72回目 探索都市が終わる日
いきなりの事に対応が遅れた。
何かが行われてると認識するための一瞬の間に、様々な犠牲が生まれた。
だが、探索者は即座に行動を開始していく。
このあたり手慣れたものだ
次々に持ってる魔力を使って能力を拡大して行く。
増強した能力であらわれたゴーレムを倒して行く。
人型の巨人はそれだけで簡単に倒れていく。
ゴーレムはかなり強力ではあるのだが。
魔力で能力を増強した探索者ほどではなかった。
だが、倒したとて終わりというわけではない。
破壊されたゴーレムはその場で即座に再生していく。
それどころか、そこら中から次々とあらわれる。
石畳が、建物が次々にゴーレムの材料になっていく。
きりが無い。
倒しても倒しても再生する。
しかも、そこらにある物を材料に次々と出現する。
戦えば勝てるが、勝っても終わりにならない。
「まずいな」
その事態に探索者の一人は危機感をおぼえる。
終わりなくやってくるなら、いずれ負ける。
敵が無限に出て来るのに対して、探索者の魔力は有限。
手持ちが切れればそこで終わりだ。
そうなったら、もう対抗する事は出来ない。
魔力で増強した能力でようやく対抗出来るのがゴーレムだ。
魔力が切れたら、一方的に蹂躙される。
そんな未来が簡単に見えた。
「逃げるか……」
目端の利くものはそうした判断もしていく。
だが、それが既に不可能なのにも気付いていく。
門は閉ざされている。
ならば城壁を越えよう、空を飛ぼうとしても簡単にはいかない。
城壁に近づけば、それだけで魔力による攻撃を受ける。
人の接近に応じて爆発する魔力装置がそこかしこに設置されている。
空も、存在を感知されれば即座に魔力の矢が飛んでくる。
追尾式の魔術を組み込まれてるそれは、百発百中の命中率で、空を飛ぶ者に襲いかかっていく。
つまる所、詰んでいる。
逃げ場もなく、終わり無い戦闘を続けさせられる。
魔力切れを起こした探索者から犠牲が出始めていく。
まだ魔力を保ってる者達はどうにかなってるが。
それもいずれ同じような末路をたどるだろう。
一般人はもっと悲惨だ。
生活用具の為に魔力を持ってはいる。
しかし、戦闘用に用いた事はない。
そもそも、長時間の戦闘が出来るだけの魔力もない。
そんな彼等が、あらわれたゴーレムに対処出来るわけがない。
ゴーレムは全てを蹂躙していく。
探索者や一般人を分別する事はない。
探索都市にいた一般人は、全てがゴーレムの攻撃を受けていった。
老若男女の区別なく。
幸いなのは、それらは殺されない事だろうか。
それでも追い立てられ、都市の中の一定の場所へと向かわされる。
追い込まれ、逃げながら一般人達は走り続ける。
その先に何があるのかも分からず。
ただ、ろくでもない状態に陥ってる事だけは理解していた。
そこから逃げるように走っていく。
そうして逃げた先。
そこに安全があるわけでもないのだが。
まして今、ゴーレム達は一般人を追い込むために動いてる。
であれば、走って逃げた先が安全であるわけもない。
その事を一般人達は、それから嫌と言う程思い知る事になる。




