65回目 追放、そして「ざまあ」の流れ 4
話の出所を探る。
探って、話をしていた者を叩きのめす。
情報を聞き出す為だ。
どうせ言っても聞きやしない。
適当にはぐらかすか、怒鳴り返すのがオチだ。
だから、まずは身動きがとれなくなるほどに叩きのめす。
その方が効果的だ。
もちろん、目撃者がいる場合もある。
その場合は周りにいる全員を巻き込んでいく。
魔力が大量にあるので問題無く実行出来る。
通報などされたら面倒だ。
そうなる前に、目撃してる全員を潰しておく。
そうする事で、余計な面倒が減る。
そうして巻き込んだ連中にも伝えていく。
「俺達に不利になるような事をしたら、全員生かしておかない」
これでたいていの者は聞き分けがよくなる。
そうした処置をしてから、噂の出所に話を聞いていく。
いつ、どこで、誰から話を聞いたのかを。
そうやって一つ一つ情報源を辿っていく。
どうしても口を割らないなら、魔力を使って頭の中から直接聞く。
その際に、精神に障害をきたす可能性もあるが。
気にはしない。
そうなったとて自業自得なのだから。
そうして情報源にまでさかのぼり、出来の悪い者を追放した探索者集団にまでいきあたる。
それらへの処分に容赦は一切無い。
もとより生かしておくつもりなどない。
生きてればより多くの問題をまき散らす連中だ。
今後の被害を防ぐためにも、ここで処分しておかねばならない。
それらは見せしめのために、容赦なく叩き潰された。
魔力での治療や回復も望めないほどに。
そうしてから見せしめとして、人の目につく所に晒した。
そうしないと、馬鹿な事をやった連中がどうなるのか分からないからだ。
しっかりと結果を示す。
それが、今後のふざけた行動を防ぐ事になる。
ここまでしなくてはならない。
こうでもしなければ馬鹿げた行動が止まる事は無い。
何かすれば、報復がやってくる。
そう思わなければ大半の人間は馬鹿げた行動を続ける。
例外も幾らかいるが、それは少数だ。
例外が基準や標準になる事は無い。
そういった麗しい例外は例外として別枠扱いにしておけば良い。
必要なのは、世の中の大半を占める悪意で動く連中だ。
不当な理由による追放。
そうされた者達がなした、その後の努力と改善。
それを良しとせずに、不当な行為を加えてきた連中。
それらを殲滅し、二度と何も出来ないようにする。
ここまでしてようやく平穏は手に入る。
もちろん、ヒロトシのやってる事にケチをつける者も出て来る。
そこまでやるのかと。
殺す事はないだろうと。
そういう連中もヒロトシは容赦なく潰していく。
「悪さをしていた連中を放置して、俺達を潰す。
そんなお前らみたいな悪党、生かしておけるか」
それが理由だ。
悪党の肩を持つ者も悪党。
それがヒロトシの持論だ。
どんな正論めいた事をほざこうとも、それは戯言である。
今回のような場合、まず追放された者達が被害者である。
それらが頑張ればまたふざけた行動に出て潰そうとする。
そんなふざけた行動を見逃していた連中だ。
悪党のやってる事を見もしないで。
そもそもとして、まず追い出された者達にしてきた仕打ち。
それを非難するべきである。
止めるべきである。
だが、そうした事は全くしない。
それでいて、反撃したヒロトシを非難する。
著しく公平性を欠いている。
つまり、悪党の味方なのだ、正論みたいな戯言をほざいてる連中は。
たいがい、こういう連中は悪党のやってる事を棚上げする。
理由は分からないが、一方的に反撃してきた者達を糾弾する。
それは悪事への対抗や対応を全て封じる悪行でしかない。
それが最善というなら、悪事を働いた方が有利となってしまう。
「そういう考えなんだろうから、俺はお前らに一切容赦しない。
お前らだけじゃない。
お前らの家族・友人・恋人や配偶者。
全部を潰す」
そう宣言してヒロトシは行動していく。
そして、言ってる通りにしていった。
悪さをした者の肩を持つ。
それが、ヒロトシを留めようとした者達のやってる事だ。
つまり、どんな悪事であれ、やった者勝ちである。
それを留める方がおかしいという理屈だ。
ならば、そう言ってる者達の望み通りの事をしていく。
言ってる者達に向けて。
ただ、それだけの事だ。
町の一部で阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される。
問題を起こした連中と、それの肩を持つ連中。
その関係者も含めて、大勢の人間がヒロトシの制裁を受けていった。
ここまでやって、町の人間はようやく理解する。
真相や善悪をではない。
そういった高尚な事を理解する頭など持ち合わせてない。
あったら、もう少しマシな行動や態度をとるだろう。
ただ、ヒロトシに手を出したら悲惨な目にあう。
それだけを理解した。
それしか理解出来なかった。
その程度の輩でしかない。
それでもヒロトシ達は少しは平和と平穏を得られるようになった。
ちょっかいをかけてくるバカが消えた事で。
お互い無視しあえる、平穏な状況を。




