83回目 その日あった事 5
危険は避けるもの。
出来るだけおかさないもの。
求められるのは安全確実。
それがヒロトシの常識だった。
戦闘と言う危険な事をしなくてはならない。
なので、どうしても危険はつきまとう。
それを恐れるわけにはいかないのは分かる。
だが、危険をあえておかす必要は無い。
むしろ、出来るだけ危険を低く抑えるもの。
そう考えていた。
しかし、探索者の多くは違う。
安全性を下げて危険に挑もうとしてるように見える。
それが出来るものを尊ぶ風潮すらある。
危険に挑まねばならない以上、そういう気概を示す必要があると考えてるのかもしれない。
度胸試しと言ってもよい。
そこがどうしても受け入れられないところだった。
そういう根性を見せる事を求められる。
馬鹿馬鹿しいと思った。
危険が避けられないのは分かるのだが。
だったら、如何に危険を少なくするのかを考えるべきだ。
なのだが、そういう考えが無い。
気合いと根性で突っ込み、相手を倒す。
それで駄目ならそこまで。
それもまた良しという考えでいる。
危険と隣合わせの稼業だ。
死ぬのも覚悟しておかねばならない。
そういった面もあるのだろう。
だがそれは、潔さとはほど遠い考えに見えた。
潔さというのは、やることを全部やってからのものだ。
手段も作戦も準備も全てととのえて。
最善に最善を尽くして。
それでも駄目だったら諦める。
終わりや最後を受け入れる。
そういうもののはずである。
しかし、最初から駄目になる事を。
終わってしまう事を当たり前とするのは違うだろう。
死ぬと分かっていても突っ込むのではなく。
まず、死ぬ可能性を極力減らす。
その為の努力を全部やる。
やらねばならないなら、そうしてから実行する。
そして、最善を尽くしても駄目なら、潰えていく事も受け入れる。
それが本来の潔さだとヒロトシは思っている。
その途中を省いて、ただ死に急ぐ。
無駄に命を危険にさらす行為を続ける。
それが度胸試しでなくて何なのか?
ヒロトシには自殺行為にしか思えない。
「根性論だよな」
やってる事はそれである。
本来やるべき事とは正反対の方向。
やっちゃいけない事をやたらとやりたがる。
それが出来る者を賞賛する。
実に馬鹿げた行為だ。
手段や方法を考えるのではない。
力押しでねじ込む。
それ以外に何も考えてない。
死ぬと分かれば撤退するのではなく。
死ぬと分かってる事に突っ込んでいく。
そんな馬鹿げた精神論。
それが探索者に蔓延していた。
それがヒロトシには理解出来なかった。
するつもりも無かった。
命を危険にさらす事を楽しむ愚劣さなど持ち合わせていない。
むしろ、危険を減らす事に意義や楽しみを見いだしている。
何でもそうだが、労力は少ない方がいい。
それでいて成果を大きくしたい。
それでもヒロトシは、まだ幾らかまともな探索者集団を探していた。
こんな風潮の探索者業界ではある。
しかし、全部がこうだというわけではない。
中にはまともに活動してる所もある。
作戦や計画を立て、可能な限り危険を減らしていこうとする者達が。
ヒロトシはそういう所に入ろうとしていた。
その為に声をかけて頼み込んでもいた。
駄目でもともとである。
なのだが。
それが潰えてしまった。
強制的に近所の探索者集団に放り込まれる事になった。
ヒロトシの意見など聞いてはいない。
むしろ、それを無視して踏みにじろうとしていた。
他の誰でも無い親や近所の連中が。
特に理由もなく題名と粗筋を変更




