73回目 探索都市が終わる日 2
都市の中の適当な場所。
広間などに集められた一般人達。
彼等はそこで睡眠の魔術をかけられて意識を失っていく。
そうしてから選別が行われていく。
さすがにこれはゴーレムにやらせる事も出来ない。
ヒロトシが直々にやっていく。
ヒロトシは若い女をより分けていく。
それと、一定以上の能力を持つ男。
あと、見た目がある程度以上に良い男。
それ以外は軒並み処分対象としていく。
その他、一定以上の技術や知識を持つ者達。
それらも頭の中を読み取る事で選別していく。
一応、それらも生かしておく。
選別した者達に魔力による印をつけて、ゴーレムに運搬させる。
眠らされていた者達は、手足を拘束される。
その状態で、やってきた自動運転のトラックの荷台に放り込まれていく。
選別されなかった者達は、その場で処分されていった。
生かしておく理由がない。
生き残った者達も運が良いとは言えない。
知識や技術を持つ者達は、それらを魔術で読み取られ、記憶媒体に複写させられていく。
こうした考えや心を読み取る魔術は、大きな負担をかけていく。
頭や精神が破壊される事もある。
だが、そんな事を一切気にかけず、情報の読み取りは行われていった。
そうして得た情報は、魔術によって記録されて保存される。
それ以外の若い男女の扱いも悲惨なものである。
どちらも生かされてる理由は一つしかない。
専用の魔術装置を埋め込まれ、意識すら操作される。
逃亡や自殺を防ぐ為だ。
その上で、更に体の拘束すらしていく。
そうして生かされた男女の役割は一つ。
繁殖用だ。
この先の事を考えれば、人はどうしても必要になる。
その人間を確保するために、頭数を増やす必要もある。
なので、その為の人間を確保した。
ただ、能力や才能などは考慮しない。
そんなものは不要だ。
人としての心の有無なども考慮したかったが。
残念ながらそれも省みてる余裕は無い。
なので、女はほぼ全員を生かしておき。
男は見た目だけで選んだ。
彼等に労働力は求めてない。
知識や技術も求めてない。
彼等に求める役目は一つだけだ。
穏便な言い方をすれば、観賞用。
その役目を果たしてくれればよい。
なので、外見だけを考慮して残していった。
そうした者達を収容する場所も用意していく。
自動で建設する魔術機械によって、都市の一部を改装していく。
そこに捕獲した者達の収容所が作られる。
生き残り達はそこで残りの人生を過ごしてもらう事になる。
そうした作業を平行して行っていく。
その間に抵抗する者達は次々に叩き潰されていく。
ゴーレム達に追い立てられ、探索者や治安機関などの武装部隊が一カ所に集まっていく。
統治者の館にまで逃れた彼等は、そこでどうにか攻撃を凌いでいた。
それも時間の問題であるが。
ゴーレムの攻撃は続いている。
それらは統治者の館をいずれ崩壊させる。
早いか遅いかの違いしかない。
しかもこの時点で魔力は全員失っている。
対抗する能力などもう持ってない。
ゴーレムが館の壁を壊して侵入して来たらそれで終わりだ。
「なんでこんな事に……」
誰もがそう思っていた。
どうしてこんな事になったんだと。
彼等は知らない。
これがヒロトシによるものだと。
統治者の館に逃げ込めた者達。
彼等は自身の知るわずかばかりの情報を持ち寄り、状況を整理しようとしていた。
そんな事をしても意味があるわけではないのだが。
しかし、分からない事があれば、それにもっともらしい理由や理屈を求めるのが人間である。
この時の彼等は、意味不明なこの事態の理由や原因を求めていた。
そうして知るのは断片的な情報だけ。
迷宮の出入り口がふさがったこと。
いきなりゴーレムがあらわれた事。
それくらいだ。
ただ、それらに意味を持たせ、もっともらしい理屈をつけていく。
「迷宮の動きなんじゃないか?」
そこから憶測が始まっていった。




