表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/104

60回目 協力を理由にした、みんな一緒病

 なまじ、人間関係があるのがいけない。

 それがヒロトシの持論である。



 人間は協力し合わねばならない。

 そういう者達がいる。

 分からないではない。

 だが、それが行きすぎてるのは問題だ。



 確かに人は何らかの形で協力しあった方が良い。

 社会がそれだ。

 それぞれが別の仕事を受け持つ事で、より便利な生活が手に入る。

 それくらいはヒロトシも理解している。



 しかし、それを理由にして一緒にいる事を強要する。

 そうなると話は変わってくる。

 それは独裁というものだ。

 病気と言っても良い。



『みんな一緒病』

 ヒロトシはそう呼んでいる。



 何をするにも一緒。

 何処にいくのも、何を食べるのも。

 風呂もトイレも寝床も一緒。

 何がなんでも一緒。

 それ以外の行動は一切認めない。



 作業における分担もない。

 するべき事、得意な事を分けもしない。

 全員同じ事を同じようにやる。

 仕事で成果をあげる、結果を出す事など考えない。

 そんな事二の次で、ただ同じ行動をする。



 それが当たり前だと思ってる。

 協力とは全員が同じ事をするものだと考えている。

 それが正解だと思ってる。

 それ以外は悪事だと思ってる。



 まるで独裁国家である。

 全員が一つの意志と考えの下で行動する。

 それ以外は全く認められない。



 本来、協力とは別々の行動をする者達が集まるもののはずだ。

 その別々の行動や作業の中で、目的に必要な部分を提供していく。

 仕事に必要な技術や知識、労働力に物資を持ち寄る。

 そうして何かを達成するのが協力のはずだ。



 だが、みんな一緒病はそんな事しない。

 全員が同じ事をやる。

 ただそれだけを求める。

 仕事の成功や達成など全く意にも介さない。

 口では言うかもしれないが、言ってるだけだ。

 実際に協力などしない。



 おそらく、言ってるのもお題目のようなもの。

 何を言ってるのか、言ってる本人もその意味を理解していない。

 理解して行動をしてるわけではない。

 ただ、そうしていたという経験から繰り返してるだけ。



 そんな連中が多い。

 そんな連中ばかり。

 そんな連中しかいない。

 そんな連中がヒロトシに喧嘩を売ってくる。



 事の次第を考えない。

 何が理由で原因か考えない。

 ただ、周りが言ってるから同調している。

 みんな一緒病の患者らしく、他のみんなと一緒の行動をとる。



 その一環として、ヒロトシを敵視している。

 何も考えずに、周りに合わせて。



 そんな連中だからヒロトシも容赦なく対応する。

 邪魔をするから処分をしていく。

 町中でやると治安機関などがうるさいので控えてるが。

 探索者なら迷宮内で処分していった。



 町の住人も同じだ。

 夜間に家などに侵入して拘束・拉致。

 それから迷宮に連れ込んでの処分。

 放置してたら害を受けるから、それをとにかく減らしていった。



 おかげでヒロトシに不当な害を与えてくるものは消えた。

 分かりやすい行動をしていた連中が消えたのだ。

 さすがに口も態度も控えるようになる。

 それでも相変わらずヒロトシに喧嘩を売る奴はいたが。

 それらは町の中で徹底的に叩き潰してやった。



 状況の変化から察する事が出来ない連中だ。

 それらは実際に目で見せる必要がある。

 そうまでしてようやく不当な圧力や干渉は消えた。



 治安機関がさすがに動き出したが。

 それらには金や魔石を渡して退場願った。

 納税をしっかりしてくれれば寛容になるのがこういった機関だ。

 その性質をこの時は利用した。



 以来、目に見えた障害や妨害は減った。

 皆無とは言わないが、かなり消えた。

 あいかわらず、みんな一緒病にかかってる者はいるが。

 それらも表だって攻撃してくる事はなくなった。

 裏で暗躍もしなかった。

 すればヒロトシが黙ってないからだ。



 そうして町の人間から白い目で見られたり。

 接触を拒まれたりしている。

 店にいけば物は売ってもらえるが。

 おかげで生活はそれほど苦労しない。

 ただ、販売価格が高くなったりはする。

 魔石の売却金額も低く抑えられる。

 しかし、それらはしょうがないと割り切っていた。

 今のところは。



 お互い干渉しない。

 この心地良い状態が手に入っている。

 それだけでヒロトシは、まずは十分だった。



 不可侵というのは、最も快適な人間関係である。

 協力し合うという面倒がない。

 みんな一緒病と無縁でいられる。

 それだけでも今は十分だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 活動、および生活支援をしてくれるとありがたい。
 書くのに専念出来るようになる↓
『執筆時間を与えてくれ/BOOTHでのダウンロード販売』
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/483314244.html

【短編】小説ならぬ小話集
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/484786823.html
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ