81回目 その日あった事 3
ヒロトシは出来るだけまともな探索者集団に入ろうとしていた。
可能性は低い。
不可能と言っても良い。
なにせ、引退探索者の塾にすら入ってないのだ。
それだけでも採用の可能性は下がる。
だが、その分自分で出来るだけの情報集めはしていた。
探索都市の住人だから、探索者に会う機会は多い。
そうした者達から話しを聞く事は出来る。
それを元に、迷宮内の事を聞き出していった。
その大半は誇張のさらすぎた武勇伝だ。
情報としての価値はない。
だが、そんな武勇伝も集めていくと分かる事がある。
矛盾点だとか共通点だとかだ。
余程の大嘘でもなければ、誇張にも限度がある。
もっともらしい事を言うならば特に。
そうなると、どうしたって基準となる部分が見え隠れする。
話を集めていくと、それらが幾分見えてくる。
完全な姿ではないにしても。
そうしたところから話をある程度分析していく。
ヒロトシもそうした知識や知恵があるというわけではない。
しかし、何となく分かるものもある。
そこに前世の知識を用いての分析をしていく。
とはいえ、前世の知識も大したものではない。
それこそ無責任な都市伝説の類だ。
噂話の領域を出ないものもある。
書籍やネットの情報や知識がほとんどだ。
調査分析を専門とした仕事をしてたわけではない。
だとしても、何も知らないわけではない。
集めた話を一つ一つ書き出していけば、分かって来る事がある。
迷宮の内部構造。
出て来る怪物の数。
手に入る魔石や魔力の量。
それらを売る事で得られる金額。
魔力で高められる能力の上昇幅と継続時間。
そういったものが幾らか把握出来てきた。
もちろん、眉唾の話もあるが。
しかし、情報は情報だ。
大きな誤差のない話部分は役に立つ。
そういった話を聞いて迷宮での動き方がだいたいわかってきた。
怪物との戦闘についても。
出て来る怪物の種類。
それらが段々と把握出来てきた。
普段、どれくらいの敵を倒してるのか。
気をつけるのはどんな奴なのか。
それも見えてきていた。
他にも色々な事が分かって来た。
町のどこに何があるのかも。
出入りに便利な迷宮近くの宿にいる連中が一番凄い。
その逆に、迷宮から外れた場末の連中はだいたい底辺だという事も。
そういった探索者にまつわる周辺情報も耳に入ってくる。
それらをもとに、これからどうしようか考えていた。
その中には、探索者集団の事も当然含まれている。




