だが、命がけの仕事としてはどうなのかというところだ。

 その金を全部使って、ヒロトシは魔力を買った。



 魔力の販売額は高い。

 売却額は魔力1点につき100円なのだが。

 一般に販売される時には1点につき1000円となっている。

 一気に10倍だ。

 そうそう広く行き渡らないようにという配慮のためだという。

 それはそうだろう、やろうと思えば犯罪にも使える。

 そんな危険なものをおいそれと世に出せるものではない。

 なので、入手しにくくするように取りはからってるという。



 それで魔力を5点だけ買う。

 さすがに全額を出すわけにはいかない。

 それで今日を乗り切らねばならないのだから。



 そのまま場末を目指して歩いていく。

 以前、話を聞いた時に出向いた事がある。

 落ちぶれた探索者などが集まってると。

 どういう所なのか知っておきたくて、探険がてら出向いた。



 その時に何回か訪れた。

 思っていたほど雰囲気は悪くはなかった。

 ただ、探索者の表情は良いものではない。

 落ちぶれた者が集まってる地域ならそれもしょうがないのだろう。



 だが、思ってたような治安の悪さはない。

 治安機関が出向いてるわけでもないが。

 さすがに揉め事を起こすようなバカは少ないのだろう。



 その時の事を思い出しながら宿を探す。

 記憶頼りだからおぼつかない所もあるが。

 それでもありがたい事に、探険に来た時と同じ場所に宿はあった。

「潰れてなくて良かった……」

 失礼だが、心底そう思った。



 そう思って入った場末の宿。

 そこに以後ずっとお世話になるとは、この時は思ってもいなかった。



 その日はそこで一泊。

 一番安い部屋に、2500円を支払って泊まった。

 カプセルホテルのような小さな寝台だった。

 それでも、家にいるよりはゆっくり出来た。

 余計なものがないというのは大きいようだった。



 そして翌朝。

 朝食をとって迷宮に。

 宿泊費とは別に、一食1000円が飛んだ。

 これで手持ちは1500円。

 稼がないと今日は寝泊まりする事も出来ない。

「がんばらないとなあ……」

 軽くため息を吐く。

 この時点でヒロトシに、家に戻るという選択肢は無くなっていた。

 そのまま一人暮らしを始めるつもりでいた。



 だが、まだ読みが甘い部分があった。

 特に警戒もなく迷宮へと向かったのだが。

 そこで近所の探索者達に捕まってしまった。

 時間をずらしていったから、もういないと思っていたのだが。

 この日は中に入らずに待機していたようだ。

 仲間をあちこちに貼り付けて。

 おかげで、近所の連中に気付く事も出来なかった。



「まったく、お前って奴は」

 呆れたのか怒ってるのか。

 団長と呼ばれるまとめ役の男がヒロトシを見下ろす。

「お前の父さんと母さん、昨日は心配してたぞ」

 そんな所から話を始めていった。

 内心、「知るか」と思ったが。

 とりあえず説教らしきものは黙って聞いていく。

 無駄な事をしてるとは思いつつ。



 その態度を察したのか、団長は話しを切り上げる。

「行くぞ」と全員に指示を出して迷宮に入っていく。

 ここで解放されればいいのに、というヒロトシは思ったが。

 願い虚しく、強制連行されていく。

(やれやれ……)

 そんな気分でヒロトシは付き合っていった。

 逃げだそうにも、この状況ではどうしようもない。

 周りは近所の連中に囲まれてる。

 手持ちの魔力も5点だけ。

 それではどうしようもない。



 暫くは付き合って一緒に迷宮に入り。

 適当なところで脱出するつもりでいた。

 最悪、魔力を使ってでも。

(こんな連中に使いたくないけど)

 もったいないとは思う。

 だが、こんな連中に付き合わされる方がもったいない。

 ヒロトシの時間と労力がだ。

(早くどうにかしないと)

 大事な何かが色々と浪費される。

 そんな状況からさっさと逃げ出したかった。

 その為になら、あらゆる手段を使うつもりでいた。

 非道なものであろうとも。

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