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69回目 世はなべて事もなし

 こうしてふざけた事をしてる探索者集団が壊滅。

 それによって動いた治安機関と統治者への鉄拳制裁。

 これらが終わった。



 その間にヒロトシは、邪魔になりそうな有力探索者集団を殲滅。

 魔力を回収していた。

 そのため、治安機関はこうした有力探索者の協力をとりつけられなくなった。



 また、その後は探索者達もヒロトシに手を出すのを控えるようになった。

 やったら何をどこまでされるのか分からない。

 一切の容赦もなく。

 手加減もなく。

 際限もなく攻撃されるのだ。

 親兄弟の家族から親類縁者まで。

 逆らおうなんて微塵も考えない。



 それでも不当な扱いは幾らか残っている。

 持ち帰った魔石の換金率などにそれがあらわれてる。

 他の探索者達に比べればどうしても実入りは少ない。

 また、宿や店などでの購買も避けられている。

 積極的に攻撃はしないが、消極的に損害を与えられている。



 ただ、この部分はさほど気にもしていなかった。

 宿は場末の場所が使える。

 店も同じだ。

 最近は場末の辺りの治安が良くなり、商人も来るようになった。

 もとより力のない商人などは、安い宿を求めて不便な場末に来ることもある。

 そういう商人相手に、ヒロトシ達は魔力を売りさばいていった。



 そういう商人は購買力もさほど高くはない。

 資金が限られてるので大きな取引が出来ないのだ。

 そこは承知で、ある程度割安で魔石を売却している。

 それでも、町の他の店などよりはマシだ。



 製品などもそうした商人経由で手に入る。

 これまた若干割高になるが、それでも町にある他の店よりはマシだ。



 そして最近は職人も場末の宿の近くにやってくるようになった。

 ヒロトシ達という購買力目当てだ。

 そういった者達が必要なものを作ってくれる。

 生活などで困る事はない。



 ヒロトシはこうして平穏な生活を手に入れるようになった。

 特に協力的でも親身でもない。

 しかし、攻撃してくるわけではない。

 互いに不可侵の立場を貫く事で、無駄な騒動が起きない。

 それだけで十分にありがたいものだった。



 そうして場末の宿は、行き場のない者達の流れ着く先になり。

 そこで再生を果たした者は、世間に復帰していく。



 町の者達はヒロトシやその周囲の者達に白い目を向けてくるが。

 それだけで終わってるだけでもありがたいという所だ。



 なお、ヒロトシが連れ去った統治者の配偶者や娘などだが。

 宣言通りに妊娠が発覚すれば返される。

 子供が生まれれば暫くの養育期間の後にまた戻されるが。

 そうした事をその後も続けている。

 統治者はそうして生まれた子供を後継者にしていく。

 少なくともこれで統治者の家は保たれる。

 統治者の血筋が断ち切られるだけで。



 その他の様々な問題も統治者がどうにか処理したようだ。

 少なくともヒロトシに責が及ぶ事はなかった。



「平和だねえ」

 たまに場末の宿の広間でくつろいでるとそう思う。

 無駄な騒動に巻き込まれる事がない。

 それがほぼ確定してるからありがたい。



 残念な事に、まだ万全というわけではない。

 今はまだ平穏だが、それがいつまで続くか分からない。

 統治者もそうだが、国が黙ってるとは思わない。

 探索者や町の者達もだ。

(そのうち何かあるんだろうな)

 そんな警戒は常に抱いていた。



 なので、この平穏を更に確定的にしていかねばならない。

 その為に力を集める必要があった。

 世話をした連中が、そんな時に仲間になってくれればありがたい。

 そうなるように世話をしているのだ。

 親切心もあるにはあるが、こういった打算もやはりある。



(どこまで信じていいか分からんけど)

 そこが問題だった。

 人間である、どこでどう転ぶか分からない。

 だから、もう少し信用出来る何かが欲しかった。



 幸い、それについてはどうにか手に入りそうではある。

 それを確かめるためにも、ヒロトシは迷宮へと繰り出していく。

 時に一人で。

 自分の用意した何かの様子を確かめるために。

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